大豆イソフラボンから生まれる高機能成分「エクオール」を専門家が詳しく解説

2024. 08. 30
監修:望月みどり プロフィールを見る >

漢方養生指導士・サプリメントアドバイザー・健康管理士
女性の健康に関する専門性の高い記事を数多く執筆。 漢方養生指導士、サプリメントアドバイザーの知識を活かし、女性向けサプリメントの開発にも携わる

「大豆イソフラボンとエクオールの違いがわからない。効果が似ている気がするんだけど…」
「大豆に含まれているのは大豆イソフラボンでしょ?それじゃエクオールは何から摂れるの?」

こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

まず覚えておいて欲しいのは、「エクオール」という成分が最初からあるわけではないということ。

「大豆イソフラボン」を摂取したときに、それが体内で変換されて生まれるのが「エクオール」です。

この記事では、「大豆イソフラボン」と「エクオール」の違いや効果をわかりやすく解説します。

「大豆イソフラボン」が腸内細菌で変換されて、体内で作られる成分が「エクオール」

「大豆イソフラボン」には、女性の不調サポートをはじめ、生活習慣病や骨粗しょう症の予防など様々な効果がありますが、近年の研究で、体内で「エクオール」に変換されることによって、「大豆イソフラボン」のまま吸収されるよりも高い機能が発揮されることがわかってきました

しかしながら、エクオールには「作れる人」と「作れない人」が存在し、日本人の約半数が「作れない人」であるというのが通説です。

記事後半では、エクオールを「作れる人」はどんな人なのかという点に言及し、作る力を高めていく方法をご紹介します。

この記事をおすすめしたいのはこんな人です!
  • 「大豆イソフラボン」と「エクオール」の違いを知りたい人
  • 「大豆イソフラボン」の効果を最大限に得たい人
  • 女性特有の不調を抱えて悩んでいる人
  • エクオールを作れるか作れないかをくわしく知りたい人
  • エクオールを作れない人が作れるようになる方法に興味がある人

最後まで読んで頂ければ、「大豆イソフラボン」と「エクオール」の違いが明確に理解でき、効果を最大限に得るための対策を今日から始めることができるでしょう。

「大豆イソフラボン」から生まれる注目の成分「エクオール」

「大豆イソフラボン」は、女性の不調サポートをはじめ、生活習慣病の予防など多彩な効果​​を持つ成分ですが、体内で「エクオール」に変換されることによって、「大豆イソフラボン」のまま吸収されるよりも、一層強い効果を発揮します

【大豆イソフラボンの効果】
「エクオール」に変換して吸収

「大豆イソフラボン」のまま吸収

「大豆イソフラボン」から生まれる注目の成分「エクオール」について、次の順で解説しましょう。

  • 『エクオール』とは大豆イソフラボンから産生される代謝物のこと
  • 『エクオール』は「大豆イソフラボン」より高機能!

1-1.『エクオール』とは大豆イソフラボンから産生される代謝物のこと

冒頭でもお伝えしたように、「大豆イソフラボン」を摂取したときに、それが体内の腸内細菌の働きで変換されて生まれる成分が「エクオール」です

​​「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンのエストロゲンと分子構造が似ているため、『植物性エストロゲン』とも呼ばれています。

そのため、年齢と共に減少するエストロゲンを補って、女性特有の不調や骨の健康をサポートする働き(エストロゲン様作用)が期待できます。

さらに、「大豆イソフラボン」から「エクオール」が作られたときには、より活発な働き(エストロゲン活性)が期待できることから、効果を実感できる可能性も高まります

Check!

【エストロゲンとは】

エストロゲンは「女性らしさをつくる」ホルモンで、生殖器官を発育、維持させる働きを持ちます。

肌や髪の潤いを守ったり、女性らしい丸みのある体形をつくったり、女性の体全体の健康を支える作用も果たします。

脳や自律神経にも働きかけるため、女性の心身に大きく影響するのが特徴です。

エストロゲンは思春期から分泌量が多くなり、30代でピークに達しますが、その後徐々に減っていき、40歳を過ぎたあたりから急激に減少します。

エストロゲンの急激な減少は、粘膜、骨、血管、脳など女性の身体の様々な機能に影響を与え、疲れやすさをはじめ、いわゆる更年期障害といわれる様々な不調を引き起こします。

そうした不調を緩和するのが、エストロゲンと似た作用を持つ「大豆イソフラボン」であり、「大豆イソフラボン」から作られる「エクオール」なのです

1-2.『エクオール』は「大豆イソフラボン」より高機能!

「エクオール」は、「大豆イソフラボン」の構成成分ダイゼイン(※1)を腸内細菌(エクオール産生菌)が分解し産生することで作られる成分です。

元の「大豆イソフラボン」よりエストロゲン活性(※2)が強いことから、専門家からは“高機能性イソフラボン代謝物”と呼ばれています。

(※1)大豆イソフラボンは「グリシテイン」「ダイゼイン」「ゲニステイン」​​の3つの成分で構成されている。
(※2)エストロゲンに似た活発な性質

「大豆イソフラボン」を摂取すると、体内の細胞は、それをエストロゲンと認識して受け入れます。

受け入れられた大豆イソフラボンが、腸内細菌によって「エクオール」に変換された場合、大豆イソフラボン(ダイゼイン)のまま吸収されるよりも高いエストロゲン様作用を発揮して、女性の美と健康をサポートします

また、エストロゲンは過剰に分泌されてしまうと、子宮内膜症や子宮筋腫、乳がんなどのリスクが生じやすくなるのですが、エクオールにはその心配がありません。

エクオールには、エストロゲンが過剰な場合には、その働きを抑える抗エストロゲン作用が働いて、バランスを取る作用があるのです。
​​
こうしたことから、「エクオール」は心身にゆらぎを感じる女性たちの強い味方として、その高い機能が注目を集めています

「大豆イソフラボン」から「エクオール」を作れない人がいる?

大豆イソフラボンそのものより高い機能を持つエクオールですが、残念なことに誰でも産生できるかというとそうではありません。

『個人差がある』と先述したように、「作れる人」と「作れない人」が存在します

エクオールを「作れる人」の割合は、日本人では2人に1人の約50%、欧米人ではなんと25~30%といわれています。

2-1.日本人の半分の人がエクオールを作れない

エクオールを作れる日本人は2人に1人、20代では約2割程度しかエクオールを産生できないという報告があります。​​

エクオールを「作れない人」というのは、端的にいうと、「エクオール産生菌」が腸内からいなくなってしまった人です。

菌がいた場合でも、菌の活動具合でエクオールへの変換率は変わってきます。

“どうして「エクオール産生菌」がいなくなってしまう人や、活動が鈍い人がいるのか?”

その理由は、ストレスや睡眠不足、運動量の低下など諸説ありますが、現状、一番大きな原因は「腸内環境」で、食の欧米化、大豆製品や食物繊維の摂取不足とみられています

欧米人や、日本人でも20代に作れない人が多いのは、欧米式の食事が影響していると考えられます。

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【エクオール産生菌は97%の人が持っている!】

これまでエクオールが作れない人は、元々エクオール産生菌を保有していない人だと考えられてきましたが、最近の研究で、エクオールを作れるか作れないかに関わらず、エクオール産生菌そのものは97%もの人が持っていたことが分かりました。

つまり、元々は多くの人がエクオール産生菌を持っている「作れる人」であるにも関わらず、産生菌がいなくなってしまったり、しっかり働いていなかったりして、エクオールを「作れない人」になっているのです。

参照: 第33回日本女性医学学会学術集会にて、「エクオール産生能と腸内細菌叢および、食習慣、生活習慣関連因子についての検討」を発表​​

2-2.エクオールを作れる人の特徴

​なぜエクオールを「作れる人」と「作れない人」がいるかについてはまだ研究段階で、確定的な理由は判明していません。

しかし、腸内環境が問題と先述したように、毎日の食事や生活習慣​​と関係があることはこれまでの研究でわかっていることから、「作れる人」「作れない人」それぞれの特徴を挙げることができます。

下表にまとめましたのでご覧ください。


【エクオールを作れる人の特徴】

【エクオールを作れない人の特徴】
  • 緑茶をよく飲む
  • 毎日大豆食品を食べている
  • 洋食よりも和食中心
  • きのこ類を多く摂っている
  • 魚の油(オメガ3系)をよく摂る人​​
  • 運動をよくする
  • 睡眠をしっかりとっている
  • タバコを吸う
  • 外食が多い
  • 大豆食品をあまり摂らない
  • 野菜をあまり摂らない
  • 飲酒の習慣がある
  • 便秘や下痢などの排便障害がある

いかがでしょうか。
あなたは、どちらの特徴に当てはまっているでしょうか。

ただ、毎日大豆商品を食べて緑茶を飲んでいる人は必ずエクオールが作れるのかというと、それは違います。

あくまでも「その傾向がある」ということで、断定はできないことを承知しておいてください。

詳しく調べたい人は、エクオール産生ができるかどうかを尿で調べる検査キットがメーカー等から提供されていますので、それらを試してみるのも一案でしょう。

【知っておこう!】エクオールを作れる人でも毎日必要な量を生み出すことができる​​わけではない

腸内で「エクオール」を作れる人は日本人の約半数とお伝えしましたが、作れる人は、大豆食品さえ摂っていれば毎日必要な量のエクオールを産生できるかというと、実はそうではありません。

「エクオールを作れる人」が、1日に必要な「エクオール」10mgを必ず生み出せるわけじゃない!

健康状態やストレスにより腸内環境は毎日変化するため、エクオールを作れる人でも産生量が減少したり、急に作れなくなったりすることもあるのです。

更年期等の不調に悩む女性の美と健康のために必要なエクオールの量は、1日あたり10mg程度と考えられていますが、エクオールを作れる人だからといって、毎日コンスタントに必要量を産生できるわけではないことが、研究で明らかになっています。

エクオールを作れる人数名を対象に、毎日同じメニューを食べて日ごとの尿中エクオール排泄量を調べた調査では、日によって量に大きな変動がみられました。

日間の産生量に波があるばかりか、日によっては全くエクオールが作られない人も存在しました。

また、エクオールを作れる人数百名を対象にした別の研究で、通常の食生活の中で尿中エクオール排泄量を調査したところ必ずしも十分な量のエクオールが産生されていなかったことが明らかになりました。

大半のエクオール産生量/日が、目安とする10mgを下回っていることも認められています。

こうした調査から、エクオールを作れる人であっても、多くは普段の食生活で十分な量のエクオールを産生できていない可能性が示されました。

つまり、自分は大丈夫と思って何も策を講じないでいると、作れるか作れないかに関わらず、エクオールの効果はなかなか得られないということです。

エストロゲンを補って支える、他にはない成分の力を生かせないのは勿体ないですよね。

そこでご提案したいのが、エクオールを作る力を高められるサプリメントの摂取です。

次章で詳しく解説します。

「エクオールを作る力」はサプリメントで高められる

エクオールを作れない人や、作れても必要量に足りない人の「作る力」を高める方法があります。

それは、サプリメントで『エクオールが作れる元気な腸内細菌を育てる』方法です。

腸内環境は食習慣によって変化するため、ある時点でエクオールを作る腸内細菌を持っていなくても、その後エクオールを作れる体質になる可能性があるのです。

今の時点で、エクオールを作る力を高められるサプリメントは、『アグリコン型イソフラボン』配合のサプリメントだけです

大豆イソフラボンの中でも吸収率の高い『アグリコン型イソフラボン』は、腸内環境を整え、エクオールが自分で作れる、活発な腸内細菌を育てる効果が期待できます。

【作れない人を作る人に変えるアグリコン型イソフラボン】

大規模ヒト臨床試験において、アグリコン型大豆イソフラボンを摂取すると、血液中のエクオール濃度が用量に比例して現れることが分かっています。

出典: ​​AglyMax®の摂取による体内でのエクオール代謝において優位性を確認|ニチモウバイオテックス株式会社

「作るより、エクオールそのものを含むサプリメントを摂る方が早いのでは?」

と、思われるかもしれませんが、エクオールそのものを含むサプリメントの場合、摂取を終えてしまったらそれで終わりで、以降はエクオールを体内に取り込むことはできません。​​

その後もずっとサプリメントを摂り続けなければ自分で作る力は養われませんし、腸内環境が整わなければ、摂取したエクオールが力を発揮しないことも考えられます。

『アグリコン型イソフラボン』のサプリメントは、腸内環境を整え腸内細菌を育てて、体内でエクオールを作れる体に導きます。

「作れない人」を「作れる人」に変えることができるのです。

Check!

【アグリコン型イソフラボン​​】

大豆イソフラボンには「グリコシド型」と「アグリコン型」の2つの種類があり、アグリコン型は、グリコシド型の3倍以上の吸収率を持っています。

サプリメントに配合された大豆イソフラボンが「アグリコン型」かどうかは、原材料表示に以下のような記載があるかで確認してください。

  • アグリコン型イソフラボン
  • 大豆イソフラボンアグリコン
  • イソフラボンアグリコン
  • 麹菌発酵大豆イソフラボン
  • 麹菌発酵大豆胚芽抽出物
  • 大豆胚芽乳酸菌発酵物
  • 大豆胚芽抽出発酵物​​

また、原材料表示は、含有量の多いものから順番に記載するルールになっています。

アグリコン型イソフラボンが上位に記載されていない場合は、含有量が少ないということなので注意しましょう。

毎日の大豆製品でエクオールを作れる身体になる!

「エクオール」の効果をしっかり実感したい方には、サプリメントに加えて、毎日の食事で大豆製品から「大豆イソフラボン」を摂ることをおすすめします。

当然のことながら、健康で錆びない体を手に入れるためには、サプリメントだけで十分とはいえません。

2章の「エクオールを作れる人の特徴」でお伝えしたように、毎日大豆製品を摂る人にエクオールを作れる人が多いことが報告されています

サプリメントを含めた大豆イソフラボンの1日の総摂取量の上限の目安は70~75mgですが、国民栄養調査(平成14年)での農林水産省の発表によると、平均的な日本人のイソフラボンの摂取量は18㎎と上限にはるかに及びません。

「大豆イソフラボン」は、大豆のほか、豆腐やおから、油揚げ、納豆、味噌、豆乳など、大豆を原料とする食品のほとんどに含まれます。

下記に主な大豆食品に含まれる大豆イソフラボンの含量の目安をまとめましたので、こちらも参考にして、毎日の食事に大豆製品を取り入れていきましょう。

食材 大豆イソフラボン含量
納豆 1パック 45g 約36mg
豆腐 木綿 半丁 150g 約42mg
絹ごし 半丁 150g 約38mg
調製豆乳 1本 200g 約41mg
きなこ 大さじ2 12g 約19mg
油揚げ 厚揚げ 1/2枚 100g 約37mg
薄揚げ 1枚 30g 約12mg
味噌 味噌汁1杯 20g 約6mg

人間は本来、体内でエクオールを作る力を持っています。

エクオールを作る力を目覚めさせ、その効果を実感できる体づくりのために、サプリメントと併せて日々の食事で大豆製品を摂ることを心がけましょう。

まとめ

「エクオール」は、「大豆イソフラボン」が腸内細菌によって代謝されて生まれる活性代謝物です。​​

元の「大豆イソフラボン」よりエストロゲン活性が強いことから、専門家からは“高機能性イソフラボン代謝物”と呼ばれ、心身にゆらぎを感じる女性たちの強い味方として、その高い機能が注目を集めています。
​​
現在、「エクオール」を作れる人は日本人の2人に1人といわれていますが、作れない人も、腸内環境を整え、エクオール産生菌を育むことで、エクオールを作る力を高めることができます。

毎日の食卓に大豆製品を取り入れると共に、アグリコン型イソフラボンのサプリメントを摂取して、エクオールを作れる、錆びない体づくりを目指しましょう。

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