「免疫力を上げるには、どんなものを食べればいいのだろう」
「手軽に免疫力を上げることのできる食べ物ってないのかな」
せっかくなら毎日食べる物で免疫力を上げていけたら…とお考えですね。
免疫力を上げることができる食べ物は、以下のものです。
実は免疫力とは、具体的に以下の5つの作用が総合的に高い状態のことを言います。
この5つの作用がバランス良く総合的に働くことにより、感染症などの病気になりにくく、万が一病気になっても回復しやすい体ができるのです。
そのため、上記に挙げた食べ物の中からひとつだけを取って食べても、残念ながら免疫の総合力を上げることはできません。
そこでこの記事では、具体的にそれぞれの免疫力を上げる食べ物と、免疫の総合力を上げるための季節に合わせた効果的な食べ方をお伝えします。
この記事を読むことで、免疫力の高い体をつくり、健康的に忙しい日々を乗り切ることができます。
目次
免疫力を上げる食べ物一覧
免疫力を上げるためには、図に挙げた5つのジャンルの食べ物を、日常的に意識して取り入れることが大切です。
それぞれのジャンルについて、具体的に見ていきましょう。
1-1.免疫力を上げる食べ物:①免疫抗体を増やすタンパク質
免疫力を高めるには、タンパク質は必要不可欠な栄養素と言えます。
タンパク質は、病原菌から身体を守ってくれる「免疫グロブリン」という抗体を増やします。
この免疫グロブリンは、異物が体内に入ったときに駆除する機能があります。
また、体内の細胞を作ったり維持したりする働きがあるため、良質なタンパク質を摂取することで、ダメージを受けた細胞を修復し、回復を早めることができます。
1-2.免疫力を上げる食べ物:②活性酸素を減らすポリフェノール
ポリフェノールは、活性酸素を無害なものに変える働きがあり、がんや感染症の予防、老化防止など免疫力を上げるためには欠かせない栄養素と言えます。
活性酸素とは、呼吸などによって体内に取り込まれた酸素の一部が、通常よりも活性化された状態になったものです。
体内の代謝過程においてさまざまな成分と反応し、過剰になるとタンパク質を破壊するなどの細胞傷害をもたらします。
活性酸素によって細胞内にある核の遺伝子が傷つけられると、細胞の変異や死滅につながります。
また、LDLコレステロールにも影響するため動脈硬化を進行させ、血管の老化を促進させます。
コーヒーでポリフェノールを摂取する場合は、カフェインの悪影響を考慮して、デカフェのものを選んだり摂取しすぎないようにしたり、気をつけてください。
1-3.免疫力を上げる食べ物:③抵抗力を高めるビタミン
季節の緑黄色野菜や果物には、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEが豊富に含まれています。
この3つのビタミンをまとめて「ビタミンACE(エース)」と呼ぶことがあります。
ビタミンACEは、それぞれ以下のような働きを持っています。
粘膜を強くすることでウイルスや細菌の侵入を防ぎ(=ビタミンA)、健康な細胞膜が活性酸素の影響を退け(=ビタミンE)、高い抗酸化作用で活性酸素を防ぐ(=ビタミンC)…という、三者三様のそれぞれの働きで、免疫力を高めてくれます。
また、緑黄色野菜にはフィトケミカルという抗酸化物質も多く含まれているため、ビタミンACE以外にも、細胞の老化によるさまざまな病気のリスクを低下させることができます。
野菜や果物の色素によっても摂取できる栄養素が少しずつ異なるため、さまざまな色の野菜を楽しみながら摂ると良いでしょう。
1-4.免疫力を上げる食べ物:④病原菌を排除する食物繊維
食物繊維は、お腹の調子を整えて腸内環境を改善します。
腸内環境の良い状態とは、いわゆる「善玉菌」が多い状態です。
食物繊維はこの善玉菌の栄養になり、善玉菌を育てることで腸内環境を整えるのです。
腸内環境を整えることで、腸にある体全体の70%にもおよぶ免疫細胞が活性化されるため、免疫力が上がるのです。
また、大腸の腸内環境が良くなると、病原菌や体内の不要物をスムーズに体の外へと排出しやすくなります。
体内に取り込んでしまったウイルスや細菌も溜め込まないため、感染症などからの回復も早く見込めるのです。
特に、きのこや海藻類の食物繊維には「β–グルカン」という特有の成分が含まれています。
このβ–グルカンは、免疫システムや免疫バランスを整える成分なので、ウイルスや細菌に抵抗しながら同時に排出も促してくれる優秀な栄養素です。
きのこ類は天日干しをすることでビタミンDが増え、これによりさらに免疫機能の調整力が上がり、また、カルシウムの吸収を促して骨を形成する効果も高まります。
1-5.免疫力を上げる食べ物:⑤腸内環境を整える発酵食品
味噌や醤油、糀などの昔ながらの和食の調味料のほか、納豆や漬物、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品には、腸内環境を整える作用があります。
腸には体の免疫細胞の約70%が集まっているため、腸内環境を整えることで、免疫力が上がるのです。
発酵食品には、乳酸菌や麹菌、納豆菌、酵母菌、酢酸菌などの善玉菌が豊富です。
腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことにより、体に必要な栄養をスムーズに吸収し、免疫細胞を活性化させることができます。
食べ物から免疫力を上げる5つの基礎知識
免疫力を上げるには、以下の5つの作用がバランス良く総合的に働くことが大切だと、冒頭でお伝えしました。
実際に、食べ物によってどのように免疫力が上がるのか、その仕組みについて詳しく見ていきましょう。
2-1.体に悪いものを入り込ませない
食べ物を選ぶことで、粘膜と皮膚を強くし、ウイルスや細菌など外部から来る「体に悪いもの」をそもそも入り込ませないようにすることができます。
具体的には、粘膜と皮膚を強くするビタミン類を摂ることで、体に悪いものを寄せ付けないバリア機能を高め、免疫力を上げるのです。
体の外側にある皮膚は、全身を覆うバリアのような役割で、体に悪影響を与えるものを寄せ付けないようにしています。
同じように、目や鼻のほか、口から続く内臓の粘膜も、体の内側にある皮膚としてウイルスや細菌を体内に取り込まないよう、保護をしています。
粘膜と皮膚を強くする一方、もしも体の内外に炎症や傷がある場合には、細胞の生成を促すタンパク質も取り入れると良いでしょう。
2-2.体内の悪いものを除去する
食べ物を選ぶことで、体内で生成されてしまう活性酸素を減らしたり、無害化したりすることができます。
具体的には、ポリフェノールを含む食べ物や緑黄色野菜を摂ることにより、酸素の活性化を防ぎ、できてしまった活性酸素を除去します。
活性酸素はタンパク質に悪影響を与えて変質させるため、がんなど細胞の変質による病気や、動脈硬化などの生活習慣病にも効果が認められているものです。
2-3.体内で免疫抗体を作り出す
食べ物を選ぶことで、ウイルスや細菌など、異物を体内から除去するための抗体作りを促すことができます。
具体的には、タンパク質を摂ることで、免疫抗体を作ることができるのです。
抗体は、免疫グロブリンというタンパク質でできています。
異物が体内に入ると、その異物にある抗原と結合する抗体を作り、異物を排除するように働きます。
良質なタンパク質をきちんと摂ることで、免疫抗体を次々に作り出すことができるため、感染症などからの回復を早めたり、かかりにくくしたりすることができます。
2-4.体内の悪いものを排出する
食べ物を選ぶことで、体内にできてしまったり取り込んでしまったりした「体に悪いもの」を、スムーズに体外に排出することができます。
具体的には、食物繊維を取り入れることで、毒素や不要物の排出を促します。
食物繊維は、コレステロールなどの有害物質を吸着し、便と一緒に体の外に排出してくれるものです。
便のかさを増やすため、大腸が刺激されて排便そのものもスムーズになるのです。
現在ではほとんどの日本人に不足している食品成分なので、積極的な摂取が勧められています。
2-5.免疫抗体を活性化させる善玉菌を増やす
食べ物を選ぶことで、免疫細胞を活性化させる大腸の「善玉菌」を増やすことができます。
具体的には、発酵食品を摂ることで、腸内環境を改善する腸内細菌の種類を増やすのです。
発酵食品に含まれるさまざまな菌は、大腸内の環境を改善する腸内細菌になります。
増えた腸内細菌は、体に必要な栄養をスムーズに吸収できるよう働き、免疫細胞を活性化させます。
腸内には、体内の約70%の免疫細胞が集まっていて、そこで免疫細胞が活性化されることで、免疫力を高めることができるのです。
【プチ薬膳】季節ごとに取り入れたい免疫力アップの食べ物と食べ合わせ
東洋医学では、「薬食同源」や「医食同源」という言葉があります。
体によい食材を日常的に食べて健康を保てば、薬や医者などを特に必要としない、という考えです。
日々選ぶ食べ物こそが薬であり、医者代わりとなるのですから、食べ物で免疫力を上げるためには、その食べ物自体に十分な栄養が備わっていることが大切です。
そこで押さえておきたいのが、食べ物の旬です。
東洋医学では、自然界のものはすべて五行(木、火、土、金、水)と呼ばれる5つの要素によって構成されていると考えており、この五行の考え方に沿って、食材の色や味の組み合わせによりそれぞれの食べ物の効能をアップさせることができるとしています。
この考え方に則って旬の食材や調味料を組み合わせることで、薬膳と同じ効果が得られるのです。
旬の食べ物(=出盛りで最も味が良い時期の食べ物)の中から、五行に合った色や味のものを選ぶだけで、日常にほんの少し薬膳を加えながら、免疫力を効率よく上げていくことができます。
東洋医学の五行に即し、それぞれの季節ごとに取り入れると良い免疫力アップの食べ物をご紹介します。
※五行は旧暦に沿っているため、ここではおおまかに春=2~4月、夏=5~6月、土用=7月、秋=8~10月、冬=11~1月とします。
3-1.免疫力を上げる春(2~4月)の食べ物
免疫力を上げる春の食べ物には、以下のものがあります。
春は、青(緑)色の食材や、春に芽吹く新鮮な山菜などを取り入れると良いとされています。
独特のえぐみのある山菜や春キャベツなど、ほのかな苦味や自然な甘味のある旬の食材を取り入れるだけでも、薬膳と同様の効果が得られます。
ちょうど緑色の野菜が旬を迎えて出回るため、抵抗力を高める緑黄色野菜や果物をたくさん摂り、免疫力を高めましょう。
免疫抗体を作るタンパク質としては、鯛やさよりのほか、旬を迎えるアサリをはじめとした貝類がおすすめです。
3-2.免疫力を上げる夏(5~6月)の食べ物
免疫力を上げる夏の食べ物には、以下のものがあります。
夏には、赤色の食材や苦味のある食材を意識的に取り入れるのが良いとされています。
この頃に旬を迎える赤い食べ物といえば、代表的なのがトマトです。
初夏から残暑まで夏の間中通して、抵抗力を高めるビタミンACEが活躍し、免疫力をアップしてくれます。
また、夏に旬を迎える夏野菜には、身体の余分な熱を冷ましてくれる効果があります。
しかし、身体を冷やし過ぎないようにシソや生姜などの薬味を上手に使うと、薬膳と同様の効果を得られます。
梅干しも夏に積極的に取り入れたいものです。
「梅は三毒を絶つ」と言われ、古くから日本の生活に結びついており、漢方や民間薬として活用されてきています。
夏バテ予防にも欠かせません。
ブルーベリーとラズベリーは活性酸素を減らすポリフェノールが豊富なので、ヨーグルトと一緒に朝食やおやつにすると良いでしょう。
3-3.免疫力を上げる土用(7月)の食べ物
免疫力を上げる土用の食べ物には、以下のものがあります。
土用は、立春・立夏・立秋・立冬の前のおよそ18日間の季節の変わり目を指し、年に4回ありますが、五行では立秋前の長夏を、四季と同様に取り上げることもあります。
この時期には、黄色の食材や甘味のある食材を意識して取り入れてください。
土用に旬を迎える食べ物は、基本的には夏の食材と同様に考えて良いものですが、積極的に取り入れたいのがとうもろこしです。
とうもろこしの主な栄養は炭水化物ですが、ビタミンや食物繊維のほか、体の機能や組織を調節・強化し、心身のバランスを正常に保ち、体内では合成することのできない各種のミネラルをバランスよく含んでいる食べ物です。
ミネラルは汗で体外に排出されてしまうため、暑さの盛りの土用の時期にぴったりですし、採れたてのとうもろこしであれば、生であってもこの時期に積極的に取り入れたい自然な甘味が備わっています。
なお、うなぎの旬は本来10~12月のため、夏の「土用のうなぎ」は旬の食べ物とは言えませんが、ビタミンAが豊富なため、抵抗力を高める効果が期待できます。
3-4.免疫力を上げる秋(8~10月)の食べ物
免疫力を上げる秋の食べ物には、以下のものがあります。
秋には、白色の食材や辛味のある食材を意識的に取り入れるのが良いとされています。
大根や長ネギなど白くて辛味がある食材は、乾燥による呼吸器系やお肌のトラブルを予防してくれます。
また、食物繊維が豊富なきのこの種類がたくさん出てくる季節なので、たっぷりといただいて病原菌の排出を促し、腸内細菌を増やして免疫力を高めましょう。
漢方では「酸甘化陰」と言って、酸味と甘味の組み合わせは身体を潤すと考えられています。
空気が乾燥する秋には、旬を迎える梨やぶどうなどの果物で、身体の潤いを保ちましょう。
鮭やいくらは一年中扱いのあるイメージですが、旬のこの時期にはビタミンや必須アミノ酸の含有量も高まります。
おいしく食べて、免疫力を上げることができます。
3-5.免疫力を上げる冬(11~1月)の食べ物
免疫力を上げる冬の食べ物には、以下のものがあります。
冬には、黒色の食材や塩辛味のある食材を意識的に取り入れると良いとされています。
黒豆、黒ゴマ、黒コショウ、海苔、こんにゃく、牡蠣、ひじきなどが黒い食材に当たります。
海苔はこの時期にちょうど旬を迎えて新海苔が出回るため、積極的に取り入れたい食材のひとつです。
野菜や魚介類の多くがこの季節に旬を迎えるため、鍋物にしていろいろな具材を楽しみながら、免疫力を高めるタンパク質も食物繊維もまとめて摂ることができます。
この季節の果物はビタミンCが豊富なものが多く、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を高めてくれるのも特徴です。
通年のイメージが強い豆腐や納豆も、実は冬が旬です。
10月頃に収穫された栄養満点の大豆から作られるため、タンパク質やビタミンEを多く含みます。
また、腸内細菌の栄養となるオリゴ糖も豊かなので、ぜひこの季節に楽しみながら免疫力アップを計ってください。
免疫力を上げる食べ物の効果を上げる季節のレシピ
免疫力を上げる食べ物を組み合わせた、季節ごとの効果的なレシピをご紹介します。
■春:セロリのピクルス
春に取り入れたい、青(緑)色と酸味の食べ合わせ。
この時期に旬を迎えるセロリで、たっぷりのお酢を使ったピクルスを作りましょう。
漬けた翌日から食べられます。
このレシピで摂れる免疫力アップの食べ物:ビタミン、発酵食品
■夏:トマトとピーマンのオープンオムレツ
夏には赤い色と苦味を食べ合わせます。
旬のトマトとピーマンを使って、活性酸素を除去しましょう。
このレシピで摂れる免疫力アップの食べ物:ビタミン、ポリフェノール、タンパク質
■土用:とうもろこしの炊き込みご飯
土用の時期には、黄色と甘味の掛け合わせ。
この時期に旬を迎えるとうもろこしで、家族みんなが笑顔になる炊き込みご飯を作りましょう。
冷凍ストックもできます。
このレシピで摂れる免疫力アップの食べ物:ビタミン、ポリフェノール、食物繊維
■秋:里芋のからし味噌和え
秋には白い色のものと辛味を合わせていただきます。
里芋のぬめりには、血圧を下げ血中のコレステロールを取り除く効果もあるため、旬の季節にたっぷり召し上がってください。
このレシピで摂れる免疫力アップの食べ物:ポリフェノール、食物繊維
■冬:牡蠣のみぞれ煮
冬には黒い色の塩辛味のものをいただきます。
旬の牡蠣は塩辛味の代表とも言えるもので、固いものをほぐす作用があり、便通への効果が期待できます。
水溶性の栄養が多いため、煮汁ごと召し上がってください。
このレシピで摂れる免疫力アップの食べ物:タンパク質、ビタミン
免疫力アップの漢方薬やサプリメントを取り入れる
調理や買い物に時間をかけられない方や、より積極的に免疫力アップを試みたい方には、東洋医学の考えに基づき、五行バランスを踏まえた漢方薬やサプリメントを取り入れることをおすすめします。
東洋医学では、食べ物だけでなく人間の身体も、自然界と同じ「五行」に割り当てて考えられています。
図をご覧いただくとわかるように、体の中のすべての臓器や機能は相関しあっているのです。
東洋医学の考えに寄り添い、自然の流れの中で、その時々の体に必要なものを、食べ物やそれ以外のものから適切に取り入れることが、免疫力の高い体作りには欠かせません。
特にサプリメントを摂る際には、以下の点にも注意してください。
自分の体に取り込むものなので、なによりも安全であることと、五行バランスを考えてさまざまな栄養素を同時に摂取できるものを選ぶことが大切です。
冒頭でもお伝えしましたが、「免疫力を上げる」とひと口に言っても、実際に免疫力アップに繋がる作用は5つあり、そのどれかひとつだけが高くても、総合的な免疫力アップにはならないからです。
ポリフェノールやビタミンなどの栄養素を単体のサプリメントで摂るよりも、総合的に免疫力を上げることができるため、サプリメントを選ぶ際に心がけてください。
まとめ
今回は、免疫力を上げる食べ物についてお伝えしてきました。
食べ物で上げることのできる免疫力の5つの作用は、以下の通りです。
免疫力を総合的にアップするために取り入れたい食べ物は、以下の通りです。
食べ物の旬を活用し、プチ薬膳できる免疫力アップの食べ合わせは、以下の通りです。
この記事で、あなたの免疫力を効率的に上げる食べ物に出会い、健康的で豊かな毎日を送ることができますように。