テアニンの3つの効果、睡眠の質向上、リラックス、ストレス軽減について専門家が解説

2024. 10. 23
監修:望月みどり プロフィールを見る >

漢方養生指導士・サプリメントアドバイザー・健康管理士
女性の健康に関する専門性の高い記事を数多く執筆。 漢方養生指導士、サプリメントアドバイザーの知識を活かし、女性向けサプリメントの開発にも携わる

「“テアニン”ってよく耳にするけど何の成分?どんな効果があるの?」
「テアニンって本当に効果あるの?」

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

「テアニン」とは、緑茶などのお茶に多く含まれるアミノ酸の一種で、お茶の旨みや甘味に関係している成分(旨み成分)です。

「癒しの成分」ともいわれ、心身をリラックスさせる働きから、ストレス社会に生きる現代人に嬉しい多彩な効果が期待できます。

この記事では、「テアニン」の効果についてくわしく解説します
効果の表れた事例も併せて紹介しますので、確かな効き目をイメージして頂けるはずです

この記事をおすすめしたいのはこんな人です!
  • テアニンの効果を具体的に知りたい人
  • 睡眠障害の悩みを持っている人
  • ストレスの多い日々を送っている人
  • 仕事と休息の切り替えが苦手な人
  • 時として不安を感じてしまう人
  • 副作用のないリラックスサプリメントを求めている人

「テアニン」は副作用の心配がほとんどなく、多めに摂取しても安全な成分であることから、1日の摂取量は特に定められていません。

ただ、しっかり効果を得るために“おすすめの摂取量”や、“飲むべきタイミング”はあります。
記事後半で、「テアニンの効果的な摂取方法」として解説しますので、ぜひ参考にしてください。

まずは、テアニンにはどんな効果があるのか?という所から、1つずつ理解を深めていきましょう。

『テアニン』の効果1|睡眠の質が上がる

テアニンには、睡眠の質を上げる効果があります。
これまでの研究で、テアニン摂取によって、中途覚醒をなくして睡眠を安定させ、スッキリした目覚めが得られることがわかっています

こうした睡眠の質を向上させる作用は、テアニンが持つ、覚醒系の神経伝達物質の過剰分泌を調節する働きによるものです。

覚醒系の神経伝達物質の分泌を抑えることで、交感神経(※)の活動を抑えて中途覚醒を減少させ、眠りを深くするのです。
(※)交感神経:体の活動性を生みだす神経系​​。全身の器官をコントロールす​​る自律神経には、交感神経と、​​体を休息させる神経系である副交感神経があり、両者のバランスが重要です。

中途覚醒がなくなり熟睡できることから、睡眠中の疲労回復がスムーズに進行​​し、起床時に爽快感が得られるようになります。

Check!
【テアニンにはカフェインを抑制する作用がある】

睡眠の質が上がると聞いて、「でも寝る前にお茶を飲んだらカフェインの影響で眠れなくなるんじゃ…?!」と思っていらっしゃる方がいるかもしれません。

でも大丈夫!

実は、テアニンにはカフェインの作用を緩和する働きがあるのです
これまでの研究で、テアニン摂取により、カフェインによる睡眠障害が抑制できることがわかっています

また、100gあたりのカフェイン量ではコーヒー60mg、紅茶30mgに対し、煎茶やほうじ茶は20mg、番茶や玄米茶は10mgと、緑茶の方が格段に少なくなっています。
緑茶であれば、寝る前に飲んでも、カフェインの影響で眠れないという心配はいらないでしょう。

参照:J-STAGE|アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効果の検討​​​​
独立行政法人国民生活センター 飲料のカフェイン含有量に関する調査

『テアニン』の効果2|リラックスできる

テアニンには、リラックス効果があります。
テアニンを摂取すると、心身ともにリラックスした状態のときに出るα波(アルファ波)が増加することがわかっています。
(※)アルファ波:α波は脳波の1つで、心身ともにリラックスした状態の時に発生します。心身の健康に良い影響を及ぼすといわれており、能力開発やストレス解消への効果も期待されています。​​

α波の出現頻度を調べることで、テアニンのリラックス効果を検証した実験によると、100mgのテアニンを摂取して約50分経過後にα波が増加したという結果が出ました。
不安を感じる傾向が低い人であれば、約50mgの摂取でα波が出現することもあります。

また別の調査では、200mgのテアニンを摂取した後40分経過した頃から、脳に活発にα波が発現することが確認されています。
テアニンの濃度が高いほどα波が強く現れることから、リラックス効果はテアニンの量に比例すると考えられます。

一杯のお茶を飲んだだけで緊張が解け、その後、体も心も何だか楽になることがないでしょうか。
それは多くの場合、テアニンのリラックス効果が作用しているからなのです。

参照:緑茶成分テアニンの向精神作用について​​|日本生物学的精神医学会誌​​
J-STAGE|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響​​|日本農芸化学会誌

『テアニン』の効果3|ストレス軽減&不安解消

テアニンには、ストレスを軽減して不安を解消する効果があります。
テアニンを摂ると、リラックスした状態の時に出るα波が増加するので、イライラや不安が治まり、心が落ち着くのです。

不安な気持ちになったとき、精神的に追い込まれたとき、指先が冷たくなった経験がないでしょうか。
それは、自律神経が乱れて、血液の循環が悪くなった状態です。

Check!
<自律神経の乱れとは>

自律神経は、全身の器官をコントロールする神経系で、体の活動性を生み出す「交感神経」と、体を休息させる「副交感神経」から成り立っています。

悩みや不安、強いプレッシャーといったストレスが溜まると、「交感神経」が優位な時間が長く続いて自律神経のバランスが乱れてしまいます。

テアニンを飲んでα波が増加すると、脳がリラックスして交感神経が抑えられ、自律神経が整います。
自律神経バランスが整い副交感神経が優位になると、血管の収縮が鎮まって血行がよくなります。

冷水で負荷をかける実験において、(冷水をかけてられても)テアニンを飲むと手の温度が10分程度で元通りになるという結果が得られています。
個人差はありますが、テアニンを飲むと「手がポカポカしてくる」という報告も挙がっているのです。

こうしたことから、テアニンには、ストレスで尖った神経をなだめて、不安な気持ちを抑える効果があると考えられます。

参照:テアニンによるストレス軽減|2020 公益社団法人日本農芸化学会

他にもこんなにある!『テアニン』がもたらす6つの効果

「テアニン」は、ご紹介した3つの他にも多彩な健康効果をもたらすことで知られています。

  • 冷え性の改善効果
  • 美肌効果
  • 脳の老化予防効果
  • 集中力を高める効果
  • 月経前症候群を改善する効果​​
  • 高血圧を予防する効果​​

それぞれの内容を、下表にまとめましたのでご覧ください。

【テアニンがもたらす6つの効果】
①冷え性の改善効果 テアニンを摂取してα波が増加すると、筋肉が弛緩して血管が拡張し、血行が良くなります。

血行が良くなることで、冷え性の改善が期待できます(※1)

②美肌効果 テアニンには、コラーゲン産生、ヒアルロン酸合成促進作用が確認されています。

また、水に溶けやすいアミノ酸であるため、肌に優しい化粧品の原料としても注目されています(※2)

③脳の老化予防効果 テアニンのストレスを軽減する作用には、老化の促進を抑制する効果があることが発表されています

最近の研究で、血管が狭くなったり硬くなったりすることに起因して引き起こされる神経細胞の損傷を、テアニンが抑制することが確認されています​​。(※3)

④集中力を高める効果 テアニンのリラックス効果で、試験や試合などの場で起こる過度の緊張を緩和し、集中力を高めることができます

これまでの研究で、テアニン摂取によって集中力が増し、良い結果を出した例が報告されています。(※4)

⑤月経前症候群を改善する効果 テアニンのリラックス効果、不安解消効果の影響で、月経前特有のイライラ、憂鬱、集中力の低下といった症状の改善が期待できます(※5)
⑥高血圧を予防する効果 テアニンには覚醒系の神経伝達物質の過剰な分泌を抑える作用があり、脳神経細胞の障害を軽減し、神経細胞を保護することがわかっています。

こうした働きから、テアニンには高血圧の予防や改善につながる効果が期待できます(※6)

事例紹介!『テアニン』で本当に得られた4つの効果

テアニンの効果について解説してきましたが、仕組みを聞いただけでは本当に実感できる効果なのかと疑問に思われる方もいるでしょう。

そこでこの章では、実際に検証された『テアニン』の効果の事例を紹介します

事例1|テアニンで睡眠の質が上がった!
事例2|テアニンでα波が増加した!
事例3|テアニンでストレスが軽減した!
事例4|テアニンで月経前症候群が改善した!​​

テアニンで得られた癒しの効果を、1つずつ見ていきましょう。

5-1.事例1|テアニンで睡眠の質が上がった!

テアニンの摂取で、睡眠の質が向上することが検証された事例です。

健康な男性22名を対象に、就寝1時間前にテアニン200mgと同量のプラセボ(※)​​を6日間摂取する試験を行いました。

結果、テアニンを摂取した場合にのみ、寝つきや中途覚醒の改善、よく寝た感覚など、睡眠の質が向上している傾向がみられました。​​

(※)プラセボ:有効な成分が入っていない見た目が同等な錠剤や食品など。

参照:J-STAGE|アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効果の検討

5-2.事例2|テアニンでα波が増加した!

テアニンの摂取で、心身ともにリラックスした状態のときに出るα波(アルファ波)が増加することが検証された事例です。

テアニンの影響を不安程度の異なる精神状態で調べた研究。
不安傾向にある女子学生4名と、不安を感じる傾向の低い女子学生4名の計8名を対象に、200mgのテアニンを含む水100mlを服用する実験を行いました。

摂取後40分後に後頭部、頭頂部にα波の出現が観測され、また、α波の出現によるリラックス作用は、不安傾向にある被験者により強く表れる結果が報告されました。
さらに、α波による効果は少なくとも2時間は持続することが確認されています

テアニン服用後、すべての被験者は眠気を感じず、リラックス感を感じたほか、指先が暖かくなったと体感した人もいました。

L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響|太陽化学株式会社総合研究所/愛知淑徳大学

5-3.事例3|テアニンでストレスが軽減した!

テアニンの摂取で、ストレスが軽減されることが検証された事例です。

健康な男性12人にテアニン200mgを溶かした水を飲んでもらい、テアニンを含まない水を飲んだ場合と比較した調査で、テアニンの飲用でストレスが抑制されることがわかりました。

この実験では、飲用後の被験者に、単純な暗算を20分間行うというストレスを与えました。
実験の前後を含めてこの間の心拍数、ストレス指標となる唾液中の分泌型免疫グロブリンA(sIgA)(※)などで、主観的ストレス感の変化を測ったところ、テアニンを飲用した人の方が、ストレスが抑えられていることが判明しました

(※)分泌型免疫グロブリンA(sIgA)​​:ストレスの指標となる成分

参照:テアニンに抗ストレス作用を確認 太陽化学と名大が成果を発表|日経メディカル

5-4.事例4|テアニンで月経前症候群が改善した!

テアニンの摂取で、月経前症候群が改善することが検証された事例です。

静岡県立大学食品栄養科学部の研究では、テアニンのリラクゼーション効果を調べるために、テアニン200mgを摂取後のヒト脳波を測定したところ、40分後にα波の顕著な出現が観察されました。

α波は、人がリラックスしている時に放出が高まり、イライラを鎮める脳波であることから、女性の生理前に見られるイライラなどの愁訴(月経前症候群)に対してテアニン摂取の影響を調べたところ、不定愁訴の減少が判明しました。

参照:静岡県立大学広報新聞掲載情報

テアニンで効果を得るにはサプリメントでの摂取がおすすめ!

テアニンの効果的な摂取方法を、次の順に解説します。

『テアニン』はサプリメントで摂るのが効果的
『テアニン』を摂るおすすめのタイミング

テアニンの良さを実感できるように、適切な摂り方を理解しておきましょう。

6-1.『テアニン』はサプリメントで摂るのが効果的

テアニンで効果を得るためには、サプリメントでの摂取がおすすめです。
というのも、テアニンの必要量をお茶で摂ろうとすると、毎日煎茶を20杯ほども飲む計算になってしまうからです。

テアニンの1日の摂取量目安は200mgです。
これまでの研究で、200mgの摂取で実感できる効果があらわれることが明らかになっています。
事例で紹介した他にも、閉経後の健康な中高年女性20名を対象にした研究​​で、テアニン200mg含有の食品を6日間、就寝前に摂取し、起床時の疲労感に関する項目が良好であるとの傾向が認められています。​​

しかしながら、200mgのテアニンというのは簡単に摂れる量ではなく、一般的な茶葉で煎れた煎茶であれば、一杯80mlとして約20杯も飲まなくてはならなくなります。

いくら美味しいお茶でも毎日20杯は飲めませんよね。
それに20杯となると、カフェインなど他の成分を摂り過ぎる心配もあります。

そこでおすすめしたいのが、テアニン配合のサプリメントでの摂取です
サプリメントであれば、手軽に必要量を摂取できますし、吸収率も良いので高い効果が期待できます。

ただ、「テアニン」サプリメントであればどんな商品でも良いわけではありません。
良質なサプリメントの選び方については、次章「効果を得られる!失敗しない『テアニン』サプリメントの選び方」でくわしく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

参照:化学成分か ら見た市販緑茶の品質​​|農林水産省野菜 ・茶業試験場

6-2.『テアニン』を摂るおすすめのタイミング

テアニンは薬ではないので摂るタイミングに決まりはありませんが、おすすめしたいのは、効果を得たい時間帯の約40分前の摂取です

これまでの研究で、摂取後40分でα波の出現が観測され、少なくとも2時間は持続することが確認されています

従って、たとえば睡眠障害にお悩みの方は、ベッドに入る40分ほど前を目安にテアニンを摂取すると良いでしょう。

リラックス効果や、緊張、不安の緩和を求める場合も、このタイミングを図って摂るのが効果的です。

参照:L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響​​

効果を得られる!失敗しない『テアニン』サプリメントの選び方

テアニンの効果を実感するためには、お茶をたくさん飲むよりも、サプリメントで摂取する方法がおすすめです。

ただ、テアニンの効果を得るためには、どんなサプリメントでも良いというわけではありません。
7章では、失敗しない『テアニン』サプリメントの選び方を伝授します。

『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ
複合成分配合のサプリメントを選ぶ

よく読んで、ポイントを把握しておきましょう。

7-1.『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ

忘れてはならないポイントは、テアニンが200mg以上配合されているサプリメントを選ぶことです。
先述のように、テアニンは「200mg」を目安に摂取することで、効果が得やすくなります。

1日の摂取目安量でテアニンの含有量が200mgになっているか?を、しっかりチェックしましょう。

ちなみに、摂取量や注意点など必要な情報​​が記載されていないサプリメントは、信頼性の高い商品とはいえません。

テアニンの200mg以上の配合が明記されているサプリメントを選びましょう。

7-2.複合成分配合のサプリメントを選ぶ

2つ目のポイントは、テアニンの単一処方ではなく、複合成分配合の商品を選ぶことです。

複合成分配合サプリメントには、様々な原因にアプローチする複数の成分が含まれているため、
多岐に渡る症状の改善が期待できます。

「テアニン」サプリメント摂取をお考え方の多くは、未病の状態で複雑な不調を抱えていることが多いです。

たとえば、睡眠障害をお持ちの方は、日常生活でストレスを抱えていることが多く、そのせいでイライラや不安感に悩まされていたりします。

仕事と休息のバランスが上手くとれずリラックスできない人の不調は、疲労感や冷え性、肩こり…と多岐に渡ります。

こうした複数の症状を、主たる1つの不調、1点の原因にアプローチする単一成分のサプリメントで解消していこうとすると、いくつもの種類を摂取しなければならなくなります。

「テアニン」のサプリメントを選ぶなら、今抱えている複数の不調にアプローチする、複合成分配合のサプリメントが良いでしょう。

Check!
<『テアニン』サプリメントに配合されるおすすめの成分>

テアニン以外に、サプリメントに配合されていると効果的な天然由来成分には次のようなものがあります。

  • 女性特有の心の疲れ効果がある「カモミール」
  • “抗うつ効果”のある「ラフマ」
  • 緊張を和らげる効果のある「レモンバーム」
  • 睡眠障害の中でも特に寝つきをよくする「グリシン」
  • ストレスを軽減する「GABA」

サプリメントを購入する際は原材料表示を確認し、テアニンと併せてこうした有効な成分が配合された商品を選びましょう。

まとめ

テアニンには、3つの大きな効果があります。

  • 睡眠の質が上がる
  • リラックスできる
  • ストレス軽減&不安解消

さらに、他にもさまざまな健康効果も期待されています。

  • 冷え性の改善効果
  • 美肌効果
  • 脳の老化予防効果
  • 集中力を高める効果
  • 月経前症候群を改善する効果​​
  • 高血圧を予防する効果​​

こうした効果を実感するためには、効果を得たい時間帯の約40分前の摂取がおすすめです。

テアニンの摂取量は特に定められていませんが​​、さまざまな検証結果から、1日200mg程度の摂取が有効といえます。

お茶に換算すると20杯ほどにもなってしまうので、サプリメントで補充するなどして上手に取り入れていきましょう。

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