「アミノ酸は何に効くの?」
「期待する効果を得るためには、どのようなアミノ酸を摂取すればいいの?」
さまざまな身体の不調を改善しようとする中で、「アミノ酸」にたどり着いたものの、アミノ酸が何に効果的なのかわからず、アミノ酸の効果について知りたいと思っているのではないでしょうか。
結論から言うと、アミノ酸の主な効果は、次の7つが挙げられます。
アミノ酸は、わたしたちの身体をつくり、健康的な活動を維持し続けるために欠かせないたんぱく質を構成する重要な栄養成分です。
年齢を重ねることで衰えやすい体力や代謝、免疫機能など、さまざまな原因にアプローチして不調を改善へと導いてくれます。
ただし、アミノ酸と言っても、実は500種類ものアミノ酸があり、その中で人体のたんぱく質を合成するアミノ酸は20種類あります。
どの種類を摂取するかで、得られる効果も変わってくるため、バランスよく摂取することがとても重要です。
そこでこの記事では、下記の内容を詳しく解説しています。
「アミノ酸を効果的に摂取したい」
「アミノ酸の効果にあてはまる悩みを抱えている」
このような人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
アミノ酸の嬉しい効果7つ
冒頭でもお話しした通り、アミノ酸はたんぱく質を構成する栄養成分です。
たんぱく質は、身体を作る重要な要素であり、ホルモンなどの機能を調節する役割も担っています。
そのため、たんぱく質を構成するアミノ酸を摂取すれば、次のような効果が期待できます。
具体的な効果について、以下で詳しく紹介します。
1-1.体力アップ
アミノ酸の嬉しい効果の1つ目は、体力アップが期待できることです。
アミノ酸は、筋肉のエネルギー源となる栄養成分で、筋肉をつくるためにはたんぱく質が必要になります。
たんぱく質はアミノ酸から構成されており、アミノ酸を補給することで筋肉の保持や増量につながり、体力アップ効果が期待できるのです。
また、スポーツ前にアミノ酸を補給すると、運動によって破壊された筋組織の再生をサポートし、疲れの蓄積を抑えます。
結果的に疲れを感じにくくなり、持久力の向上も期待できます。
1-2.免疫力アップ
アミノ酸の嬉しい効果の2つ目は、免疫力アップです。
人の身体には、「免疫機能」が備わっています。
その防衛システムによって守られているおかげで、風邪や病気に対しても、免疫機能が作用して予防や早期回復へと導いてくれます。
しかし、免疫機能は、疲労や体力の低下、ストレスなどに影響されやすく、正常に作用しないこともあります。
そのようなときに摂りたいのがアミノ酸です。
アミノ酸には、自然免疫を管轄する免疫細胞の一種「NK細胞」を直接活性化させる働きがあります。
これにより、身体が本来持つ、免疫機能を高めることが可能です。
実際、アミノ酸の免疫効果に関する研究で、アミノ酸の一種である「シスチン」と「テアニン」を摂取することで、風邪の症状が改善することがわかっています。
同研究によれば、すでに風邪にかかっていても、免疫機能がアップすることで、発熱やのどの痛みなどの症状を和らげることも明らかとなっています。
何らかの症状が出ている場合にもアミノ酸の補給がおすすめです。
1-3.脳機能の活性化
3つ目の効果は、脳機能の活性化です。
脳の機能は、神経細胞間で神経伝達物質が、キャッチボールのように情報伝達を行うことで機能を発揮しています。
アミノ酸は、その神経伝達物質のもととなる栄養成分です。
摂取すると脳へ運ばれ、脳機能の維持や活性化をすることがわかっています。
脳機能の活性化については、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構をはじめとした国内外で研究が進められている状況です。
アミノ酸の認知機能に対する予防効果についても研究で明らかとなってきているため、加齢にともなう脳機能の衰えを予防したい人は、アミノ酸を効率よく摂取しておくとよいでしょう。
1-4.脂肪燃焼
4つ目の嬉しい効果は、脂肪を燃焼する効果です。
「1-1.体力アップ」でもお話しした通り、アミノ酸はエネルギー源になります。
アミノ酸をバランスよく摂取して運動を行うと、筋肉の再生が促されて基礎代謝が高まり、消費エネルギーが増えます。
蓄積した脂肪が燃焼しやすくなるため、シェイプアップ効果も期待できるのです。
1-5.健康的な肌
アミノ酸の摂取による嬉しい効果の5つ目は、肌の再生です。
健康的なみずみずしい肌の維持には、肌の一番外側にある、角質層の水分保持が欠かせません。
肌には、「天然保湿因子(NMF)」という天然の保湿成分が備わっており、角質内に水分をためて肌のうるおいを保つ働きを担っています。
その天然保湿因子を構成する主な成分のひとつが、アミノ酸です。
また、肌を構成するコラーゲン(繊維状のたんぱく質)をつくりだすのもアミノ酸であるため、うるおいのある、健康的な肌を保ちたいのであれば、アミノ酸をしっかりと摂取しましょう。
1-6.身体の健康維持
6つ目は、身体の健康を維持する効果です。
身体の健康維持には、「成長ホルモン」という物質が欠かせません。
成長ホルモンは、身体の成長や脳の疲労回復、肌の再生、代謝など、さまざまな機能を調整する役割があります。
アミノ酸は、その成長ホルモンを構成する成分の一種で、しっかりと摂取することで、ホルモン量や働きをサポートしてくれます。
ただし、成長ホルモンの分泌は、10代をピークに減少すると言われています。
年々分泌量が減少するものの、成長ホルモンは健康的な体の維持に欠かせないため、年齢に関係なく、成長ホルモンを構成するアミノ酸をしっかりと摂取することが大切です。
1-7.安眠
7つ目は、安眠効果です。
アミノ酸の中には、睡眠の質を高める効果があるものがあります。
例えばアミノ酸の一種であるGABAやテアニンには、交感神経を抑え、副交感神経を優位に働かせる作用があります。
副交感神経が優位になることで、心の落ち着きやリラックスにつながり、スムーズな入眠や深い眠りへと導いてくれるのです。
「しっかりと睡眠を取ったのに寝た気がしない」
「寝ても疲れが取れない」
という悩みを抱える人も多いでしょう。
充分な睡眠時間を取ることも大切ですが、「質」も大事だと言われています。
睡眠の質が悪いと、充分な時間寝ていたとしても、起きた時にだるさを感じたり、日中に眠気を感じてしまったりすることがあるからです。
GABAの効果については、「GABAの6つの効果と体内で増やす方法を専門家が事例を紹介して解説」で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
アミノ酸の過剰摂取がもたらす逆効果2つ
ここまでアミノ酸の嬉しい効果についてみてきましたが、期待するあまり過剰摂取するのは良くありません。
アミノ酸を摂りすぎることで、次のような逆効果もあるからです。
正しくアミノ酸を摂取するためにも、これからお話しする逆効果についても、しっかりと理解しておきましょう。
2-1.服用中の薬の効果を弱めたり、強めたりする可能性がある
さまざまな効果が期待できるアミノ酸ですが、薬を服用している間は、健康食品やサプリメントでアミノ酸を摂取しないようにしましょう。
アミノ酸は、通常の食品にも含まれている栄養成分であるため、食事による摂取については、基本的には問題ありません。
しかし、アミノ酸の摂取量が多いと相互作用が起こり、服用中の薬の効果を弱めたり、強めたりすることがあるため、薬との飲み合わせには注意が必要です。
例えば、抗パーキンソン病薬の「レボドパ」は、中性アミノ酸を過剰摂取することで、薬の効果を弱めてしまう可能性が指摘されています。
ほかの薬でも、相互作用が起こる可能性が指摘されています。
もし、服用中の薬がある中で、健康食品やサプリメントでアミノ酸を摂取しようと考えている人は、よく医師や薬剤師などに相談をして判断しましょう。
参考:厚生労働省医薬食品局食品安全部「健康食品の正しい利用法」使用編 健康食品を使う前に
2-2.過剰摂取をすると健康被害につながる可能性がある
効果を期待するあまり、過剰摂取してしまう人もいるでしょう。
しかし、服用中の薬がなくても、飲み方には注意しなければなりません。
そもそもアミノ酸は、体内にためておくことができない栄養成分です。
摂取したアミノ酸は、体内で消化・分解され、最終的には体外へ排泄されます。そのため、耐容上限量も設けられていない状況です。
アミノ酸の過剰摂取による健康被害についても、その関係に対する充分な根拠はありません。
しかし、たんぱく質を摂りすぎると、アミノ酸を代謝する主な臓器である腎臓に負担がかかり、腎機能の低下を招く可能性があります。
とくに、腎臓の機能が低下しやすい高齢者は注意が必要です。
アミノ酸の過剰な摂取は控え、ほかの栄養成分と併せて、バランスよく摂取するようにしましょう。
あなたもアミノ酸を摂取した方がいい?セルフチェックシート
アミノ酸の効果や過剰摂取によるリスクを知ったうえで、「自分はアミノ酸の摂取をした方がいいのか」決めかねてしまいますよね。
そこでこの章では、アミノ酸の摂取をすべきかどうか決められる、セルフチェックシートをご用意しました。
上記のセルフチェックシートをもとに、多く当てはまる方は、アミノ酸の摂取を意識的に行うことで、身体の不調が改善するでしょう。
ただ、アミノ酸には多くの種類があり、種類ごとに期待できる効果が異なります。
次の章からは、「どのアミノ酸を摂取したらいいのか」種類ごとのアミノ酸の効果を解説します。ぜひ、ご参考ください。
【20種類】アミノ酸の種類別の効果一覧
あなたの悩みに合ったアミノ酸を効果的に摂取するためには、アミノ酸の種類を知ることがとても大切です。
なぜなら、アミノ酸にもさまざまな種類があり、食事などからしか摂取できないアミノ酸があるからです。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、大きく分けると「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」に分けることができます。
必須アミノ酸は、体内でつくることができません。
そのため、期待する効果を得るためには、食べ物から摂取する必要があります。
摂取するアミノ酸の種類によって得られる効果も変わってくるため、どの種類のアミノ酸を摂取するかも重要です。
以下は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸の作用を一覧でまとめた表です。
上記の表の「★」は、とくに高い効果を期待できるアミノ酸の種類です。
あなたが抱える悩みに対し、効果的にアプローチするためにも、アミノ酸の種類とその効果について理解し、目的に合ったアミノ酸を効率よく摂取するようにしましょう。
アミノ酸を効果的に摂取するコツ3つ
アミノ酸の種類を知ったところで、「どれくらい摂取すればいいの?」「通常の食事で大丈夫なの?」といった疑問を抱く方もいると思います。
そこでこの章では、アミノ酸を効果的に摂取するためのコツを紹介します。具体的には、次の3つです。
以下で、詳しく解説していきます。
5-1.アミノ酸摂取量の目安を押さえよう
たんぱく質を構成するアミノ酸は、基本的な生命の維持に欠かせません。
もしアミノ酸が不足すると、身体の骨格や皮膚、筋肉などを支えるたんぱく質自体の利用効率が低下し、筋肉が減少して転倒するなどのリスクも高くなるからです。
ただし、「2.アミノ酸の過剰摂取がもたらす逆効果2つ」でお話しした通り、アミノ酸は、脂肪のように体内へ蓄積することができません。
過剰に摂取すると、身体への負担もかかる可能性があるため、摂取量を把握しておくことが重要です。
耐容上限量は設定されていませんが、1日あたりのアミノ酸の摂取量は、「たんぱく質摂取量」が目安になります。
たんぱく質は、多数のアミノ酸が集まることで形成されているものだからです。
あなたの体重(kg)に応じた1日分のたんぱく質摂取量は、1.0〜2.0gを目安量として計算できます。具体的な必要量は、以下を参考にしてください。
参考:日本アミノ酸学会翻訳小委員会 ほか訳, 『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU 合同専門協議会報告』, 医歯薬出版株式会社, 2009年5月, 67頁
肉・魚や卵、野菜など、さまざまな種類のたんぱく源をバランスよく摂取することで、複数のアミノ酸を安定して摂ることができるようになります。
アミノ酸を含む具体的な食材については、次項で紹介しているので、ぜひこのまま読み進めてください。
5-2.アミノ酸スコアの高い食べ物を積極的に摂ろう
「アミノ酸を摂ろう」と言われても、どのような食材に含まれるのかわかっていないという人も多いでしょう。
アミノ酸を効果的に摂取したいという場合には、「アミノ酸スコア」を参考にしてください。
アミノ酸スコアとは、アミノ酸がバランスよく含まれた、良質なたんぱく質であることを数値化した指標です。
「国際連合食糧農業機関(FAO)」「世界保健機関(WHO)」「国連大学(UNU)」が提案する評価基準で算出されています。
アミノ酸スコアが100であれば、アミノ酸がバランスよく含まれているということです。
具体的な食材としては、以下が挙げられます。
参考:一般財団法人日本食品分析センター「食品たんぱく質の栄養価としての『アミノ酸スコア』」
アミノ酸は、普段から食べているような肉や魚、野菜など、さまざまな食材に含まれているため、少し意識するだけでしっかりと摂取できるでしょう。
たとえば、鶏卵には、食べ物でしか摂取できない「必須アミノ酸」の9種類がすべて含まれています。
体重や運動量によって、たんぱく質の摂取量は異なりますが、1日のたんぱく質の摂取量が60gだった場合、1食あたり20~30gずつ摂取するのが理想です。
食品1つあたりに含まれるたんぱく質の量は少ないですが、1食で複数の食材を組み合わせれば、20~30g摂取するのも難しくないでしょう。
ただし、「4.【20種類】アミノ酸の種類別の効果一覧」でもお話しした通り、アミノ酸と言ってもさまざまな種類があります。
アミノ酸の種類によって得られる効果も変わってくるため、さまざまな食材をバランスよく摂ることも大切です。
5-3.食べ合わせのバランスも意識しよう
アミノ酸は、ほかの栄養成分とのバランスを意識して摂ることが大切です。
ほかの栄養成分と一緒に摂取することで、アミノ酸の働きを促したり、効果を高めたりする可能性があるからです。
アミノ酸は、次のような栄養成分と一緒に摂取すると、相乗効果が期待できます。
アミノ酸の摂取だけを意識して摂るのではなく、食べ合わせのバランスにも配慮した食事を心がけましょう。
ビタミンCの効果は「ビタミンCの代表的な6つの効果について、研究結果から専門家が詳しく解説」、ビタミンBの効果は「【全8種類】ビタミンBの種類別効果と効果的な摂取方法を専門家が解説」でも詳しく紹介しています。ぜひ、併せてご確認ください。
バランスよくアミノ酸を摂取するのは難しい
アミノ酸は、「必須アミノ酸だから積極的に摂る」「非必須アミノ酸は体内でつくられるから摂らなくてよい」ということではありません。
アミノ酸を樽だと考えてみてください。何枚かの板でできた樽に水を溜めたとき、1枚でも低い板があると、そこから水が流れ出てしまいます。
アミノ酸もそれと同じで、1つの種類をどれだけ摂取しても、20種類のアミノ酸をバランスよく摂取しなければ、一番少ないアミノ酸の種類に合わせて最大値が下がってしまいます。そのため、最大限の効果が期待できません。
アミノ酸の種類によって、得られる効果が変わってきますが、摂取する際は、どのアミノ酸もバランスよく摂取することが大切です。
そのためにも良質なたんぱく質を含むアミノ酸スコアの高い食材を選ぶことが重要ですが、毎日の食事で意識的に摂取するのは難しいときもあります。
- 毎回の献立で摂取しきれないアミノ酸の種類がある
- 本当にアミノ酸をバランスよく摂取できているのか不安だ
このような悩みを抱えているのであれば、サプリメントなどの健康食品を活用するのもひとつの解決策です。
無理して摂ろうとすると、かえってストレスとなり、健康被害につながる可能性もあります。
サプリメントなどをうまく活用し、心にゆとりを持ちながらアミノ酸を摂取し、身体の不調を改善につなげましょう。
まとめ
最後に、この記事を簡単にまとめましょう。
◎アミノ酸の効果は、次の7つです。
◎アミノ酸の過剰摂取がもたらす逆効果は、次の2つです。
◎アミノ酸を効果的に摂取するコツは、次の3つです。
日々の食事やサプリメントでアミノ酸を摂取し、あなたの抱える不調や悩みを解決へ導きましょう。