男性に比べて女性は、生理、妊娠、出産、更年期など、貧血になりやすい状況に多々直面します。
貧血だけでなく、更年期を迎えた女性特有の体のだるさや不調にも、鉄分不足が深く関係しています。
足りない鉄分は、意識して食事から補っていくことが大切です。
美味しく、かつ上手に体に鉄分補給するための大切な基礎知識を、管理栄養士の宮﨑奈津季先生と一緒に今一度確認しておきましょう。
目次
閉経後も貧血になるの?更年期女性が気を付けたい「貧血」
女性は思春期に生理が始まると、毎月のように多くの鉄分が出血とともに失われていきます。
更年期を迎え、生理がなくなれば貧血の心配も要らなくなる、と思いがちですが実はそうではありません。
閉経前と閉経後にわけて、女性が貧血になりやすい理由を、宮﨑先生に教えていただきました。
①閉経前の女性
生理による出血で、毎月12~30mgの鉄分が体から流出すると言われています。
更年期中の場合、まだ生理があるのであれば、単純に鉄分不足からくる貧血の他に、体内に貯蔵されていた鉄分が減少していく「潜在性鉄欠乏性貧血」を引き起こす可能性があります。
この場合、女性ホルモンの急激な低下が関係していると考えられ、更年期によるホルモンバランスの乱れが関与しています。
病院で検査しても貧血とは診断されず、「隠れ貧血」ともいわれ、なんとなく体がだるいといった症状が続きます。
また、ホルモンバランスが乱れてしまうと、自律神経の乱れも引き起こし、副交感神経が活発に動くことで、脳へ送られる血液量が少なくなり、貧血の症状が起きる可能性も考えられます。
②閉経後の女性
更年期も終盤を迎えて閉経すると、二次性貧血の可能性が考えられます。
二次性貧血とは、直接、血液に関係する病気ではなく、他の原因で起こる貧血を指します。
例えば、胃潰瘍などによる出血により体が貧血状態になってしまうことがあるため、二次性貧血になっていないかを検査することが大切になってくるのです。
更年期を境に、この先、体が年を重ねると共に、造血機能も衰えてくる他、体内の臓器の疾患による貧血の心配が必要になってくるというわけです。
鉄分にも種類があるって知ってる? 鉄分を多く含む食材
鉄分は色々な食材に含まれる栄養素ですが、実は2種類に分かれており、それぞれ体への働きかけが違ってきます。
これらの2種類の鉄分について知っておくべきこと、どんな食材に入っているかなど、引き続き宮﨑先生に解説していただきました。
鉄分には大きく分けて動物性と植物性の2種類があります。
①動物性の鉄分「ヘム鉄」
肉や魚に含まれる動物性の鉄分を「ヘム鉄」といいます。
動物性のヘム鉄はたんぱく質に覆われているため、小腸で溶けやすく吸収されやすい形状になっています。
吸収率は10~20%といわれており、牛、豚、鶏のレバーやかつお、マグロなどの食材に多く含まれています。
②植物性の鉄分「非ヘム鉄」
小松菜やほうれん草、菜の花などの植物に含まれる鉄分を「非ヘム鉄」といいます。
体への吸収率は1~6%と、動物性のヘム鉄に比べて低くなっています。
積極的に鉄分補給をする場合は、動物性のヘム鉄をメインに食材を選ぶことが大切なのですね。
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鉄分を効果的に採りたい!一緒に食べたい食材
動物性のヘム鉄に比べて吸収率の低い非ヘム鉄ですが、どちらの鉄分も他の栄養素との食べ合わせの相乗効果で、より吸収率をアップさせることができます。
ここでは、鉄分と一緒に摂りたい相性の良い栄養素と、反対に吸収を妨げてしまう栄養素について宮﨑先生に教えていただきましょう。
・鉄分の吸収率アップ!相性の良い栄養素
鉄分をより良く吸収する食べ合わせの良い栄養素は、良質なたんぱく質やビタミンCがおすすめです。
たんぱく質やビタミンCは腸内での鉄分の吸収率を上げる効果があります。
またビタミンB6、B12、葉酸といったビタミンB群には、造血効果があるため、これらを意識して一緒に食べるようにしましょう。
・気をつけたい!鉄分と一緒にとるのは避けた方が良い栄養素
逆に吸収率を下げてしまう栄養素としては、緑茶やワインなどに多く含まれるタンニンが挙げられます。
貧血気味の症状がある場合は、緑茶やワインの飲む量に注意するようにしましょう。
バイバイ貧血! 鉄分摂取おすすめレシピ「レバかつ」
今回ご紹介する宮﨑先生直伝のおすすめ鉄分レシピは「レバかつ」です。
レバーは家庭で調理することがあまりないかもしれませんが、ヘム鉄はもちろん、ビタミンAやビタミンB群、トリプトファンなど、女性に必要な栄養の宝庫ともいえる食材です。
しょうがで下味をつけておくことで、臭みも気にならずにいただけます。
【レバかつ】(2人分)
~材料~
・豚レバー 200g
★酒 大さじ1
★みりん 大さじ1
★しょうゆ 大さじ1
★おろししょうが
・小麦粉 適量
・卵 1個
・パン粉 適量
・レモン 1/4個
・サラダ油 適量
①豚レバーは食べやすい大きさに切り、水で洗った後、しっかりと水気を拭き取りましょう。材料の★の調味料で下味をつけ、10分ほど置いておく。
②ボウルに卵と割り入れ、溶きほぐす
③①を小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣をつける
④フライパンに2cmほどの高さまで、サラダ油を入れて熱し、衣をつけたレバーを中に火が通るまで両面焼きにする
⑤器に盛り、レモンを絞っていただく
揚げ物の付け合わせには、定番のおすすめがキャベツですね。
キャベツはビタミンCが豊富なので、レバーの栄養の吸収率をさらにアップしてくれる食材です。
キャベツと同じくビタミンCが豊富なレモンを絞って、さっぱりと美味しくいただきましょう。
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まとめ
レバーのお料理が苦手という女性でも、調理の仕方によって抵抗なくいただけるようになります。
宮﨑先生に教えていただいたように、しょうがや、牛乳やお酢、お塩やお酒に漬けるだけで臭みが取れ、下処理ができるので意外と簡単です。
レバー料理をいつものメニューに加えながら積極的に鉄分補給していきましょう。