「大豆イソフラボンに、どんな効果があるのか知りたい!」
「体に良いと聞くけど、何がどういいの?大豆食品さえ食べればイソフラボン効果があるの?」
こんな疑問をお持ちではないでしょうか。
豆腐や味噌、油揚げ、納豆、豆乳など、大豆を原料とする食品のほとんどに含まれている「大豆イソフラボン」には、7つの女性に嬉しい健康効果があります。
この記事では、「大豆イソフラボン」の7つの効果を、仕組みからわかりやすく解説します。
実際に効果が発揮された事例も紹介しますので、大豆イソフラボンの驚くべきパワーがしっかりイメージして頂けるでしょう。
また、大豆イソフラボンは、何から、どれくらい摂ればいいのかという点にも言及していきます。
最後まで目を通せば、具体的な効果を理解した上で、毎日上手に「大豆イフラボン」を摂っていけるようになります。
健康で錆びない体を手に入れるために、まずは多様な効果から、ひとつずつみていきましょう。
目次
女性に嬉しい!大豆イソフラボンの7つの効果
大豆イソフラボンには、女性に嬉しい7つの効果があります。
順番に解説します。
1-1.更年期の症状を緩和する
大豆イソフラボンには、女性の更年期の症状を緩和する効果があります。
『植物性エストロゲン』の異名を持つ大豆イソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」と分子構造が似ていて、更年期に減少するエストロゲンの代わりになる作用を持っているのです。
「エストロゲン」は、女性らしさをつくるホルモンで、生殖器官を発育、維持させる働きを持ちます。
肌や髪の潤いを守り、女性の体全体の健康を支える作用も果たす、女性の心身に大きな影響を与えるホルモンです。
更年期の症状は、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量が急激に減少してバランスが崩れることによって引き起こされます。
見ていただくとわかるように、エストロゲンの分泌量は40歳を過ぎたあたりで急激に減少します。
それに伴って、多くの女性は体に不調を感じ始めます。
発汗、めまい、肩こり、頭痛、疲労感、不安やイライラ…こうした更年期の症状を緩和するのが、エストロゲンと似た作用を持つ「大豆イソフラボン」です。
大豆イソフラボンを摂取すると、体内の細胞は、それを「エストロゲン」と認識して受け入れます。
受け入れられた大豆イソフラボンは生体内でエストロゲンの受容体と結合し、コラーゲンの産生を促して肌を健やかに保ったり、女性特有の不調を緩和する働きをするのです。
参照:CiNii|大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について
1-2.月経前症候群(PMS)の緩和
大豆イソフラボンには、月経前症候群(PMS)を緩和する効果が期待できます。
女性ホルモン「エストロゲン」に似た作用で、ホルモンバランスの乱れを整え、月経前の心身の不調を和らげます。
一般的に月経前症候群(PMS)は、女性ホルモンの急変動によって起こると考えられています。
女性ホルモンは通常、「エストロゲン」と妊娠準備のためのホルモン「プロゲステロン」が周期的に増減しながら分泌されます。
排卵期を過ぎると、妊娠を継続させる機能により、2つの女性ホルモンの分泌量が上昇するのですが、妊娠しておらず生理を迎える場合、いったん上昇した分泌量が一気にダウンすることになります。
この急激な変化に体と心が振り回されてしまうことで、月経前症候群(PMS)が起こります。
大豆イソフラボンにはエストロゲンを補い、ホルモンバランスを整える働きがあります。
子宮の状態が整うことで、月経前症候群が緩やかになる効果が期待できます。
参照:月経前症候群に及ぼす大豆イソフラボンの影響|跡見学園女子大学短期大学部家政科・東京農業大学応用生物科学部
1-3.美肌へ導く作用
大豆イソフラボンには、シミやシワを改善して美肌に導く効果があります。
これは、大豆イソフラボンの2つの働きによるものです。
① 女性ホルモン「エストロゲン」に似た働き
② 抗酸化作用
女性ホルモンの「エストロゲン」には、コラーゲンやヒアルロン酸の生成を促して肌をなめらかに美しく保つ働きがあります。
大豆イソフラボンはこのエストロゲンと似た分子構造をしていることから、エストロゲンの不足を補って、女性の肌の潤いをサポートする効果が期待できます。
また、大豆イソフラボンには抗酸化作用があります。
紫外線やストレス、加齢などで体内に発生する活性酸素が肌の細胞を攻撃すると、コラーゲンが酸化して、潤いやハリが失われてしまいます。
大豆イソフラボンの持つ抗酸化作用がこのコラーゲンの破壊を抑制することで、みずみずしさや弾力のある肌に導きます。
大豆イソフラボンの持つ2つのチカラが合わさることで、美肌効果が得られます。
1-4.生活習慣病の予防と改善
大豆イソフラボンには、生活習慣病の予防や改善効果があります。
大豆イソフラボンは、細胞内に脂肪が蓄積するのを抑えたり、脂肪酸の燃焼を促進したりする働きで、血中のコレステロールの濃度を下げ、動脈硬化や糖尿病などの発症リスクを低下させます。
血液中のLDLコレステロール値が高いと動脈硬化など生活習慣病の進行リスクが高まり、心筋梗塞や脳卒中のリスクへ繋がることが知られています。
国立健康・栄養研究所の調査で、大豆イソフラボンを含む大豆タンパク質を1〜3ヵ月継続摂取したところ、血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの濃度を有意に低下させたという検証がされています。
命にまで危険が及ぶ生活習慣病を避けるために、摂取するだけで血中総コレステロールとLDLコレステロールを下げられる「大豆イソフラボン」は、注目すべき成分といえます。
参照:大豆イソフラボンはヒトの血清総コレステロールと LDL コレステロールを低下させる:11 のランダム化比較試験のメタ分析
1-5.骨の健康をサポート
大豆イソフラボンには、骨の健康をサポートする効果があります。
女性ホルモンのエストロゲンに似た働きが、古い骨が壊される「骨吸収」を抑制し、骨の成分を維持して健康に保ちます。
骨は、古くなった成分を壊して骨のしなやかさを保つ「骨吸収」と、食べ物から摂取したカルシウムが血液から骨へと運ばれる「骨形成」で新陳代謝を行なっています。
しかしながら、特に女性は更年期以降、骨量の維持に関与している「エストロゲン」の分泌が減ってしまうため、「骨吸収」を抑えて、丈夫な「骨形成」を維持することが難しくなっていきます。
骨の量(骨量)が減って骨が弱くなると、骨折や骨粗しょう症のリスクが高まります。
植物性エストロゲンとも呼ばれる「大豆イソフラボン」は、骨からのカルシウムの溶出を抑えます。
エストロゲンを補って、似た働きをすることで、骨密度の高い強い骨を守ります。
参照:食事と運動による骨粗しょう症の予防—大豆イソフラボンを中心に|(独)国立健康・栄養研究所石見 佳子
1-6.アンチエイジング効果
大豆イソフラボンには、アンチエイジングをサポートする効果があります。
大豆イソフラボンには、DHEAというホルモンの血中濃度を上げる働きがあることがわかっています。
DHEAとは、別名「若返りホルモン」と呼ばれ、肌や筋肉、骨などの健康を保つ、体脂肪をつきにくくする、免疫力をアップするなど、体全体の若さを維持するためのホルモンです。
ある研究によると、大豆イソフラボンの3ヵ月間、1日40mgの飲用で、このDHEAが3倍に増えていることが確認されています。
また、大豆イソフラボンには、細胞の酸化を防ぐ高い抗酸化作用が認められています。
増えすぎた活性酸素は、細胞にダメージを与えて老化の原因になります。しかし、大豆イソフラボンの持つ抗酸化作用が、体のサビつきを予防します。
つまり、大豆イソフラボンは、DHEAを増やす働きと高い抗酸化作用で、アンチエイジングをサポートしてくれるのです。
参考:ニチモウ イソフラボン倶楽部
1-7.乳がんのリスクを下げる
最近の研究で、大豆イソフラボンは乳がんの予防に効果があることが明らかになっています。
大豆イソフラボンの持つ過剰なエストロゲンの働きを弱める作用が、乳がんのリスクを低下させるのです。
「大豆イソフラボンはエストロゲンを補うのでは?」
と、疑問に思われた方がいるかもしれませんが、実は、大豆イソフラボンは「エストロゲン」が不足しているときには補う作用を発揮し、逆に過剰にあるときには抑制する作用を兼ね備えているのです。
乳がんの多くは、「エストロゲン」の影響を受けていて、分泌が多いほど発生リスクが高まります。
エストロゲンが分泌されると、乳腺細胞の表面にあるエストロゲン受容体(レセプター)と結合して細胞に作用しますが、エストロゲンと似た分子構造を持つ大豆イソフラボンを多く摂取すると、本物のエストロゲンより先に大豆イソフラボンが受容体に結合してエストロゲンの働きを弱めます。その結果、乳がんのリスクが下がると考えられています。
参照:日本における大豆、イソフラボン、乳がんリスク|国立がん研究所
事例紹介|「大豆イソフラボン」で本当に得られた効果
大豆イソフラボンの効果について解説してきましたが、メカニズムだけでは本当にそんなに良い効果があるのかどうか疑問に思われる方もいるでしょう。
そこでこの章では、実際に検証された大豆イソフラボンの効果の事例を紹介します。
大豆イソフラボンの本当にすごい効果を、順に見ていってください。
2-1.事例1|更年期障害が緩和された
閉経後の女性で、更年期障害の緩和が検証された事例です。
Kubota, Y. et al.: 大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について,日本人間ドック学会誌 健康医学,17, 62-67(2002)
2-2.事例2|生活習慣病のリスクが低減した
閉経後の女性で、脳梗塞と心筋梗塞の発症および循環器疾患による死亡リスクを低減させることが検証された事例です。
イソフラボンと脳梗塞・心筋梗塞発症との関連について|多目的コホート研究からの成果|国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所予防関連プロジェクト
2-3.事例3|女性の骨密度が上がった
大豆イソフラボンと運動の併用が、閉経後の女性の骨粗しょう症の予防に効果的だということが検証された事例です。
閉経後女性の骨密度と身体組成に対する大豆イソフラボンと運動の併用効果|独立行政法人国立健康・栄養研究所
2-4.事例4|乳がんの発生リスクが下がった
大豆イソフラボンの摂取が乳がん発症リスクを減少させることが検証された事例です。
血中イソフラボン濃度と乳がん罹患との関係について|多目的コホート研究からの成果|国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策研究所予防関連プロジェクト
BQ5.大豆,イソフラボンの摂取は乳癌発症リスクを減少させるか?|日本乳癌学会乳癌診療ガイドライン
いかがでしょうか。
昨今、大豆イソフラボンは、生活習慣病や乳がんの他にも、子宮がんや卵巣がんのリスクも下げるのではないかと考えられ、研究が進められています。
その根拠は、大豆製品を多くとる日本や中国の方が、欧米より、それらの疾病発生率が低いからです。
未だはっきりとした検証は得られていませんが、大豆イソフラボンのもたらす大きな効果が、各方面から注目を浴びていることは間違いありません。
「大豆イソフラボン」を含む食品と摂取量の目安
ここまで読んで、大豆イソフラボンの豊富な効果を知ったあなたは、
「効果を得るには、何を、どれくらい摂ればいいの?」と、思われているのではないでしょうか。
「大豆イソフラボン」は、大豆のほか、豆腐や味噌、油揚げ、納豆、豆乳など、大豆を原料とする食品のほとんどに含まれます。
おすすめなのは、下記で示す表を参考に、毎日50mgくらい大豆イソフラボンが摂れるような食生活をめざすことです。
内閣府の食品安全委員会では、大豆イソフラボンの1日の摂取量の上限目安は70~75mgとしています。
上限と聞くと、摂り過ぎを気にされる方がいるかもしれませんが、実際のところ、大豆イソフラボンを健康被害が出るほど過剰に摂取する例はほとんどありません。(※)
たとえば、1日に納豆1パックと豆腐半丁を摂ると含量は約75mgになりますが、その量を1ヶ月、1年と毎日毎日摂り続けられる人はあまりいないでしょう。
国民栄養調査(平成14年)での農林水産省の発表によると、平均的な日本人の大豆イソフラボンの摂取量は18㎎と上限にはるかに及びません。
下記に主な大豆食品に含まれる大豆イソフラボンの含量の目安をまとめましたので、ご覧ください。
あなたは毎日、どれくらい大豆イソフラボンを摂れているでしょうか。
大豆イソフラボンのさまざまな効果で、健康で若々しい心身をめざすなら、毎日の食卓に積極的に大豆製品を取り入れていきましょう。
(※)大豆イソフラボンでの健康被害は稀ではありますが、摂れば摂るほど良いというわけではありません。大豆イソフラボンのエストロゲン受容体を介する作用が有害性側に働く可能性も指摘されていますので、毎日の摂取では上限目安を守るようにしてください。
参照:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A|内閣府食品安全委員会事務局
「大豆イソフラボン」はサプリメントで補充するのが効果的
大豆イソフラボンを含む食品をご紹介しましたが、さらなる効果を得るためには、食品だけでなくサプリメントで補充する方法がおすすめです。
なぜなら、大豆イソフラボンのサプリメントには、食品より高い吸収率が期待できるからです。
このことをご理解いただくために、大豆イソフラボンの基礎知識として、押さえておいて頂きたいことがあります。
それは、大豆イソフラボンには「グリコシド型」と「アグリコン型」の2つの種類があるということです。
4-1.大豆イソフラボンは2種類ある
大豆イソフラボンには「グリコシド型(配糖体)」と「アグリコン型(非配糖体)」の2種類があります。
「グリコシド型」は「低吸収型」、アグリコン型は「高吸収型」ともいわれていて、体内への吸収力に顕著な違いがあります。
下表をご覧ください。
「グリコシド型イソフラボン」は、まわりに糖がついていて分子量が大きく、腸内細菌の酵素の力で糖が分解しなければ吸収されないため、体内への吸収には時間がかかります。
一方、「アグリコン型イソフラボン」は発酵によって既に糖がはずれているため、腸内細菌の働きに関係なくそのまま吸収でき、吸収率も「グリコシド型」の3倍以上、2時間ほどで吸収されます。
豆腐や豆乳、納豆など一般的な大豆製品に含まれる大豆イソフラボンは、元々グリコシド型で存在しています。摂取後、体内で腸内細菌により糖が分解され、アグリコン型になってはじめて吸収されるのです。
そのため、吸収には一定の時間を要し、最終的な体内への吸収量も2割程度と少なめです。
最初からアグリコン型イソフラボンとして吸収される食品の代表は「味噌」と「醤油」で、発酵していて糖が分解されているため、他の大豆製品に比べて高い吸収率が期待できます。
(※納豆も発酵食品ですが、発酵期間が短いためアグリコン型よりグリコシド型の割合の方が多めになっています)
といっても、味噌や醤油をたくさん摂り過ぎると塩分過多になってしまって、今度は別の健康被害が気になるところです。
そこでおすすめしたいのが、サプリメントの利用です。
4-2.大豆イソフラボンはサプリメントで補充できる
大豆製品は毎日摂って頂きたい食品ではありますが、種類によって吸収率が違い、腸内環境の状態にも個人差があるため、食事だけで必要な量の大豆イソフラボンをまかなうのは容易ではありません。
大豆イソフラボンの効果を十分に得たい方は、毎日の食卓に大豆製品を取り入れるだけでなく、サプリメントで上手に補充していきましょう。
「大豆イソフラボン」のサプリメントは、次の点に留意して選んでください。
- アグリコン型イソフラボン配合を確認して選ぶ
- 天然由来成分のサプリメントを選ぶ
それぞれ解説します。
4-2-1.アグリコン型イソフラボン配合を確認して選ぶ
大豆イソフラボンのサプリメントは、食品だけでは摂りにくい「アグリコン型イソフラボン」が配合された商品を選びましょう。
アグリコン型イソフラボンを含んでいるかどうかは、麹菌発酵大豆胚芽抽出物等と記載されている原材料表示で分かります。
以下のように説明されていることが多いので、購入時に確認してください。
- アグリコン型イソフラボン
- 大豆イソフラボンアグリコン
- イソフラボンアグリコン
- 麹菌発酵大豆イソフラボン
- 麹菌発酵大豆胚芽抽出物
- 大豆胚芽乳酸菌発酵物
- 大豆胚芽抽出発酵物
(※)中には「大豆イソフラボン」という説明だけで「アグリコン型」や「グリコシド型」などが明記されていないことがあります。
はっきりしない場合、少しでも怪しいと感じる場合は、販売元に問い合わせて確認してから購入するようにしてください。
4-2-2.天然由来成分のサプリメントを選ぶ
大豆イソフラボンのサプリメントは、合成ではなく、天然由来成分の商品を選びましょう。
天然由来の成分は、自然界に存在する植物や動物、酵母などの原材料から抽出されています。
食べ物に近いため、食事の延長のように、より自然に近い形で栄養素を補うことができます。
また、天然由来の栄養素には、その栄養素と相性の良い栄養素も含まれていることが多く、より効率的な働きが期待できます。
一方で、合成成分は人工的に分子の構造を変化させて製造された合成原料が使われています。
比較的安価で、少量でも高濃度の栄養素が摂取できますが、特定の成分をたくさん摂取できる反面、摂りすぎによる栄養バランスの偏りが問題になる場合もあります。
また、「大豆イソフラボン」のサプリを選ぶときは、遺伝子組み換えでない良質な大豆を原料としたものを選ぶことも大切です。
「大豆イソフラボン」のサプリは、安全性が高い原料を使用し、高い吸収率で栄養素の効率的な働きが期待できるものを選びましょう。
天然由来成分のサプリメントで、大豆のパワーを補っていつまでも若々しく、錆びない心身を磨いていきましょう。
「大豆イソフラボン」に関するよくある質問|Q&A
ここでは、「大豆イソフラボン」や「大豆イソフラボンの効果」に関する、よくある質問にお答えします。
それぞれ解説しますので、興味のあるところからご覧になってください。
5-1.Q1|大豆イソフラボン摂取量が上限値目安を超えている人は、摂取を控えるべきですか?
食品安全委員会は、「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方」の中で、摂取上限値について、「一日摂取目安量の上限値、70〜75 mg/日は、この量を毎日欠かさず長期間摂取する場合の平均値としての上限値であること、また、大豆食品からの摂取量がこの上限値を超えることにより、直ちに、健康被害に結びつくというものではないことを強調しておく」という考え方を示しています。
また、古くから日本では、大豆イソフラボンを含む多種多様な大豆食品が日常的に摂取されてきましたが、これら大豆食品の摂取に関し、安全性について特別の問題が提起されたことはありません。
これらの観点から、大豆イソフラボンは、上限値目安を多少超えたからといって、摂取を控える必要はないと考えられます。
ただ、より健康的な食生活を送るためには、ひとつの食品や成分に偏ることなく、バランスの良い食事を心がけることが重要です。
厚生労働省の食事バランスガイドでは、大豆及び大豆製品を使った料理は「主菜」として、肉料理、魚料理、卵料理と合わせて1日に3皿程度とされていますので、こちらも参考にしてください。
(※)妊娠中や生理中はエストロゲンの分泌量が多くなっているため、大豆イソフラボンの過剰摂取が体に悪影響を及ぼさないとも限りません。一般的な量より多く摂取している場合は一度医師や薬剤師に相談してみましょう。
5-2.Q2|大豆イソフラボンは天然の食品成分なのに、なぜ摂取上限値があるのですか?
天然由来の食品成分ならいくら食べても大丈夫、という考え方は正しくありません。
たとえば、昨今注目されている天然由来成分のセレン(※)で説明します。
セレンは魚介類や海草類、穀類に多く含まれ、人の健康維持に必須な成分で、不足すると心筋障害、発育不全や老化、消化器の病気など欠乏症が起きます。
しかし一方で、セレンを食品やサプリメントなどで過剰摂取すると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、下痢、神経障害など過剰症が起きることが知られています。
このように、天然の食品成分であっても、摂り過ぎると健康を害することがあります。
大豆イソフラボンは先述のように、たくさん摂ったからといって直ちに健康を害するというものではありませんが、吸収率が低下して、思ったような効果が得にくくなってしまうことは考えられます。
また生理中や妊娠中の女性は大豆イソフラボンを摂取し過ぎたことによって、ホルモンバランスが乱れてしまう可能性もあります。
大豆イソフラボンの効果を最大限に得るためにも、摂り過ぎには注意しましょう。
(※)セレン:土壌、水、特定の食品に含まれる必須微量ミネラル。主に肝臓や腎臓に含まれ、甲状腺ホルモンの活性化に必須であり、抗酸化作用で組織細胞の酸化を防ぐ働きをする。
5-3.Q3|大豆イソフラボンの効果的な摂り方やタイミングを教えてください
大豆イソフラボンは、少なめの量で2~3回に分けて摂る食べ方が効果的です。
体内に吸収された大豆イソフラボンは約6〜8時間で半減してしまうので、1度にたくさん摂ったのでは、持続的な効果が得にくいのです。
摂るタイミングに特に決まりはありませんが、1日1回しか摂取できない場合は、朝食時がおすすめです。
空腹の状態で摂ることで吸収が高まり、その分、効果が発揮されやすくなります。
参照:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A|内閣府 食品安全委員会
大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A|農林水産省
まとめ
大豆イソフラボンには主に7つの効果があります。
- 更年期の症状を緩和する
- 月経前症候群(PMS)の緩和
- 美肌へ導く作用
- 生活習慣病の予防と改善
- 骨の健康をサポート
- アンチエイジング効果
- 乳がんのリスクを下げる
「大豆イソフラボン」は、大豆のほか、豆腐や味噌、油揚げ、納豆、豆乳など、大豆を原料とする食品のほとんどに含まれます。
また、手軽に大豆イソフラボンを補充するには、天然由来成分のサプリメントもおすすめです。
健康で若々しい心身をめざすなら、毎日の生活に積極的に大豆のパワーを取り入れていきましょう。