季節の変わり目に体調が変わりやすいのは自律神経が原因?専門家が詳しく解説

2022. 10. 20
監修:望月みどり プロフィールを見る >

漢方養生指導士・サプリメントアドバイザー・健康管理士
女性の健康に関する専門性の高い記事を数多く執筆。 漢方養生指導士、サプリメントアドバイザーの知識を活かし、女性向けサプリメントの開発にも携わる

「季節の変わり目になると体調を崩してしまう」
「季節の変わり目になると体調が悪くなるのはなぜだろう?」

この記事を読んでいる方は、このようなお悩みを持っているのではないでしょうか。特に大きな病気を抱えていないのに、季節の変わり目になると体調が崩れるのは不安になりますよね。

結論からいうと、季節の変わり目になるとその環境の変化によってストレスが溜まり、免疫力が低下するため体調が崩れやすくなります

「季節の変わり目」というのは、3月~4月と6月~7月、9月~11月の寒暖差と気圧差が大きい時期を指し、次のような不調が生じやすいです。

季節の変わり目 起こり得る不調
3月~4月(春)
自律神経の乱れ
【精神的な不調】
・イライラ
・憂うつ
・気分の落ち込み など
【身体的な不調】
・頭痛
・めまい
・倦怠感/だるい
・眠気
・肩こり
・不眠 など
その他の症状
・花粉症
・鼻炎
・アトピー など
6月~7月(梅雨)
9月~11月(秋)

上記を見てお分かりいただけるように、季節の変わり目には精神的な不調から身体的な不調まで様々な症状が起きやすいのですが、これらの原因は「自律神経の乱れ」である恐れがあります。

しかし、季節の変わり目に起こる体調不良は、その場で対処して症状を和らげることができます

さらに、日頃から健康的な体作りを心がけておけば、季節の変わり目になっても上記の症状に大きく悩まされることも減ります

この記事では、以下の内容をまとめて説明していきます。

  • 季節の変わり目に体調が変わりやすい原因と考えられる「自律神経の乱れ」について
  • 季節の変わり目に体調が乱れやすくなるメカニズム
  • 季節の変わり目に体調不良になったときにすぐできる対処法
  • 自律神経の乱れで体調が変わる「季節の変わり目」の具体的な時期
  • 季節の変わり目に体調が変わりやすい人の特徴
  • 季節の変わり目の体調不良にならないための日頃のケアについて
  • 季節の変わり目の体調不良で受診すべき判断基準

読んでいただくことで、季節の変わり目による体調の変化に適応できる体作りを目指すヒントを得られますので、ぜひ最後までご覧ください。

季節の変わり目に体調が変わりやすいのは「自律神経の乱れ」が原因かもしれない

冒頭でも説明した通り、季節の変わり目は体調が変わりやすく、精神的な不調から身体的な不調まで様々な症状が生じやすくなります。その原因は「自律神経の乱れ」かもしれません。

ここでは、季節の変わり目の原因と考えられる自律神経とは何か、季節の変わり目起きやすい他の症状について次の2つを通して説明していきます。

  1. 自律神経とは
  2. 季節の変わり目にはこんな体調不良もある

上記について知っておけば、季節の変わり目に体調不良が起こっても不安にならずに済みます。順に見ていきましょう。

1-1. 自律神経とは

「自律神経」とは、私たちが元気に生きられるように体の器官を調節する神経のことです。

自律神経の構成と働き
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つの神経で成り立っており、それぞれの神経は働きが異なります。

【交感神経と副交感神経の働き】
交感神経 副交感神経
体を働きやすくさせる
・心臓の働きを促進させる
・血管を収縮させる
・血圧を上昇させる
・筋肉を緊張させる
・発汗を促進させる など
体を休ませる
・心臓の働きを緩やかにする
・血管の緊張をとる
・血圧を低下させる
・筋肉をゆるめる
・発汗を抑える など

交感神経は体を働きやすくさせる神経で、仕事や勉強、スポーツ(運動)といった活動を快適にできるような状態にしてくれます。

一方、副交感神経は体を休ませる神経で、仕事や勉強、スポーツ(運動)などの活動で疲れた体を休ませ、再び体が快適に働くような状態にしてくれます。

私たち人間の体は、交感神経と副交感神経のバランスが保たれていると元気な体を維持できますが、どちらかの神経が過度に優位になって崩れてしまうと体に異常が生じてしまいます。

交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態というのが自律神経の乱れですが、その多くは交感神経が優位になることで生じます。

自律神経が乱れる主な原因と起こり得る不調
自律神経は主に次のような主な原因で乱れ、その乱れが生じると様々な不調を引き起こします。

【自律神経が乱れる主な原因と起こり得る不調】
主な原因 起こり得る不調
・ストレスを抱えている
(例:環境の変化や仕事での悩み、人間関係など)
・生活習慣が乱れている
(例:偏食や過食、運動不足、睡眠不足など)
・女性ホルモンバランスが乱れている
(例:月経前や月経中、更年期など)
・自律神経に関わる器官の機能が低下している
(例:内耳の機能低下 など)
【精神的な不調】
・イライラ
・憂うつ
・気分の落ち込み など
【身体的な不調】
・頭痛
・めまい
・倦怠感
・眠気
・肩こり
・不眠 など

上記の通り、自律神経が乱れる原因は精神的なものから体の機能まで様々であり、起こり得る不調も精神的な症状から身体的な症状まで複数あります。自律神経が乱れる原因と起こり得る不調も、人によって異なります。

1-2. 季節の変わり目にはこんな体調不良もある

季節の変わり目には、自律神経の乱れの他に花粉症や鼻炎、アトピーなどの症状を起こすことがあります。これらは、免疫バランスの乱れによって生じる恐れがある症状です。

花粉症
花粉が体に入ってくると、免疫システムがその花粉を異物と見なして抗体を作ります。この抗体は、花粉が体に入ってくる度に作られます。
作られた抗体が一定量まで蓄積されると、新しく花粉が体に入ってきたときにアレルギー反応が起こって、免疫反応が過剰になります。このアレルギー反応として起こるのが、くしゃみや鼻づまりなどの花粉症の症状です。

鼻炎
アレルギーの原因物質「アレルゲン」が鼻粘膜に入ってくると、免疫システムがアレルゲンを異物と見なして抗体を作ります。
新しく入ってくるアレルゲンに対抗するヒスタミンなどの伝達物質をこの抗体が放ち、免疫反応が過剰になって起こるのが、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの鼻炎です。

アトピー
アレルギーの原因物質「アレルゲン」が皮膚に付着すると、免疫システムがアレルゲンを異物と見なし、抗体を作ります。この抗体が作られると皮膚の免疫反応が過剰になり、かゆみや赤みなどの炎症が皮膚に起きるのがアトピーです。

上記の症状についても、人によって生じるかどうかは変わってきます。

このような季節の変わり目の体調不良はどのようにして起こるのかは、次の章で説明していきましょう。

季節の変わり目に体調が乱れやすくなるメカニズム

季節の変わり目に体調が崩れやすくなるメカニズムは、次の通りです。

  1. 寒暖差が大きくストレスによって免疫力が下がる
  2. 気圧の差が大きく「内耳」が過剰に反応する

上記を知ることで、季節の変わり目の体調不良はどのようにして起こるのかを理解できます。順に見ていきましょう。

2-1. 寒暖差が大きくストレスによって免疫力が下がる

1つ目は、寒暖差が大きくストレスによって免疫力が下がることです。

季節の変わり目は寒暖差が大きくなります。たとえば冬から春に季節が変わるときは、気温の低下と上昇が頻繁に起こります。詳しくは後述しますが、その差は5度以上になることもあります。

人間はこのような大きな寒暖差を感じると、それについていこうと体温をコントロールしたり、発汗したりして体を調整しています。

通常、体は徐々に気温の変化に慣れていきます。しかし、体が暑さ寒さに慣れきらない時期に、急激に5℃以上も気温が上下すると、交感神経と副交感神経を激しく切り替えなければいけません。そのため、体は強いストレスを受けることになります。

体が慣れている季節から別の季節に変わるため、その変化に適応しようと調整することは体に負担をかけることになるのです。

季節の変わり目に体調が崩れやすくなるのは、このように寒暖差によって体を調整しようとストレスが溜まり、免疫力が低下するためなのです

2-2. 気圧の差が大きく「内耳」が過剰に反応する

2つ目は、気圧の差が大きく「内耳(ないじ)」が過剰に反応することです。

内耳とは、耳の奥にある巻貝のような形をした耳の一部です。

この内耳は気圧の変化を感知する働きがあるのですが、気圧の変化が大きいと感知する働きが過剰になります。気圧の変化による過剰反応の情報が脳に伝わると、交感神経が優位になって自律神経のバランスが崩れます。このため、体調が崩れやすくなるのです。

季節の変わり目は、気圧の変化も大きいです。たとえば春になる時期は、高気圧と低気圧が交互に発生します。

季節の変わり目になると体調が崩れやすくなるのは、このように内耳が気圧の変化に過剰反応し自律神経が乱れやすくなるからなのです。

【すぐにできる!】季節の変わり目の体調不良を和らげる2つの対処法

季節の変わり目に起こる体調不良には、その場で行える対処法があります。対処法を知っておけば、体調が優れないときにすぐに実践でき、症状を和らげることが可能です

即効性が高いのは、次の2つです。

季節の変わり目の
体調不良を和らげる
2つの対処法
  • ツボ押しをする
  • マッサージをする

これらは簡単にできる対処法なので、ぜひ試してみてください。順に説明していきましょう。

3-1. ツボ押しをする

1つ目の対処法は、ツボ押しをすることです。

漢方では、人体には「経絡(けいらく)」と呼ばれる気血の通り道があるといわれており、この経絡上にある反応点を「経穴(ツボ)」といいます。

ツボ押しをすると症状が和らぐのは、反応点であるツボを刺激することによって、全身の気血の流れを調節して自律神経も整えることができるからです

季節の変わり目に起こる体調不良の原因は自律神経の乱れのため、ツボ押しで自律神経が整って症状を和らげられます。

ツボは全身に361個あるといわれていますが、首にある3つのツボを紹介します。

以下にツボ押しのポイントと注意点を載せますので併せてご覧いただき、不調を感じたら試してみてください。

【ツボ押しのポイント】
  1. 5秒ほど時間をかけてゆっくり押し、3秒止めてからゆっくり離す
  2. 押すときに息をはき、離すときには息を吸う
  3. 3回~5回程度行う
  4. 気持ち良いと感じる程度の強さで押す
【ツボ押しの注意点】
  1. 痛みを感じるほど強く押さない
  2. 次のような状態のときは控える
    • 空腹時
      (胃が強く刺激されるため)
    • 食事後30分~1時間
      (食べ物の消化を妨げるため)
    • お酒を飲んだ後
      (酔いがまわりやすくなるため)
    • 妊娠中
      (子宮や胎児に影響がある恐れがあるため)
  3. ツボ押しする部位に腫れや痛みがあるときは控える

3-2. マッサージをする

2つ目の対処法は、マッサージをすることです。

マッサージをすると症状を和らげられるのは、血行が促進されて副交感神経が活性し、自律神経を整えられるからです

季節の変わり目に起こる自律神経の乱れは、寒暖差や気圧の差に対しストレスを感じて交感神経が優位になり、副交感神経とのバランスが取れないことで生じることが多いです。ストレスが溜まっていることで交感神経が優位になっている場合は、副交感神経を活性化させることが自律神経の乱れを改善することに有効です。

交感神経が優位になっていると、血管が収縮されて血行が悪くなっています。副交感神経を活性させるには血管の緊張をとって血行を良くする必要があり、その方法として有効なのがマッサージなのです。

自律神経の乱れを改善できるマッサージは色々ありますが、まず行うと良いのが耳のマッサージです。「2-2. 気圧の差が大きく「内耳」が過剰に反応する」で説明した通り、季節の変わり目に起こる自律神経の乱れの一因に内耳の過剰反応が挙げられるからです。

公益社団法人日本医師会は、次の耳マッサージを行うことを推奨しています。

耳のマッサージ
  1. 耳の上部を軽くつまみ、5秒かけて上に引っ張る。
  2. 耳の真ん中を軽くつまみ、5秒かけて体の外側に引っ張る。
  3. 耳の下部を軽くつまみ、5秒かけて下に引っ張る。
  4. 耳を外側に引っ張ったあと、前からうしろに5回ゆっくりと回す。
  5. 耳をたたむように塞ぎ、5秒間そのままにする。
  6. 手のひらで両耳を覆い、前からうしろに5回ゆっくりと回す。

季節の変わり目に体調が崩れたら、この耳のマッサージを試してみることをおすすめします。

また、NHKが運営しているメディア「NHK首都圏ナビ」では、他に顔のマッサージとタオルを使った首のマッサージで季節の変わり目の体調不良を和らげる対処法も紹介されています。詳しいマッサージ方法はNHK首都圏ナビに掲載されている「「気象病」 頭痛 めまい けん怠感 動画で見る症状をやわらげる方法」において動画で紹介されていますので、併せてご覧になってみてください。

体調が変わる「季節の変わり目」とはいつ?

体調が変わりやすい「季節の変わり目」とはいつなのかというと、冒頭でも説明した通り、寒暖差と気圧の差が大きい時期です。具体的にいうと、次の3つの時期が該当します。

  1. 3月~4月(春)
  2. 6月~7月(梅雨)
  3. 9月~11月(秋)

季節の変わり目とはいつなのかが分かれば、該当する時期に体調の変化が見られたら、それが季節の変わり目による免疫力の低下や自律神経の乱れが原因かもしれないと判断できます

1つずつ見ていきましょう。

4-1. 3月~4月(春)

3月~4月は季節が冬から春へ変わる時期で、寒暖差と気圧の変化が大きくなります。以下は、3月~4月の寒暖差と気圧の変化の特徴です。

【3月~4月の寒暖差と気圧の変化の特徴】
寒暖差 気圧の変化
<特徴>
日中は晴れると暖かいが、
朝と夜は気温が下がり冷えることが多い。
(日中は高気圧に覆われ、
朝と夜は地表面から熱が放出されて
温度が下がる現象が起こるため)
<気温例>
①2022年3月の東京
・最高気温の平均:16.5度
・最低気温の平均:6.1度
→ 平均10.4度の気温差
②2022年4月の東京
・最高気温の平均:20.1度
・最低基音の平均:11度
→ 平均9.1度の気温差
低気圧と高気圧が
交互に発生
する

上記を見てお分かりいただけるように、寒暖差については、東京の場合ではありますが3月と4月の最高気温と最低気温は平均すると9度~10度もの差があります。

冬から春に変わる季節のため、気圧も冬型の配置(東に低気圧、西に高気圧が発生する配置)から変化します。低気圧と高気圧が交互に発生することが多いです。

この3月~4月は、季節の変わり目である他の2つの時期と比べると寒暖差と気圧の差が最も大きいためストレスが溜まりやすく、免疫力の低下と自律神経の乱れが起きやすい時期といえます

4-2. 6月~7月(梅雨)

6月~7月は梅雨に入る時期で、温かい気候からジメジメとした気候に変わり、気圧は低くなります。以下が、6月~7月の寒暖差と気圧の変化の特徴です。

【6月~7月の寒暖差と気圧の変化の特徴】
寒暖差 気圧の変化

<特徴>
太平洋側の東北地方と関東地方では、
冷たく湿気のある風が海から吹くため
気温が上がらない日が続く。

一方南から湿った暖かい空気も発生するため、
西日本では晴れると気温が急上昇することがある。

<気温例>
①2022年6月の東京
・最高気温の平均:27.6度
・最低気温の平均:19.5度
→ 平均8.1度の気温差
②2022年7月の東京
・最高気温の平均:31.7度
・最低基音の平均:24.3度
→ 平均7.4度の気温差
梅雨前線上の低気圧が発達すると
気圧が大きく低下する

上記を見てお分かりいただけるように、東京の場合、3月~4月と比べると最高気温と最低気温の差は小さくなりますが、それでも7度~8度の差があります。自律神経が乱れるとされる気温差に該当します。

気圧については、梅雨前線上の低気圧が発達すると大きく低下する傾向にあります。

4-3. 9月~11月(秋)

9月~11月は夏から秋に変化するため、気候は涼しくなります。以下が、9月~11月の寒暖差と気圧の差の変化の特徴です。

【9月~11月の寒暖差と気圧の変化の特徴】
寒暖差 気圧の変化

<特徴>

  • 9月は真夏日が続くことが多いが、
    朝と夜は涼しくなる。
  • 10月になると日中はさわやかな晴天が続くが、
    夜に地表面から熱が放出されて
    温度が下がる現象が起こるため、
    朝の気温が下がって冷え込む。
  • 11月は、日中は秋晴れになる日もあるが、
    強い寒気を伴った低気圧が通過して
    寒くなる日も発生する。
<気温例>
①2021年9月の東京
・最高気温の平均:26.2度
・最低気温の平均:19.2度
→ 平均7度の気温差
②2021年10月の東京
・最高気温の平均:22.9度
・最低気温の平均:14.7度
→ 平均8.2度の気温差
③2021年11月の東京
・最高気温の平均:18.5度
・最低気温の平均:9.6度
→ 平均8.9度の気温差
  • 9月は台風が起こりやすく、
    気圧は低下しやすい。
  • 11月になると冬型の気圧配置
    (東に低気圧、西に高気圧が発生する配置)
    に変わる。

上記を見てお分かりいただけるように、寒暖差については、東京の場合ではありますが9月~11月の最高気温と最低気温は平均すると7度~8度の差があります。

気圧の変化も大きくなります。台風が発生しやすいため、それまで高かった気圧が急に低下したり、冬に近付くにつれて気圧の配置も東に低気圧、西に高気圧が発生する冬型の気圧配置に変化していきます。

季節の変わり目に体調が変わりやすい人の特徴

季節の変わり目に体調が変わりやすい人には特徴があります。具体的にいうと、次の2つに該当する人です。

季節の変わり目に
体調が変わりやすい人の
特徴
  • 「気象病」に当てはまる人
  • 月経がある・更年期の女性

上記を理解しておけば、自分が季節の変わり目に体調を崩しやすいかどうかが分かるようになります。1つずつ説明していきましょう。

5-1. 「気象病」に当てはまる人

「気象病」に当てはまる人は、季節の変わり目に体調が変わりやすいです。気象病は、気候や天気の変化によって生じる体の不調だからです

気象病の症状は、頭痛やめまい、だるさ、気分の落ち込みなど様々あります。このような気象病の症状は、「2-2. 気圧の差が大きく「内耳」が過剰に反応する」で説明した内耳が過剰に反応することで生じます。気候や天気が変わると気圧も変化するため、その変化を内耳が過剰に感知すると自律神経が乱れて気象病が生じるのです。

自分が気象病であるかどうかは、NHKのニュース番組「クローズアップ現代」で放送された『体の不調 天気のせいかも!? 最新研究で分かる対処法』で示されていた以下のチェックリストで分かります。6個以上当てはまる場合は、気象病を持っている恐れがあります。

気象病であるかが分かるチェックリスト
雨の降り始めが分かる
新幹線や飛行機に乗ると耳が痛くなる
乗り物酔いをしやすい
耳抜きが苦手
気分の浮き沈みが天気に左右される
季節の変わり目に体調を崩す
雨が降る前に頭が痛くなることがある
雨が降る前に眠気やめまいを感じることがある
肩がこりやすい
首を痛めたことがある

上記のチェックリストをご覧いただき、6個以上該当し気象病の恐れがあれば季節の変わり目に体調の変化が起きやすいことを押さえておくと良いでしょう。

5-2. 月経がある・更年期の女性

月経があったり、更年期の年代であったりする女性も、季節の変わり目に体調の変化が起きやすいです。女性ホルモンの変動の影響で精神的な不調が起きやすく、その不調が原因で自律神経が乱れやすいからです。

女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。

【エストロゲンとプロゲステロンの特徴】
エストロゲン プロゲステロン
・女性らしい体を作る
(丸みのある体を作る、
肌にツヤをもたらすなど)
・増加すると、心身の状態が安定する
(代謝が上がる、
肌のツヤが生まれるなど)
減ると、心身の不調が生じる
(イライラしやすくなる、
不安になる、疲れやすくなるなど)
・妊娠しやすい体を作る
(着床しやすいように子宮内膜を厚くする、
乳腺を発達させるなど)
増加すると、心身の不調が生じる
(ストレスが溜まる、
憂うつな気分になる、眠気が生じるなど)
・減ると、排卵後に子宮内膜の安定が難しくなる

上記を見てお分かりいただけるように、精神的な不調が起きやすいのは「エストロゲンが減少するとき」と「プロゲステロンが増えるとき」の2つです。この変動の影響を受けやすいのが、月経があったり、更年期の年代にいたりする女性なのです。

月経がある女性
月経の周期は「月経期→卵胞期→排卵期→黄体期」であり、このサイクルは通常1カ月の間に起こります。
排卵前にはエストロゲン、排卵後から黄体期にかけてプロゲステロンが多く分泌されるため、これらのホルモンの分泌量の変動は短期間で生じていることになります。短期間でエストロゲンとプロゲステロンの変動があるため、精神的な不調が生じやすくなって自律神経が乱れやすくなるのです。

更年期の女性
更年期を迎えるとエストロゲンの分泌量が減っていきます。上記を見てお分かりいただけるように、エストロゲンが減ると精神的な不調が生じるようになります。特にイライラしやすくなったり、不安になったりなどストレスが溜まりやすくなるため、自律神経が乱れやすくなるのです。

このように、月経があったり、更年期の年代であったりする女性は季節の変わり目になると体調の変化が起きやすくなります。

季節の変わり目の体調不良を本質的に改善するなら免疫力を高めることが重要

季節の変わり目の体調不良は、前述したツボ押しやマッサージをその場で行えば一時的に和らげることは可能ですが、元気な体を維持するには日頃から免疫力を高める生活を送ること重要です。

そうすれば季節の変わり目に起こる体調不調を本質的に改善でき、不調を引き起こさない健康的な体を実現できます。

免疫力を高めるために日頃からできることは次の5つです。

  1. 適度に歩く
  2. バランスの良い食事を1日3食とる
  3. 入浴する
  4. 睡眠の質を高める
  5. サプリメントを活用する

1つずつ見ていきましょう。

6-1. 適度に歩く

1つ目は、適度に歩くことです。「歩く」というのは、ウォーキングや階段の上り下りといった活動を指します。

歩くと血行が促進されるため、副交感神経が優位になってストレスが解消されて自律神経の乱れを改善できます。環境省が運営しているメディア「COOL CHOICE」では、階段の上り下りといった歩くことを行うと、そのリズムの良さから副交感神経が促進されて、自律神経の乱れを整えられると述べられています

日常生活であまり歩いていないと感じているのであれば、これを機に歩く時間を取ってみましょう。外出時は最寄り駅まで歩いてみたり、外出先ではエスカレーターではなく階段を利用してみたりなど、日常生活で意識的に歩くことは可能なのでぜひ試してみてください。

6-2. バランスの良い食事を1日3食とる

2つ目は、バランスの良い食事を1日3食とることです。

自律神経は胃腸の働きにも関与しています。暴飲暴食や偏食、食事抜きといった胃腸に負担をかける食生活を送っていると、それが胃腸にストレスとなって免疫力の低下を引き起こしたり、自律神経のバランスが乱れたりするのです。

バランスの良い食事を1日3食、規則正しくとれば交感神経が優位になるのを防ぎ、副交感神経が促進されて胃腸が活発に動くようになって健康的な体を作れます。

自律神経を整えるための食事は、農林水産省が公表している「食事バランスガイド」を参考にするのがおすすめです。この食事バランスガイドは「1日でどのような食事をどのくらいとると健康的な体を作れるか」を示しています。

季節の変わり目の体調不良に負けないためにも、食事バランスガイドを参考に食事のバランスを考え、1日3食とるようにしてみましょう。

6-3. 入浴する

3つ目は、入浴することです。入浴すると血行が良くなって副交感神経が促進されるため、免疫力が上がったり、自律神経を整えられたりします。

自律神経を整えるには、次の3点を踏まえて入浴するのがポイントです。

【入浴のポイント】
ポイント 理由
1. 寝る1~2時間前に入浴する 寝るころに体温が下がって副交感神経が優位になるため
2. お風呂の温度は40度程度にする ぬるめの温度は副交感神経を優位にするため
3. 10分程度入浴する 体に負担をかけずに温められるため

忙しかったり、季節がら暑かったりすると入浴が億劫になるかもしれませんが、なるべく毎日入浴するようにしましょう。

【入浴が難しい場合】

入浴が難しいときはシャワーを浴び、そのときに首の付け根を集中的に温めることをおすすめします

首の付け根には交感神経が集まっている「星状神経節(せいじょうしんけいせつ)」があるため、温めることで交感神経が低下し、副交感神経を高めて自律神経のバランスを整えられます

6-4. 睡眠の質を高める

4つ目は、睡眠の質を高めることです。

日中に眠くなったり、寝つきが悪かったり、夜中に目が覚めたりといった睡眠の質の低下は、免疫力の低下と自律神経の乱れを招きます。十分に眠れていないため体に負担がかかり、ストレスも溜まるため交感神経が優位になるからです。

このため、自律神経の乱れを改善するには、副交感神経の促進につながる睡眠の質を高めることが重要なのです。

睡眠の質を高めるには、寝るときに脳の興奮状態を抑えて交感神経が高ぶるのを抑える対策を行うことが必要になります。その主な対策が、次の5つです。

【睡眠の質を高める対策】
ポイント 理由
1. 朝起きたら日光を浴びる 神経伝達物質「セロトニン」が分泌されて、自律神経のバランスが整うため
2. 入浴する 血行が促進されて副交感神経が優位になるため
3. カフェインを含まない温かい飲み物(白湯など)を摂る 血行が促進されて副交感神経が優位になるため
4. 寝る1時間前はスマートフォンやパソコン、テレビを見ない ブルーライトなどの光は交感神経を活性させるため
5. 寝る前に「息を3秒吸って、6秒かけて吐く」の呼吸法を実践する リラックス効果が発揮されて副交感神経が優位になるため

季節の変わり目の不調に負けない体を作るためにも、上記の対策をして睡眠の質を上げるようにしましょう。

6-5. サプリメントを活用する

5つ目は、サプリメントを活用することです。

サプリメントは、不調の原因にアプローチする栄養素を補助的に取り入れ、健康的な体作りをサポートしてくれる食品です。このような役割のあるサプリメントも活用すれば、季節の変わり目の不調も効果的に改善できます

サプリメントを活用するのであれば、次の2つのような商品を選ぶのがおすすめです。

①免疫力を高める成分を含むサプリメント
免疫力を高める成分を含むサプリメントは、季節の変わり目に体調を崩す一因である免疫力の低下を改善し、元気な体作りに役立ちます。

免疫力を高める成分というのは、具体的にいうと次の通りです。

【免疫力を高める成分とその効能・効果】
成分名
効能・効果

プロポリス
免疫細胞を活性化させる

蔵華
(くらはな)
乳酸菌
免疫細胞の約70%がある腸に届きやすく、
腸の免疫細胞を活性化できる

霊芝
(れいし)
がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー細胞」や細菌感染を防ぐ「マクロファージ」などの免疫細胞を活性化する
免疫システムを正常にしてアレルギー症状を緩和する

メシマコブ
がん細胞を攻撃する「ナチュラルキラー細胞」や細菌感染を防ぐ「マクロファージ」などの免疫細胞を活性化する

②自律神経の乱れの原因にアプローチする成分を含むサプリメント
季節の変わり目の体調不良の一因である免疫力の低下は、自律神経の乱れが引き起こすものです。自律神経の乱れの原因にアプローチする成分を含むサプリメントを摂れば、季節の変わり目の不調を根本的に改善できます。

サプリメントでアプローチできる自律神経の乱れの原因は「1-1. 自律神経とは」で取り上げた中では2つあり、サプリメントに含まれていると良い成分は次の通りです。

【自律神経の乱れの原因及びアプローチする成分例とその効能・効果】
自律神経の乱れの原因 成分例とその効能・効果
1. ストレスを抱えている
◎テアニン
ストレスに対する自律神経系の反応を抑えて、リラックスさせる
◎ラフマ
ストレスが溜まると発生する「ノルアドレナリン」にアプローチして精神を安定させる
◎カモミール
静穏作用が働きストレスを緩和させる
血流を改善する
2. 女性ホルモンが乱れている
◎アグリコン型大豆イソフラボン
エストロゲンと似た作用がある「エクオール」を産生する◎高麗人参/クコの実
女性ホルモンのバランスを整える
◎沙棘(サジー)
血行を促進させる
◎マグネシウム
神経の興奮を抑えて精神的不調を緩和させる
【サプリメントを活用するときのポイント】

サプリメントを活用するときは「成分が複合配合されているサプリメント」を選ぶことをおすすめします。

このようなサプリメントには不調の原因に有効な成分が複数含まれているため、その成分群を通して不調の原因を効率良く改善していくことが可能です

季節の変わり目の体調不良の症状が重い/長引く場合は無理せず受診がおすすめ

季節の変わり目の体調不良の症状が重かったり、長引いたりする場合は無理せず受診しましょう。自律神経の乱れによる不調ではなく、別の原因によって症状が起きている恐れもあるからです

では、どの程度不調であったら受診した方が良いのかというと「これまでに経験したことがないほど症状が重いとき」「別の不調も一緒に起きているとき」といえます。たとえば、季節の変わり目の不調として多く挙がる頭痛の場合、次のような症状であれば受診を推奨することを一般社団法人日本頭痛学会は「頭痛について知る」で述べています。

  • これまでに経験したことがないくらいひどい
  • 突発性があり、短時間でピークに達するような痛み
  • 発熱がある
  • 手足が麻痺していたり、しびれていたりする
  • 数週間で悪化している

季節の変わり目に起こる体調不良は、前述した通り自分で対処・対策ができることもありますが、これまでとは違う症状の重さを少しでも感じたら受診することをおすすめします。

まとめ

季節の変わり目になると体調は崩れやすくなります。

3月~4月と6月~7月、9月~11月の寒暖差と気圧差が大きい時期が季節の変わり目であり、次のような不調が生じやすくなります。不調の原因は「自律神経の乱れ」かもしれません。

季節の変わり目 起こり得る不調
3月~4月(春)
自律神経の乱れ
【精神的な不調】
・イライラ
・憂うつ
・気分の落ち込み など
【身体的な不調】
・頭痛
・めまい
・倦怠感/だるい
・眠気
・肩こり
・不眠 など
その他の症状
・花粉症
・鼻炎
・アトピー など
6月~7月(梅雨)
9月~11月(秋)

このような季節の変わり目に起こる体調不良は、その場で対処して症状を和らげることができます。その対処法というのが、次の2つです。

季節の変わり目の
体調不良を和らげる
2つの対処法
  • ツボ押しをする
  • マッサージをする

季節の変わり目に体調が変わりやすいのは、以下2つの特徴を持つ人です。

季節の変わり目に
体調が変わりやすい人の
特徴
  • 「気象病」に当てはまる人
  • 月経がある・更年期の女性

日頃から免疫力を高めて健康的な体作りを心がけておけば、季節の変わり目になっても不調に大きく悩まされることが減ります。その対策として有効なのが、次の5つです。

  1. 適度に歩く
  2. バランスの良い食事を1日3食とる
  3. 入浴する
  4. 睡眠の質を高める
  5. サプリメントを活用する

もし症状が重かったり、長引いたりする場合は受診することをおすすめします。

季節の変わり目の体調不良に適応するためにも、免疫力を高めて元気な体を作っていきましょう。

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