テアニンを飲むタイミングは効果を得たい40分前がベスト。事例をもとに専門家が解説

2023. 01. 20
監修:望月みどり プロフィールを見る >

漢方養生指導士・サプリメントアドバイザー・健康管理士
女性の健康に関する専門性の高い記事を数多く執筆。 漢方養生指導士、サプリメントアドバイザーの知識を活かし、女性向けサプリメントの開発にも携わる

「テアニンを飲むタイミングが知りたい」
「効果を得るのに1番良い、飲むタイミングはいつ?」

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

もしあなたが睡眠障害にお悩みなら、テアニンはベッドに入る前のタイミングで飲むと良いでしょう

個人差はありますが、テアニンを摂取すると、40分程度で脳がリラックスした状態の時に発生する​​α波(アルファ波)が出現することが、研究によって確認されています。

α波が増加すると、副交感神経(※)が優位な状態になって心地良く眠りに入れます。
(※)夜間など体がリラックスしている際に機能する神経​​​​

この記事では、テアニンを飲むタイミングについて事例を交えて詳しく解説します

この記事をおすすめしたいのはこんな人です
  • テアニンを飲むタイミングが知りたい人
  • テアニンで睡眠障害を改善したい人
  • テアニンでリラックス効果を得たい人
  • テアニンで不安感を解消したい人
  • ベストなタイミングでテアニンを摂取したい人

テアニンは薬ではないので、いつ飲まなくてはいけないという決まりはありません。
いつ飲んでも、タイミングが原因で副作用が出るなどの心配も基本的にありません。

ただ、効果を実感するために、最適なタイミングがあるのも事実です。

最後まで目を通して、あなたの目的に合った、テアニンを飲むベストなタイミングを把握して頂けたらと思います。

『テアニン』を飲むタイミングは睡眠の40分から1時間前

睡眠障害にお悩みの方におすすめしたいテアニンを飲むタイミングは、ベッドに入る前です。
もう少し細かくいうと、睡眠の40分から1時間ほど前に飲むと熟睡できます

なぜそのタイミングが良いと言い切れるのか?

それは、テアニン摂取後40分〜1時間でα波(アルファ波)が出現し、その状態が少なくとも2時間は持続することが、研究によって確認されているからです。

α波は、脳がリラックスした状態の時に発生する脳波です。
睡眠に入るとき、私たちの脳波は、β波(※)からα波へと変容していきます。
(※)β波:脳が活動しているときに発生する脳波

α波が増加すると、脳がリラックスして交感神経が抑えられ、自律神経(※)のバランスが整います。
体を休息させる役割の副交感神経が優位になるのです。

(※)自律神経:全身の器官をコントロールする神経系。自律神経は体の活動性を生み出す「交感神経」と、体を休息させる「副交感神経」から成り立っている

スムーズに眠りが訪れる際には、体を休息させる副交感神経が優位になることが知られています。

ですから、テアニンを摂るとα波が増加し、副交感神経が優位なリラックス状態になって心地良く眠りに入れます

Check!
【眠りのメカニズム】

人の睡眠は、脳が起きている状態の「レム睡眠」と、脳も眠っている状態の「ノンレム睡眠」という質的に異なる2つの睡眠状態の繰り返しで構成されています。​​

 

私たち人間は、寝つくとまず90分程度の「ノンレム睡眠」状態を迎えます。

上図にあるように、この時の「ノンレム睡眠」は、睡眠の中で最も深い眠りとされており、眠りの質を高めるには、この最初の時間帯にしっかり眠ることが何より重要です

睡眠の40分〜1時間前のタイミングにテアニンを飲むと、α波が発生して、質の良い眠りの鍵となる入眠時に深い眠りが得られます

参照:日本農芸化学会誌|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響

【検証】『テアニン』を睡眠前のタイミングに飲んで効果があらわれた2つの事例

ここまでの解説の裏付けとして、テアニンを睡眠前に飲んで本当に効果があらわれた2つの検証事例をご紹介します。

事例1|テアニンで睡眠の質が上がった!
事例2|テアニンで起床時の疲労感が軽減した!

それぞれ見ていきましょう。

2-1.テアニンで睡眠の質が上がった

テアニンの就寝1時間前の摂取で、睡眠の質が向上することが検証された事例です。

健康な男性22名を対象に、就寝1時間前にテアニン200mgと同量のプラセボ(※)​​を6日間摂取する試験を行いました。

結果、テアニンを摂取した場合にのみ、寝つきや中途覚醒の改善、よく寝た感覚など、睡眠の質が向上している傾向がみられました。​​

(※)プラセボ:有効な成分が入っていない見た目が同等な錠剤や食品など。

参照:Actigaph を使用した L-テアニンの睡眠への影響​​| 日本生理人類学雑誌

2-2.テアニンで起床時の疲労感が軽減した

テアニンの就寝前の摂取で、起床時に疲労が回復していることが検証された事例です。

閉経後の健康な中高年女性(50歳〜65歳)20名を対象にした実験。

テアニン200mg含有の試験食品および対象食品を6日間、就寝前に摂取して​、アンケートによる主観的評価、就寝中の活動量から算出した中途覚醒時間、脈拍、脈波から算出した交感神経と副交感神経の活動量を用いて、客観的評価を行いました​​。

結果、テアニン摂取時に、睡眠中の交感神経活動が減少、副交感神経活動が増加しました

さらに、アンケートの結果から、起床時の疲労回復感が良好となる傾向が認められました

参照:閉経後の女性の睡眠中の自律神経系に対する L-テアニンの効果

覚えておこう!『テアニン』は目的に応じて“飲むタイミング”を決める

テアニンを睡眠前に飲むと眠りの質の上がることを解説しましたが、覚えておいて欲しいのは、これ以外のタイミングで飲んではいけないわけではないことです。

少し乱暴な言い方になりますが、「テアニン」は薬ではないので、基本的にいつ飲んでも良いのです

ただ、効果を確実に実感して頂くために、眠りが浅い人は、α波の出現時間から逆算して、睡眠前40分から1時間の摂取がおすすめだとお伝えしました。

同じように、睡眠以外の目的を持つ方も、α波の出るタイミングを見計らってテアニンを摂取すると効果的です。

ここでは、わかりやすい例を挙げて、目的に応じた「テアニンを飲むタイミング」を説明します。

  • リラックス効果を得たいときの摂取タイミング
  • 不安感を解消したいときの摂取タイミング

あなたがテアニンを飲む目的は何でしょうか。
それに応じたタイミングを把握しておきましょう。

3-1.リラックス効果を得たいときの摂取タイミング

テアニンで、リラックス効果を得たいなら、リラックスしたい時間の40分〜1時間ほど前のタイミングで摂取しましょう

たとえば、仕事の休憩時間などに合わせて飲むということです。
時間に関係なく、なるべく早くリラックス感を得たいときは、その場ですぐ飲むと良いでしょう。

先述のように、テアニンを摂取すると、40分〜1時間で心身共にリラックス状態のときに出るα波が出現し、その状態が少なくとも2時間は持続します。

休憩時間に一杯のお茶を飲んだだけで徐々に緊張が解け、その後、体も心も何だか楽になることがないでしょうか。
それは多くの場合、テアニンのリラックス効果が作用しているからなのです。

【事例|「テアニン」のリラックス効果】

静岡県立大学食品栄養科学部の研究では、テアニンのリラクゼーション効果を調べるために、テアニン200mgを摂取後のヒト脳波を測定したところ、40分ほどのちにα波の顕著な出現が観察されました。

参照:緑茶成分テアニンの向精神作用について​​|日本生物学的精神医学会誌​​
J-STAGE|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響​​|日本農芸化学会誌​​

3-2.不安感を解消したいときの摂取タイミング

不安感やイライラを鎮めたい場合、テアニンを摂取すると40分〜1時間ほどでα波が出現して、心が落ち着きます

不安な気持ちになったとき、精神的に追い込まれたとき、指先が冷たくなった経験がないでしょうか。
それは、自律神経が乱れて、血液の循環が悪くなった状態です。

自律神経は、全身の器官をコントロールする神経系で、体の活動性を生み出す「交感神経」と、体を休息させる「副交感神経」から成り立っています。
悩みや不安、強いプレッシャーといったストレスが溜まると、「交感神経」が優位な時間が長く続いて自律神経のバランスが乱れてしまいます。

テアニンを飲んでα波が増加すると、脳がリラックスして交感神経が抑えられ、自律神経が整います。
自律神経が整うと副交感神経が優位になり、血管の収縮が鎮まって血行がよくなります。

冷水で負荷をかける実験において、(冷水をかけてられても)テアニンを飲むと手の温度が10分程度で元通りになるという結果が得られています。

個人差はありますが、テアニンを飲むと「手がポカポカしてくる」という報告も挙がっているのです。

このように、テアニンには、ストレスで尖った神経を宥めて、不安な気持ちを抑える効果があります。
効果は40分〜1時間ほどで表れるので、タイミングを測って飲むようにしましょう。

【事例|「テアニン」の不安解消効果】

テアニンの影響を不安程度の異なる精神状態で調べた研究。

不安傾向にある女子学生4名と、不安を感じる傾向の低い女子学生4名の計8名を対象に、200mgのテアニンを含む水100mlを服用する実験を行いました。

摂取後40分後に後頭部、頭頂部にα波の出現が観測され、また、α波の出現によるリラックス作用は、不安傾向にある被験者により強く表れる結果が報告されました。

さらに、α波による効果は少なくとも2時間は持続することが確認されています

テアニン服用後、すべての被験者は眠気を感じず、リラックス感を感じたほか、指先が暖かくなったと体感した人もいました。

40分から1時間というのは、一般的な例で反応には個人差があり、早い人では10分〜20分程度でα波が表れた例もあります。

テアニンは、効き目を求める時間の40分〜1時間を目安として、摂取の目的に応じ「飲むタイミング」を測るようにしてください。

参照:日経メディカル|テアニンに抗ストレス作用を確認 太陽化学と名大が成果を発表​​

『テアニン』はサプリメントでの摂取がおすすめ

テアニンで効果を得るためには、サプリメントでの摂取がおすすめです。
というのも、テアニンの必要量をお茶で摂ろうとすると、毎日かなりの杯数を飲まなければならないからです。

テアニンの1日の摂取量目安は200mgです。
これまでの研究で、200mgの摂取で実感できる効果があらわれることが明らかになっています。

しかしながら、200mgのテアニンというのは簡単に摂れる量ではなく、一般的な茶葉で煎れた煎茶であれば、一杯80mlとして約20杯も飲まなくてはならなくなります。

お茶好きの人でも毎日20杯は大変な上に、そんなに飲むと、カフェインなど他の成分を摂り過ぎる心配も出てきてしまいます。

そこでおすすめしたいのが、テアニン配合のサプリメントでの摂取です
サプリメントであれば、手軽に必要量を摂取できますし、吸収率も良いので高い効果が期待できます。

ただ、「テアニン」サプリメントであればどんな商品でも良いわけではありません。
良質なサプリメントの選び方について、次章「効果的な『テアニン』サプリメントの選び方」で述べていきますので、ぜひ参考にしてください

参照:化学成分か ら見た市販緑茶の品質​​|農林水産省野菜 ・茶業試験場​​

飲むタイミングより重要!『テアニン』サプリメントの選び方

テアニンは、お茶をたくさん飲むよりも、サプリメントで摂取する方法がおすすめです。

ただ、テアニンの効果を得るためには、どんなサプリメントでも良いというわけではありません。
5章では、飲むタイミング以上に重要な『テアニン』サプリメントの選び方を伝授します。

  • 『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ
  • 複合成分配合のサプリメントを選ぶ

よく読んで、ポイントを把握しておきましょう。

5-1.『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ

忘れてはならないポイントは、テアニンが200mg以上配合されているサプリメントを選ぶことです。
先述のように、テアニンは「200mg」を目安に摂取することで、効果が得やすくなります。

1日の摂取目安量でテアニンの含有量が200mgになっているか?を、しっかりチェックしましょう。

ちなみに、摂取量や注意点など必要な情報​​が記載されていないサプリメントは、信頼性の高い商品とはいえません。

テアニンの200mg以上の配合が明記されているサプリメントを選びましょう。

5-2.複合成分配合のサプリメントを選ぶ

2つ目のポイントは、テアニンの単一処方ではなく、複合成分配合の商品を選ぶことです。

複合成分配合サプリメントには、様々な原因にアプローチする複数の成分が含まれているため、多岐に渡る症状の改善が期待できます。

「テアニン」サプリメント摂取をお考え方の多くは、未病の状態で複雑な不調を抱えていることが多いです。

たとえば、睡眠障害をお持ちの方は、日常生活でストレスを抱えていることが多く、そのせいでイライラや不安感に悩まされていたりします。

仕事と休息のバランスが上手くとれずリラックスできない人の不調は、疲労感や冷え性、肩こり…と多岐に渡ります。

こうした複数の症状を、主たる1つの不調、1点の原因にアプローチする単一成分のサプリメントで解消していこうとすると、いくつもの種類を摂取しなければならなくなります。

「テアニン」のサプリメントを選ぶなら、今抱えている複数の不調にアプローチする、複合成分配合のサプリメントが良いでしょう。

Check!
<『テアニン』サプリメントに配合されるおすすめの成分>

テアニン以外に、サプリメントに配合されていると効果的な天然由来成分には次のようなものがあります。

  • 女性特有の心の疲れ効果がある「カモミール」
  • “抗うつ効果”のある「ラフマ」
  • 緊張を和らげる効果のある「レモンバーム」
  • 睡眠障害の中でも特に寝つきをよくする「グリシン」
  • ストレスを軽減する「GABA」

サプリメントを購入する際は原材料表示を確認し、テアニンと併せてこうした有効な成分が配合された商品を選びましょう。

まとめ

テアニンを飲むタイミングは、睡眠やリラックス感などの効果が得たい時間の40分から1時間前です。
個人差はありますが、摂取後40分から1時間でα波が出現し、その状態が少なくとも2時間は持続します。
​​
テアニンは、サプリメントで摂取する方法がおすすめです。
テアニンサプリメントを選ぶときのポイントは3つあります。

  • 『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ
  • 複合成分配合のサプリメントを選ぶ

癒し成分「テアニン」の効果で、あなたのお悩みが解消されますように。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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