「最近めまいがするのだけど、めまいって何科に行けばいいのかしら」
「40代でめまいって…これってもしかして更年期?」
40代になってから突然めまいを起こすようになると不安ですね。
実は、40代女性はさまざまな問題から、めまいが起きやすいことが分かっています。
女性でめまいを訴える人はすべての年齢で男性よりも多く、70歳以上の高齢者を除くと、40代でその割合がピークに達します。
重篤な病気が原因のめまいの場合は、早急に病院で受診する必要があります。
また、更年期の症状であれば、めまいだけでなくほてりや頭痛、情緒不安定といったほかの症状も出てくることがあるため、体全体のバランスを整える予防策が必要になってきます。
まずは自分のめまいがどんなものなのかを把握し、めまいの原因に合わせて正しく対処することが何より大切です。
そこでこの記事では、40代女性をおそうめまいについて、それぞれの特徴や傾向を詳しく解説します。
また、更年期によるめまいについては、その予防や緩和に役立つ方法をわかりやすくお伝えしていきます。
この記事を読むことで、あなたに起きているめまいの原因を知り、正しく対処できるようになります。
目次
40代女性で起こりやすい「めまい」には3つの種類がある
40代になると、女性はさまざまな問題からめまいが起きやすくなります。
めまいには以下の3つの種類があるのですが、そのどれもが40代女性で発症率が高くなるのです。
- 耳が原因のめまい
- 脳が原因のめまい
- 耳や脳以外が原因のめまい
そして、めまいの種類によって、隠されている病気や疾患が異なるのです。
中には重大な病気や疾患によるめまいもあるため、自分に起きているめまいが主にどんな原因から起きているものなのか、すぐに病院で受診した方がいいのか、めまいの特徴やそのほかの症状からある程度判断する必要があります。
3種類それぞれのめまいについて詳しく説明しますので、あなたに起きているめまいの可能性について、判断できるようにしていきましょう。
1-1.耳が原因のめまい
耳が原因でめまいが起こる主な病気には、以下のようなものがあります。
■良性発作性頭位めまい症
めまい疾患の中でもっとも多い病気で、頭を動かしたり頭の位置を変えたりすると、グルグル回るような回転性のめまいが起こります。
耳の奥にある三半規管に耳石(じせき)が入り込むことが原因といわれ、長時間続くことはなく、安静にしていると徐々に改善していきます。
耳石は頭部に衝撃を受けることで落ちるほか、カルシウム不足によっても剥がれ落ちます。
更年期になるとホルモンバランスの影響で体内のカルシウムが不足するため、40代以降の女性で発症しやすいめまいです。
■メニエール病
耳の奥にある内耳にリンパ液がたまることによって生じる病気です。
発作的に激しい回転性のめまいが起こり、30分から数時間程度続きます。耳鳴りや耳が詰まった感じ、難聴を伴うこともあります。
ストレスや過労などで発症し、男性よりも女性に多く見られます。若い女性に多いイメージですが、実際の発症年齢は40代女性がもっとも高くなっています。
■前庭神経炎
強い回転性めまいが突然起こり、数時間から数日続くことがあります。
悪心、嘔吐を伴うこともありますが、耳鳴りや難聴はありません。
少しずつ改善していきますが、しばらくは動くとふらつきを生じやすいです。
■突発性難聴
突然、耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいなどを伴います。原因はよくわかっておらず、40~60歳代に多くみられます。
1-2.脳が原因のめまい
脳の血管が詰まる脳梗塞、血管が破れてしまう脳出血やくも膜下出血、脳腫瘍など脳が原因でめまいが起こることもあります。
意識障害、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない、激しい頭痛などの症状を伴うこともあります。
脳の異常が原因で起こるめまいは、緊急性の高い重篤な病気の可能性もあるため、めまいのほかに気になる症状があった場合はすぐに医師の診断を受けてください。
1-3.耳や脳以外が原因のめまい
耳や脳以外にもさまざまな原因でめまいを起こすことがあります。
血圧の異常でもめまいが起こる場合があり、起立性低血圧では立ちくらみを生じます。
また、貧血でも、立ちくらみのようなめまいを伴うことがあります。
その他、自律神経のバランスの乱れから耳鳴りやめまいが起こったり、更年期の症状としてめまいが起こったりすることもあります。
【めまいの種類別】40代女性が病院でかかるべき科
めまいの種類によって病気や疾患などの原因のある場所が異なるため、正しく処置してくれる科で診察を受ける必要があります。
それぞれの種類によってかかるべき科は、おおよそ以下の通りです。
あなたのめまいがどの種類のものかを判断し、めまい以外の症状と合わせて正しく処置してくれる科に足を運んでください。
それぞれ詳しく説明していきましょう。
2-1.耳が原因のめまいの場合にかかるべきは耳鼻咽喉科
耳が原因のめまいで受診するべき科は、耳鼻咽喉科です。
グルグル回るような回転性のめまいで、耳鳴りや耳が詰まったような感覚がある場合は、耳に原因があると考えられます。
ひとまず耳鼻咽喉科を受診してみてもらいましょう。
2-2.脳が原因のめまいの場合にかかるべきは脳神経内科
脳が原因のめまいで受診するべき科は、脳神経内科や脳神経外科です。
脳や脳の血管に原因がある場合、生命そのものの危険や後遺症が残る可能性があるため、症状を感じたら一刻も早く病院を訪れてください。
激しい頭痛や手足・顔の痺れ、ろれつが回らなかったり、歩きにくかったりなど、普段とは明らかに異なる症状があるものなので、めまいと共にこのような違和感を感じたら、早急に救急外来を受診してください。
2-3.耳や脳以外が原因のめまいはかかりつけ医に相談
耳の症状や、緊急性を有する脳の疾患以外の場合は、何科を受診すべきか判断に迷う場合も多いでしょう。
原因がひとつでなく複合的に作用しているケースも多いため、迷ったら、まずはかかりつけ医やかかりやすい近くの内科などで相談してみるとよいでしょう。
40代女性では、更年期症状によるめまいの可能性もあります。
「4.40代女性は更年期でめまいが起きることが多い」の章でも詳しく解説しますが、それまで健康な人であったとしても、更年期症状のひとつとしてめまいが起きやすくなるのです。
更年期の症状が疑われる場合は、婦人科で相談してみましょう。
めまいが起きた時に被害を大きくしないための応急処置
自転車や自動車の運転をしている時だけでなく、歩行中や家で料理をしている時でも、めまいの起きた状況によっては、重大な事故に繋がる危険があります。
特に、仕事や家事、育児で多忙な40代女性は、めまいが起きてもただその場でやり過ごしてしまうケースが多くなりがちです。
しかし、めまいの中には、数秒で収まるものだけでなく、一時間近く続いたり繰り返したり何度も起きるものがあります。
まだ病院を受診していない状態で、原因が特定できていない40代女性は、めまいによって二次被害を引き起こさないよう、めまいが起きたらすぐに以下の対策をしてください。
- 安静にする
- 水分を摂る
それぞれ詳しく説明していきましょう。
3-1.安静にする
めまいを感じた場合は、その場で座るか、できれば横になってめまいが収まるのを待ちます。
めまいがしている状態で無理に動くと、転倒して怪我をするおそれもあります。
自転車や自動車を運転しているときは、周囲に気をつけながら路肩や道の端に移動するようにしてください。
脳に必要以上の情報を与えないよう、目を閉じて静かにやり過ごしてください。
明るい部屋であれば暗くし、音楽を聞いている時であれば一旦音楽を切り、目や耳から入ってくる刺激をできるだけ少なくします。
なお、横になる場合は、枕はせずに頭の位置を低くすることを心がけてください。
3-2.水分を摂る
首の筋肉の極度の緊張や心理的なストレス、自律神経の乱れによるめまいは、脱水状態の時により出やすくなります。
水分補給をすることで、めまいからの復活を早め、繰り返しを防ぐことができます。
体を冷やさないよう常温または温かい飲み物を飲むことで、緊張状態も緩和されて血液やリンパの流れが良くなるでしょう。
緑茶やコーヒーなどカフェインの入ったものは、一時的な血圧上昇を引き起こして心臓や脳に刺激を与えるため、めまいのある場合は避けるようにしてください。
40代女性は更年期でめまいが起きることが多い
40代になると、女性は閉経に伴ってさまざまな更年期症状が起きてきますが、めまいもそのひとつに挙げられます。
更年期では、主に以下の症状が起こります。
めまいは「②その他のさまざまな身体症状」のうちのひとつとして挙げられていますが、なぜ更年期でめまいが起きるのか、日本産科婦人科学会が監修した『HUMAN+』という健康手帳を元に、その仕組みや原因について見ていきましょう。
4-1.女性は40代から更年期がおとずれる
更年期とは、一般的に閉経前後の5年ほどの期間を指します。
個人差はありますが、日本人女性の場合おおよそ50歳前後で閉経する人が多く、その閉経の時期をはさんだ前後5年ずつの約10年間を更年期と呼ぶのです。
つまり一般的には、45〜55歳頃が更年期の期間に当たります。
40代になってから突然体の不調を感じる女性が多くなるのは、多くの場合閉経に向けてホルモンバランスが崩れることに起因します。
閉経は、それまで規則的にあった月経周期がだんだん不規則になり、やがて月経が来なくなるものです。
月経周期に必要だったエストロゲンという女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、ホルモンのバランスが崩れて、心身にさまざまな不調があらわれるのです。
更年期を迎えたすべての女性に不快な症状がでるものではなく、約半数の人はあまり症状を感じていません。
一方で約半数の人は、症状の重さや軽さの違いはあるものの、なんらかの不快な症状を感じています。
どんな症状が出るか、またそれぞれの症状の重さについては個人差のあるものですが、更年期のさまざまな不調を「更年期症状」といい、日常生活に支障が出るほど重いものについては「更年期障害」といいます。
更年期障害の場合は、治療すべき「病気」であると判断されます。
4-2.更年期で起こる不調によってめまいが起こることもある
更年期に起こりやすい自律神経バランスの乱れによってめまいを起こすことがあります。
自律神経とは、内臓や代謝、体温といった体の機能を24時間体制でコントロールする神経のことです。
心と体を活発にする交感神経と、休ませる副交感神経がバランスを取りながら、私たちの体を支えています。
エストロゲンは、脳の視床下部にある下垂体と呼ばれる部分で分泌をコントロールしています。この下垂体は、自律神経と繋がっているところです。
女性が45歳を過ぎるころから、卵巣機能の衰えにより、下垂体がエストロゲンの分泌指令を出しても、エストロゲンは出にくくなります。
指令を出してもエストロゲンが分泌されないことで脳が混乱し、この混乱が自律神経にも伝わることで、めまいを始めとしたのぼせや冷えなどさまざまな不調が起きてしまうのです。
本質的に改善するなら体全体を整えていく必要がある
めまいの原因が、耳や脳に原因のある病気ではなく更年期による症状である場合、この時期の生活習慣を適正にし、体全体を本質から整えていくことが何より大切です。
めまいの原因が特定の病気によるものであれば、専門医による診断と治療が必要です。
一方、更年期が原因のめまいであっても、日常生活にまで支障のある「更年期障害」であれば、ホルモン補充療法などで、減少したエストロゲンを直接的に補充する治療を行う場合もあります。
生活に支障のない範囲の更年期症状であれば、めまいをきっかけにして生活習慣全体を見直すことで、更年期の症状を軽減して、更年期以降の人生を健やかに過ごすこともできます。
5-1.体を整える毎日の良い習慣とは
生活習慣の見直しとは、具体的に、食事、休養、運動習慣の3つの項目について悪い習慣をなくし、できることから良い習慣を取り入れていくことです。
これからさらに年齢を重ねていくこと、代謝が落ちて太りやすくなることなどから、さまざまな生活習慣病が迫ってきている40代女性。
更年期によるめまいをきっかけに、健康に悪い習慣を見直して、できることから少しずつ実践に移していくことが大切です。
5-2.女性ならではの悩みには東洋医学の考え方も取り入れるべき
女性の体の仕組みとして、40代で女性ホルモンのエストロゲンが減少するのはごく自然なこと。
とはいえ、自然なことだから、病気ではないのだからと我慢する必要はありません。
西洋医学では病名のつかない体の不快感や不調を改善するには、東洋医学の考え方を取り入れて、自己治癒力を高めていくことで対応ができます。
東洋医学では「五行論」という考え方が根本にあります。
「五行論」とは、この世にあるすべてのものは「木」「火」「土」「金」「水」の5つで構成されており、お互いに作用しあってバランスを成り立たせているというものです。
人間の身体も五行論に基づき、性質と機能によって「五臓」に分けられます。
ご覧いただくとわかるように、体の中のすべての臓器や機能は相関しあっています。
そのため、めまいという症状がでてもそこだけに対応するのではなく、更年期という体の変化に着目しながら、すべての器官や機能のバランスを取っていき、体の内側から体質そのものを整えていくことが大切なのです。
生活習慣の見直しにより自律神経の働きを整え、体の各機能を活性化させることで、めまいだけでなくさまざまな更年期症状を緩和することができます。
5-3.漢方薬やサプリメントで体を整えることがおすすめ
生活習慣の見直しをする一方で、時間のない方、より積極的に症状の改善を試みたい方には、五行バランスを踏まえた漢方薬やサプリメントを取り入れることをおすすめします。
西洋医学とは異なるアプローチで女性の心身のバランスを整えてくれる漢方の恵みは、昔も今も女性の強い味方です。
更年期の症状によく使われる漢方薬には、以下のようなものがあります。
しかし、漢方薬はあくまでも「医薬品」ですので、病院や漢方薬局で体質や症状に合ったものを処方してもらうことが望ましいものです。
もっと手軽に体質改善に取り組むには、サプリメントを利用する方法もあります。
サプリメントを摂取する場合は、以下のような成分が含まれているサプリメントがおすすめです。
体内でエストロゲンと同じような働きをする大豆イソフラボンをサプリメントで摂取することで、この時期に急激に減少するエストロゲンのはたらきを補い、更年期の症状を緩和することができます。
また、その他にも疲労回復、滋養強壮や血流改善など、身体のバランスを整える成分を一緒に摂るとより効果的です。
更年期にからだ全体のバランスを整えていくなら、大豆イソフラボンや心身のバランスを整えてくれる生薬や成分が配合されたサプリメントを選びましょう。
まとめ
今回は、40代女性のめまいについて、その特徴から原因となる病気や疾患などを紹介し、40代女性で特に多くなる更年期症状によるめまいについてお伝えしてきました。
40代女性のめまいには以下の3種類が挙げられ、それぞれ原因となる病気や疾患が異なります。
それぞれのめまいの種類ごとに、病院でかかるべき科は以下の通りです。
めまいが起きた際は、事故や怪我を引き起こさないよう、以下のことを心がけてください。
更年期に入ると、めまいを始めとして以下の症状が現れやすくなります。
めまいの原因ごとの改善策は以下の通りです。
更年期症状を落ち着けるのに有効とされている漢方薬は以下の通りです。
サプリメントを取り入れる場合は、以下の成分が複合的に含まれているものを選んでください。
めまいの原因を知り、正しく対策することで、40代を生きるあなたの日々がもっと輝くことを祈っています。