「若い頃からの頭痛がひどくなってきたのは、更年期のせい?」
「この頭痛は、更年期ではなく他の病気の可能性もあるのかしら…」
頻繁に起こるわずらわしい頭痛に悩まされ、改善方法をお探しですね。
45〜55歳頃の更年期女性によく見られる頭痛は、ホルモンバランスのゆらぎから起こる、更年期の症状のひとつです。
主に以下のような頭痛が起こりやすくなります。
- 片頭痛:脈拍とともにズキズキと痛む
- 緊張型頭痛:頭全体が締め付けられるように痛む
この片頭痛や緊張型頭痛は、もともと30代くらいから抱えている女性も多いのですが、更年期に更に悪化することも多く、ホルモンバランスを含めて体全体を整える予防策が必要になってきます。
一方で、特に50歳以降は、くも膜下出血などの重篤な病気のリスクも増えてくる頃。
重篤な病気が原因で起こる頭痛の場合は、単に更年期の頭痛と流さず、早急に病院を受診する必要があります。
まずは自分の頭痛がどんなものなのかを把握し、頭痛の原因に合わせて正しく対処することが何より大切です。
そこでこの記事では、ゆらぎ世代の頭痛について、その症状の特徴や傾向を詳しく解説します。
また、更年期による頭痛については、その予防や緩和に役立つ方法をわかりやすくお伝えしていきます。
この記事を読むことで、あなたに起きている頭痛の原因を知り、正しく対処できるようになります。
更年期世代の頭痛には3つの原因がある
更年期世代(45~55歳)の女性の頭痛は、おおよそ以下の3つの原因に分けられます。
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 重篤な病気による頭痛
それぞれどのような痛み方をするものなのか、頭痛以外の症状なども合わせて見ていきましょう。
1-1.片頭痛
片頭痛の痛み方の主な特徴は、以下の二つです。
「片」頭痛と書くため、頭の片側だけ激しい痛みがあるものとされていますが、実際には片頭痛を訴える方のうち4割が、頭全体や頭の両側とも同時に痛くなることがあります。
階段の上り下りや洗濯物干しといった日常的かつ軽度な動作で悪化し、動けなくなることもあります。
日常生活に支障をきたすほどの痛みや、吐き気を伴うことが多いのが特徴です。
また、人によっては頭痛が始まる前に、光の点や線などが視界に現れる「視覚性前兆」や、体の一部がチクチクする「感覚性前兆」が見られる場合があります。
どちらの前兆もだんだん広範囲に広がりますが、通常は60分以内に前兆が終わり、頭痛が始まります。
前兆の有無は、痛みの強度とは相関しないことも多いです。
片頭痛は男性よりも女性に多く見られ、アルコールの摂取、睡眠不足のほか、エストロゲン(女性ホルモンのひとつ)の減少によって引き起こされることが明らかになっています。
1-2.緊張型頭痛
緊張型頭痛の痛み方の主な特徴は、以下の二つです。
緊張型頭痛は、何度も繰り返したり慢性的に続く痛みが多く、最短で30分程度で終わるものから、長ければ7日間も痛みが続くものがあります。
頭全体が圧迫されるような、締めつけられるような頭痛であることが特徴です。
片頭痛のような吐き気や寝込むほどの痛み、前兆などの症状はありませんが、肩こりを伴う場合が多いです。
長時間同じ姿勢でいたり、疲れが溜まったりすることによる血流の低下が原因とされていて、こちらも男性よりも女性に多いのが特徴です。
1-3.重篤な病気による頭痛
脳や眼の重篤な病気によって、頭痛が起こる場合があります。
どの病気も、更年期世代で発症しやすい病気だということがお分かりになるでしょう。
痛み方がいつもよりも激しかったり、頭よりも目そのものに痛みを感じたりする場合は、上記のような重篤な病気が原因のことがあるため、放置せずにすぐに医師の診断を受けるようにしてください。
更年期の頭痛の原因ごとの対処法
片頭痛や緊張型頭痛は、セルフケアによる対処で痛みを緩和したり、頭痛の頻度を抑えることができます。
頭痛によってケアの仕方が異なりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.片頭痛は冷やすことでおさまる
片頭痛が起きたらまず安静にし、冷たいタオルや保冷剤などで痛い部分を冷やします。
片頭痛は、体を温めるほか、マッサージや運動などで血管が拡張することで悪化するものです。
片頭痛が起きている、または片頭痛の前兆が現れている間は、入浴や運動を控え、光や音などの刺激を避けてください。
状況が許すようであれば、横になって休息をとると症状が落ち着きます。
市販薬で対処する場合は、ロキソニンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬のほか、アセトアミノフェンなどの鎮痛解熱剤を服用することで痛みを抑えることはできますが、薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)が起きたり、慢性化したりすることもあります。
市販の解熱鎮痛剤を飲んでも症状が改善されない場合は、市販薬を併用したり変えたりするのではなく、病院を受診してください。
2-2.緊張型頭痛は温めて血行を良くする
緊張型頭痛が起きたら、姿勢を変えたり、血行をよくするためのストレッチをしたりして、体を温めます。
「緊張型」と言うだけあり、首周りの筋肉の物理的な緊張(硬直状態)のほか、ストレスなど精神的な緊張によって頭痛が起こるため、リラックスして血行を良くすることが有効です。
ストレッチができない場合は、ほうじ茶やルイボスティーを温かくして飲んだり、ラベンダーやマジョラムスイートなどの精油の香りを嗅いだりすることでも、心身の緊張状態がほぐれて血行が良くなります。
市販薬で対処する場合は、ロキソニンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬を用いますが、緊張型頭痛は慢性的なため薬物乱用頭痛が起こりやすいので、服用には慎重になってください。
更年期で頭痛が起こりやすいのはどうして?
更年期で頭痛、めまい、吐き気に悩まされている女性は、40代で45.9%、50代では43.3%に上ります。
また、更年期を迎えた女性の半数近くの方が、頭痛、めまい、吐き気以外にも、症状の重さや軽さの違いはあるものの、なんらかの不快な症状を感じています。
どんな症状が出るか、またそれぞれの症状の強さについては個人差のあるものですが、更年期のさまざまな不調を「更年期症状」といい、日常生活に支障が出るほど重いものを「更年期障害」といいます。
更年期の症状と、頭痛が起こる原因を説明していきましょう。
3-1.更年期の頭痛は自律神経の乱れによる諸症状のひとつ
更年期になると、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経とは、内臓や代謝、体温調節といった体の機能を24時間体制でコントロールする神経のことです。
心と体を活発にする交感神経と、休ませる副交感神経がバランスを取りながら、私たちの体を支えています。
この交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、「自律神経の乱れ」として、体のいろいろな部分で痛みや不調を感じるようになるのです。
更年期を迎えた女性が抱えている、自律神経の乱れによる痛みや不調には、以下のようなものがあります。
参考:厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果(2022年7月26日)
更年期の頭痛は、実際に更年期を迎えた女性が「自分の身にも起きた」と感じている、起こりやすい症状のひとつと言えるでしょう。
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3-2.更年期で自律神経が乱れる理由
更年期とは、女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していく期間ですが、実はこの女性ホルモンの低下こそが、自律神経の乱れを引き起こしているのです。
女性が45歳を迎えたころから、卵巣機能の衰えにより、脳の視床下部がエストロゲンの分泌指令を出しても、エストロゲンは出にくくなります。
エストロゲンは、脳の視床下部から下垂体と呼ばれる部分を部分を通して分泌をコントロールされていて、この視床下部は自律神経の司令塔でもあります。
指令を出してもエストロゲンが分泌されないことで脳が混乱し、この混乱が自律神経にも伝わることで、頭痛を始めとしたさまざまな不調が起きてしまう、これが更年期のさまざまな症状の原因なのです。
日常生活にまで支障のある頭痛であれば、ホルモン補充療法を用いて減少したエストロゲンを直接的に補充する治療を行うのも手段のひとつです。
ただし、体の仕組みとして本来的になくなっていくものを外部から補充するため、副作用の心配やいつまで投薬を続けるのかといった事前の心構えや検討が必要になってきます。
実際、ホルモン補充療法では影響は小さいながらも乳がんのリスクが若干高まることがホルモン補充療法ガイドライン2017年度版でも記載されているため、医師や家族と十分に相談し、リスクをしっかりと理解してから治療に当たることをおすすめします。
更年期の頭痛は「治す」のではなく「正常に近づける」
更年期による頭痛は基本的に病気ではないため、「治す」という概念がありません。
混乱している自律神経を「正常に近づける」ことが、唯一の解決策と言えるでしょう。
そのためには、以下のような生活習慣全体の見直しが大切です。
- 体を整える毎日の良い習慣を持つ
- 東洋医学の考え方を取り入れる
- 漢方薬やサプリメントで補う
生活に支障のない範囲の頭痛であれば、生活習慣全体を見直すだけでも、大きな改善が見込めるでしょう。
一方、生活習慣全体を見直すことは、今後起こりうるであろう、動脈硬化や高血圧などのさまざまな生活習慣病を寄せ付けない体作りにも繋がります。
どのように生活習慣を見直していくのか、具体的にお話ししていきましょう。
4-1.更年期の体を整える毎日の良い習慣を持つ
更年期の頭痛を改善するための生活習慣の見直しとは、具体的に、食事、休養、運動習慣の3つの項目について悪い習慣をなくし、できることから良い習慣を取り入れていくことです。
それぞれの項目で、どんなことを心がければ良いのか、具体的に見ていきましょう。
4-1-1.更年期の体を整える毎日の良い習慣①:食事
更年期の体を整える食事の原則は「バランスの良い食事」と言えます。
参考:厚生労働省e-ヘルスネット 「病気の予防・治療と食事」、「骨粗鬆症の予防のための食生活」
更年期の体の特徴として、代謝が落ちて老廃物が溜まりやすくなったり、太りやすくなったりすることが挙げられます。
老廃物を溜め込まないよう、塩分や糖分、過度のカロリーとアルコールを控えつつ、旬のものをバランス良く食べていれば、基本的には問題はありません。
ただし、カルシウム不足からくる骨密度の低下、骨粗鬆症・こつそしょうしょうには、気をつけたいもの。
特に、日頃の食事が和食ベースでない方や、魚よりも肉派だという方は、乳製品などで上手にカルシウム不足を補うように意識してください。
4-1-2.更年期の体を整える毎日の良い習慣②:睡眠
更年期の体を整えるため、少し優先順位を上げるべきなのが睡眠です。
実は、更年期世代の女性は、すべての世代の男女の中で、最も睡眠時間が短い傾向があります。
仕事に家事に多用な更年期世代の女性は、寝る時間が遅いことに加えて起きる時間が早いため、睡眠時間が短いということが分かっています。
しかし、疲れが溜まった状態で1時間かけてやる効率の悪い作業も、いつもより30分早く寝てからやれば、30分で効率良く片付く…ということもあるでしょう。
睡眠は無料でできる最大の健康投資です。
いまの無理が数年後に大きな生活習慣病となって返ってきてしまわないよう、優先順位を上げて睡眠時間を確保しましょう。
また、「何時間眠るか」という睡眠の時間もさることながら、睡眠の質を上げるための習慣作りも大切です。
就寝前のカフェインのほか、スマホやPCのブルーライトを浴びることで、体内時計が狂い、疲れて眠りたい体を無理やり起こすことになってしまいます。
スマホの「おやすみモード」を活用したり、寝室にデジタル機器を持ち込まないようにしたり、具体的な対策で睡眠を守ってください。
4-1-3.更年期の体を整える毎日の良い習慣③:運動
更年期の体を整え、生活習慣病を寄せ付けない体づくりのため、日常に運動を取り入れることが大切です。
更年期の体は、代謝が落ちて老廃物が溜まりやすくなったり、太りやすくなったりするとお伝えしましたが、運動は代謝を上げるのに有効な方法です。
着替えの必要なフィットネスジムにわざわざ通う必要はありません。
日常の中で、継続できる簡単な方法で、運動を取り入れてください。
ヨガやストレッチをインストラクターが指導してくれるアプリや、歩いた歩数によってポイントが貯められるアプリなどもありますので、自分にできることから少しずつ運動習慣を作っていきましょう。
4-2.東洋医学の考え方を取り入れる
女性の体の仕組みとして、更年期にエストロゲンが減少するのはごく自然なこと。
とはいえ、自然なことだから、病気ではないのだからと、つらい頭痛を我慢する必要はありません。
西洋医学では病名のつかない体の不快感や不調を改善するには、東洋医学の考え方を取り入れて、自己治癒力を高めていくことがおすすめです。
自己治癒力とは、私たちの体にもともと備わっている、身体のバランスを取り戻す力、不調を治す力のこと。
更年期症状は加齢に伴う必然の変化として女性の体に訪れるものなので、身体のバランスを早く取り戻すことさえできれば、症状も早く改善されていくからです。
東洋医学では、自然界のすべてのものは5つの属性に分けた「五行」でできているとされています。
人間の身体も、性質と機能によって「五臓」に分けることができ、それぞれが持つ性質によって自然界と同じ「五行」に割り当てることができるのです。
図をご覧いただくとわかるように、体の中のすべての臓器や機能は相関しあっています。
そのため、頭痛という症状を見てそこだけに対症的に対応するのではなく、更年期という体全体の変化に着目しながら、すべての器官や機能のバランスを取っていき、体の内側から体質そのものを変えていくことが大切なのです。
生活習慣の見直しと東洋医学の考えにより体の働きを「正常に近づける」ことで、体の各機能を活性化させ、頭痛を始めとしたさまざまな更年期症状を緩和することができます。
4-3.漢方薬やサプリメントで体を整える
生活習慣の見直しをする一方で、時間のない方、より積極的に症状の改善を試みたい方には、東洋医学の考えに基づき、五行バランスを踏まえた漢方薬やサプリメントを取り入れることをおすすめします。
西洋医学とは異なるアプローチで女性の心身バランスを整える漢方の恵みは、昔も今も女性の強い味方です。
実際、東洋医学の漢方薬は、五行バランスを踏まえて配合されているため、無理なく自然に体質改善してくれるものです。
近年の研究では、保険適用の漢方薬による更年期障害治療の成果(一般社団法人国際統合治療協会)についても、科学的根拠に基づいたデータが確認されています。
また、サプリメントでは、以下のような成分が含まれているものをおすすめします
体内でエストロゲンと似た働きをすることが証明されているイソフラボンの中でも、特に「エクオール」の産生を促すことができるかどうかが重要です。
エクオールは、腸内細菌によってイソフラボンから産生されるもので、イソフラボンよりももっと女性ホルモンに構造が似ているため、体内でより女性ホルモンと似た働きをするとされています。
しかし実は、イソフラボンからエクオールを産生できる人は、「エクオール産生菌」とよばれる腸内細菌の保有者でも、わずか22%しかいないことが分かっています。
つまり、せっかくイソフラボンを摂取しても、エクオールの産生ができなければ意味がないのです。
とはいえ、エクオールそのものが配合されていたり、エクオール産生を促す効果があるものであればどんなサプリメントでもいいかというと、そうではありません。
大事なのは五行のバランスを考えた、さまざまな栄養素が配合されたものを選ぶこと。
エクオールの産生を助けながら、総合的に体質改善を目指すことのできるサプリメントであれば、更年期という体全体の変化に着目しながら、各器官・機能のバランスを整えていくことができます。
まとめ
今回は、更年期の頭痛についてお伝えしてきました。
更年期世代の頭痛には、以下の3つの原因が考えられます。
慢性的な頭痛である片頭痛と緊張型頭痛の対処方法は、以下の通りです。
更年期の頭痛を緩和するための、体のバランスを整える方法は、以下の通りです。
更年期による頭痛から、一日も早く解放されますように。