「テアニンには睡眠効果があるっていうけど本当かな?」
「この頃よく眠れないのだけど、テアニンを飲めば改善する?」
こんな悩みをお持ちではないでしょうか。
緑茶に多くに含まれるアミノ酸「テアニン」には、睡眠の質を上げる効果があります。
テアニンを摂ると、寝つきが良くなり、途中で目を覚ますことなく熟睡できることが、さまざまな研究で実証されています。
この記事では、テアニンの睡眠効果について、4つの事例を交えて詳しく解説します。
実は「眠れない悩み」には、原因によって下記のようなタイプがあり、それぞれ対処法が違います。
①ストレスが原因
②体の病気が原因
③心の病気が原因
④生活のリズムの乱れが原因
⑤環境が原因
テアニンでの睡眠改善効果が期待できるのは、①の「ストレスが原因」、④の「生活のリズムの乱れが原因」、⑤の「環境が原因」の3タイプです。
後半には、こうした不眠のタイプにも言及しますので、あなたの悩みにテアニンがマッチするかどうかが判断できるようになります。
熟睡とスッキリした目覚めが得られる『テアニン』の睡眠効果について、知識を深めていきましょう。
目次
朝までぐっすり!『テアニン』には睡眠の質を上げる効果がある
まず1章では、どうしてテアニンを摂取すると良い眠りが得られるのか?を解説します。
テアニンが睡眠をサポートする仕組みを理解していきましょう。
1-1.リラックス作用で寝つきが良くなる
テアニンにはリラックス効果があり、その影響で寝つきが良くなります。
眠りを妨げる原因となる、脳の緊張や興奮が抑えられるのです。
テアニンを摂取すると、心身共にリラックスした状態のときに出るα波(アルファ波)(※)が増加します。
(※)アルファ波:α波は脳波の1つで、心身ともにリラックスした状態の時に発生します。心身の健康に良い影響を及ぼすといわれており、能力開発やストレス解消への効果も期待されています。
α波が増加すると、脳がリラックスして交感神経が抑えられ、自律神経(※)のバランスが整います。
体を休息させる役割の副交感神経が優位になるのです。
(※)自律神経:全身の器官をコントロールする神経系で、体の活動性を生み出す「交感神経」と、体を休息させる「副交感神経」から成り立っています。
スムーズに眠りが訪れる際には、体を休息させる「副交感神経」が優位になることが知られています。
テアニンを摂るとα波が増加し、副交感神経が優位なリラックス状態になって心地良く眠りに入れます。
参照:緑茶成分テアニンの向精神作用について|日本生物学的精神医学会誌
J-STAGE|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響|日本農芸化学会誌
1-2.中途覚醒がなくなり熟睡できる
テアニンの睡眠効果で特に注目すべきは、中途覚醒がなくなることです。
いくら寝つきが良くても、途中で度々目が覚めると熟睡できず、質の良い眠りは得られません。
テアニンを摂ると目覚めずに熟睡できるのは、テアニンが覚醒系の神経伝達物質であるグルタミン(※)の過剰分泌を調節する働きを持っているからです。
(※)グルタミン:興奮性の神経伝達物質。筋肉を維持する効果がありますが、大量に分泌されると、脳の興奮状態が持続して眠れなくなってしまいます。
グルタミンの過剰な分泌を抑えることで、交感神経の活動を抑えて中途覚醒を減少させ、眠りを深くするのです。
テアニンを摂取すると、中途覚醒がなくなり熟睡できて睡眠の質が上がります。
睡眠中の疲労回復がスムーズに進行し、起床時に爽快感が得られるようになります。
【4つの事例紹介】『テアニン』で睡眠障害が改善された!
テアニンの睡眠効果を解説しましたが、仕組みを理解しただけでは本当に実感できるのかを疑問に思う方もいるでしょう。
そこでこの章では、実際に検証された『テアニン』の睡眠改善効果の事例を紹介します。
良い眠りに導くテアニンの働きを、順に見ていきましょう。
2-1.テアニンで睡眠の質が上がった
テアニンの摂取で、睡眠の質が向上することが検証された事例です。
参照:Actigaph を使用した L-テアニンの睡眠への影響| 日本生理人類学雑誌
2-2.テアニンで起床時の疲労感が軽減した
テアニンの摂取で、起床時に疲労が回復していることが検証された事例です。
参照:閉経後の女性の睡眠中の自律神経系に対する L-テアニンの効果
2-3.注意欠陥多動性障害(ADHD)の少年の睡眠が改善した
テアニンの摂取で、注意欠陥多動性障害(ADHD)の少年の睡眠改善が検証された事例です。
参照:注意欠陥多動性障害 (ADHD) の男児の客観的な睡眠の質に対する L-テアニン の効果
2-4.統合失調症患者の睡眠の質が上がった
テアニンの摂取で、統合失調症患者の睡眠の質の向上が検証された事例です。
参照:国立精神・神経医療研究センター 太田深秀室長第12回アジア栄養学会議で「Young Investigator Award」を受賞
不眠の原因はさまざま!『テアニン』による睡眠改善がおすすめな人
テアニンの睡眠改善効果について解説してきましたが、では、どんな睡眠障害にもテアニンがマッチするのかというとそれは違います。
というのも、「眠れない悩み」は原因によってタイプが分かれており、それぞれ対処法が違うからです。
3章では、原因別の不眠のタイプと、その中のどのタイプの方にテアニンがおすすめかを解説していきます。
あなたの不眠の原因は何でしょうか?
ご自身のタイプを考えながらご覧になってください。
3-1.原因別|不眠の5つのタイプ
「眠れない悩み」は、その原因から下表のように5つのタイプに分けられます。
この中で、テアニンでの睡眠改善効果が期待できるのは、①「心の病気」が原因、④「生活リズムの乱れ」が原因、⑤「環境」が原因の3タイプです。
②の「体の病気が原因」のタイプは、不眠改善の前に病気を治療することが重要です。
テアニン効果が望めないわけではありませんが、治療薬との飲みあわせによっては、薬の効果を下げてしまう可能性があるので注意が必要です。病気治療中の不眠については、主治医に相談してみましょう。
③の「心の病気が原因」のタイプについても、独断でテアニンを摂取することはおすすめできません。
心の病気にも種類があり、それぞれの治療法があるため、専門施設での検査と診断が必要です。
このタイプの睡眠障害が疑われる場合には、日本睡眠学会の睡眠医療認定医や、心療内科医に診断を仰ぐようにしてください。
3-2.『テアニン』による睡眠改善をおすすめしたい人
ここまでのまとめとして、テアニンでの睡眠改善を特におすすめしたい人を挙げておきます。
不眠や寝つきの悪さに悩んでいても、病院で睡眠薬を処方してもらう程ではないし、できれば睡眠導入剤は使用したくない、という方は少なくないと思います。
「テアニン」はそんな方に最適です。
テアニンを摂取すると、脳のα波が増加し、自然に緊張が解けてリラックスできます。
薬のような即効性はありませんが、ご紹介したように睡眠の質が向上した検証結果も出ていて、確かな効果が期待できます。
注意!睡眠の質の低下が心身に及ぼす影響
「テアニンが睡眠の質を上げるのはわかったけど、“睡眠の質”ってそんなに大事なの?」
ここまで読んできた中にはこんな疑問を持った人がいるかもしれませんが、想像されている以上に、人間にとって“睡眠の質”は重要です。
睡眠の質の低下は、私たちの心身にさまざまな悪影響を及ぼします。
睡眠の質の低下による心身のリスクを、時間経過を追ってまとめた下表をご覧ください。
参照:厚生労働省e-ヘルスネット|睡眠と生活習慣病との深い関係
眠りの浅い人が、その状態を長く放置していると、常に緊張状態である交感神経が優位となって血圧が高い状態が続くため、高血圧を招きます。
また、睡眠不足は血糖値をコントロールするインスリンというホルモンの働きを悪くするため、糖尿病の発症リスクを高めることも研究で実証されています。
さらに、睡眠不足や睡眠の質の低下は、食欲を調整するホルモンに影響し、食欲を増大させるため、肥満を招きやすくなります。
高血圧、糖尿病、肥満はいずれも動脈硬化の危険因子であり、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高めることにもつながってしまいます。
出典:厚生労働省e-ヘルスネット|睡眠と生活習慣病との深い関係
「1日くらい仕方ないか…」、「今は忙しいから…」と、睡眠の質の低下を放置していると、重大な病気の引き金となり、取り返しのつかない事態に陥る可能性があるのです。
今、少しでも睡眠の質の低下を感じている人、特に前章「『テアニン』による睡眠改善をおすすめしたい人」に当てはまっている人は、早めの対策を講じていきましょう。
『テアニン』の睡眠に効果的な摂取方法
『テアニン』の睡眠に効果的な摂取方法を解説します。
テアニンで質の良い眠りが得られるように、適切な摂り方を理解しておきましょう。
5-1.『テアニン』はサプリメントで摂るのが効果的
テアニンで睡眠効果を得るためには、サプリメントでの摂取がおすすめです。
というのも、テアニンの必要量をお茶で摂ろうとすると、毎日煎茶を20杯ほども飲む計算になってしまうからです。
テアニンの1日の摂取量目安は200mgです。
これまでの研究で200mgの摂取で実感できる効果が表れることが明らかになっています。
しかしながら、200mgのテアニンというのは簡単に摂れる量ではなく、一般的な茶葉で煎れた煎茶であれば、一杯80mlとして約20杯も飲まなくてはならなくなります。
いくら美味しいお茶でも毎日20杯も飲み続けるのは至難の業です。
それに20杯となると、カフェインなど他の成分を摂り過ぎる心配もあります。
そこでおすすめしたいのが、テアニン配合のサプリメントでの摂取です。
サプリメントであれば、手軽に必要量を摂取できますし、吸収率も良いので高い効果が期待できます。
ただ、「テアニン」サプリメントであればどんな商品でも良いわけではありません。
良質なサプリメントの選び方については、次章「睡眠の質を向上させる!『テアニン』サプリメントの選び方」でくわしく解説しますので参考にしてください。
参照:化学成分か ら見た市販緑茶の品質|農林水産省野菜 ・茶業試験場
5-2.『テアニン』を摂るおすすめのタイミング
テアニンは薬ではないので摂るタイミングに決まりはありませんが、おすすめしたいのは、効果を得たい時間帯の約40分前の摂取です。
これまでの研究で、摂取後40分でα波の出現が観測され、少なくとも2時間は持続することが確認されています。
従って、睡眠障害にお悩みの方は、ベッドに入る40分ほど前を目安にテアニンを摂取すると良いでしょう。
テアニンのリラックス効果や、緊張や不安の緩和を求める場合も、このタイミングを図って摂るのが効果的です。
睡眠の質を向上させる!『テアニン』サプリメントの選び方
テアニンの睡眠効果を得るためには、どんなサプリメントでも良いというわけではありません。
6章では、睡眠の質を向上させる『テアニン』サプリメントの選び方を伝授します。
よく読んで、ポイントを把握しておきましょう。
6-1.『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ
忘れてはならないポイントは、テアニンが200mg以上配合されているサプリメントを選ぶことです。
先述のように、テアニンは「200mg」を目安に摂取することで、効果が得やすくなります。
1日の摂取目安量でテアニンの含有量が200mgになっているか?を、しっかりチェックしましょう。
ちなみに、摂取量や注意点など必要な情報が記載されていないサプリメントは、信頼性の高い商品とはいえません。
テアニンの200mg以上の配合が明記されているサプリメントを選びましょう。
6-2.複合成分配合のサプリメントを選ぶ
2つ目のポイントは、テアニンの単一処方ではなく、複合成分配合の商品を選ぶことです。
複合成分配合サプリメントには、様々な原因にアプローチする複数の成分が含まれているため、
多岐に渡る症状の改善が期待できます。
「テアニン」サプリメント摂取をお考え方の多くは、未病の状態で複雑な不調を抱えていることが多いです。
たとえば、睡眠障害をお持ちの方は、日常生活でストレスを抱えていることが多く、そのせいでイライラや不安感に悩まされていたりします。
仕事と休息のバランスが上手くとれずリラックスできない人の不調は、疲労感や冷え性、肩こり…と多岐に渡ります。
こうした複数の症状を、主たる1つの不調、1点の原因にアプローチする単一成分のサプリメントで解消していこうとすると、いくつもの種類を摂取しなければならなくなります。
「テアニン」のサプリメントを選ぶなら、今抱えている複数の不調にアプローチする、複合成分配合のサプリメントが良いでしょう。
まとめ
テアニンには脳のα波を増加させ、交感神経の働きを抑える働きがあることから、下記のような睡眠効果が期待できます。
- リラックス作用で寝つきが良くなる
- 中途覚醒がなくなり熟睡できる
今の時代、睡眠に関して悩むのは珍しいことではありません。
日本人を対象にしたある調査では、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答したといいます。
不眠は加齢とともに増加し、60歳以上の方では約3人に一人が睡眠問題で悩んでいるという結果も出ています。
ですから不眠を特殊な病気だと思わず、今すぐできる方法で前向きに対処していきましょう。