「テアニンってよく聞くけど、どんな成分?」
「お茶に入ってるんだよね。何か体に良い効果があるの?」
こんな疑問をお持ちではないでしょうか。
「テアニン」は、緑茶に多く含まれるアミノ酸の一種で、心身をリラックスさせ、落ち着いた気分にする働きを持っています。
また、睡眠をサポートする効果があることもよく知られています。
この記事では、心身を癒す効果のある「テアニン」について、効果や摂取方法を詳しく解説します。
テアニンの健康効果はさまざまな研究で明らかになっていますが、実感するには、1日に200mg程度の摂取が必要になります。
しかしながら、その量をお茶で摂ろうとすると、毎日お茶を20杯ほども飲む計算になります。
そこで記事後半では、テアニンをサプリメントで補充する方法をご紹介しますので、参考にしていただけたらと思います。
まずは、「テアニン」とはどんな成分なのか?というところから、正しい知識を得ていきましょう。
目次
癒しの成分『テアニン』とは
ホッとさせてくれる癒しの成分『テアニン』について、次の順に解説します。
1-1.『テアニン』とは
テアニンは、緑茶などのお茶に含まれるアミノ酸の一種です。
お茶の旨みや甘味に関係している成分(旨み成分)で、緊張を和らげ、心身をリラックスさせる効果を持っています。
お茶の木の根で生成されたテアニンは、植物の幹を通じて葉っぱへ移動します。
葉っぱに送られたテアニンは太陽の光に照らされると、光合成によって渋み成分のカテキン(※)に変化します。
(※)カテキン:ポリフェノールの一種で、緑茶の渋みの主成分
そのため、渋みの少ない高級なお茶をつくる際は、収穫前にお茶の木に太陽の光が当たらないようにすることで、テアニンのままの状態を保ち旨みの多い茶葉に育てます。
一般に、日光に当たる時間の長い煎茶や番茶はカテキンが多くなり、当たる時間の短い玉露や抹茶などの高級茶はテアニンを多く含みます。
一口飲んでホッとするような、美味しい旨みのあるお茶には、テアニンがしっかり含まれているのです。
1-2.高級なお茶ほど『テアニン』が多く含まれている!
数値で見ても、テアニンは高級なお茶ほど多く含まれることがわかっています。
その数値を示した下表をご覧ください。
このように、一般的に高価なお茶ほど、テアニンの含有量は多くなります。
ただ、実際に摂取できる量は茶葉の量やお茶の淹れ方(温度や蒸らし時間)によっても変わります。
市販のお茶(ペットボトルや缶)にも、テアニンを含んだものが販売されていて、100mlの飲用で約3mg〜10mgのテアニンが摂取できます。
また最近では、飲料だけでなく、テアニンを配合したチョコレートやクッキー、キャンディなども見かけるようになりました。
配合量は大きな効果が期待できるほど多くありませんが、忙しい日常生活で、息抜きをしたいときのおやつにおすすめです。
心身を癒す『テアニン』の3つの効果
テアニンには心身を癒してくれる3つの効果があります。
それぞれ解説していきましょう。
2-1.睡眠をサポートする効果
テアニンには、睡眠をサポートする効果があります。
これまでの研究で、テアニン摂取によって、中途覚醒をなくして睡眠を安定させ、スッキリした目覚めが得られることがわかっています。
こうした睡眠の質を向上させる作用は、テアニンが持つ、覚醒系の神経伝達物質の過剰分泌を調節する働きによるものです。
覚醒系の神経伝達物質の分泌を抑えることで、交感神経(※)の活動を抑えて中途覚醒を減少させ、眠りを深くするのです。
(※)交感神経:体の活動性を生みだす神経系。全身の器官をコントロールする自律神経には、交感神経と、体を休息させる神経系である副交感神経があり、両者のバランスが重要です。
中途覚醒がなくなり熟睡できることから、睡眠中の疲労回復がスムーズに進行し、起床時に爽快感が得られるようになります。
参照:J-STAGE|アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効果の検討
2-2.リラックス効果
テアニンには、リラックス効果があります。
テアニンを摂取すると、心身ともにリラックスした状態のときに出るα波(アルファ波)(※)が増加することがわかっています。
(※)アルファ波:α波は脳波の1つで、心身ともにリラックスした状態の時に発生します。心身の健康に良い影響を及ぼすといわれており、能力開発やストレス解消への効果も期待されています。
α波の出現頻度を調べることで、テアニンのリラックス効果を検証した実験によると、100mgのテアニンを摂取して約50分経過後にα波が増加したという結果が出ました。
不安を感じる傾向が低い人であれば、約50mgの摂取でα波が出現することもあります。
また別の調査では、200mgのテアニンを摂取した後40分経過した頃から、脳に活発にα波が発現することが確認されています。
テアニンの濃度が高いほどα波が強く現れることから、リラックス効果はテアニンの量に比例すると考えられます。
一杯のお茶を飲んだだけで緊張が解け、その後、体も心も何だか楽になることがないでしょうか。
それは多くの場合、テアニンのリラックス効果が作用しているからなのです。
参照:緑茶成分テアニンの向精神作用について|日本生物学的精神医学会誌
J-STAGE|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響|日本農芸化学会誌
2-3.ストレスを軽減して不安を解消する効果
テアニンには、ストレスを軽減して不安を解消する効果があります。
テアニンを摂ると、リラックスした状態の時に出るα波が増加するので、イライラや不安が治まり、心が落ち着くのです。
不安な気持ちになったとき、精神的に追い込まれたとき、指先が冷たくなった経験がないでしょうか。
それは、自律神経が乱れて、血液の循環が悪くなった状態です。
テアニンを飲んでアルファ波が増加すると、脳がリラックスして交感神経が抑えられ、自律神経が整います。
自律神経のバランスが整い副交感神経が優位になると、血管の収縮が鎮まって血行がよくなります。
冷水で負荷をかける実験において、(冷水をかけてられても)テアニンを飲むと手の温度が10分程度で元通りになるという結果が得られています。
個人差はありますが、テアニンを飲むと「手がポカポカしてくる」という報告も挙がっているのです。
こうしたことから、テアニンには、ストレスで尖った神経をなだめて、不安な気持ちを抑える効果があると考えられます。
参照:テアニンによるストレス軽減|2020 公益社団法人日本農芸化学会
『テアニン』は副作用の心配がほとんどない
「テアニンに良い効果があるのはわかったけど、副作用はないの?」
こうした懸念をお持ちの方がいるかもしれませんが、その心配はありません。
テアニンは、副作用のない安全性の高い成分として知られています。
それぞれ解説します。
3-1.安全性の高さも『テアニン』の魅力
これまで、テアニンの摂取による健康被害は特に報告されていません。
テアニンの「過剰摂取における安全性」を調査する試験でも、下記のように安全性が確認されました。
他に、テアニンを摂取することで昼間でも眠くなってしまうのでは?と心配する人がいますが、その心配もご無用です。
テアニンは睡眠導入成分ではないので、昼間に飲んで眠くなることはありません。
逆に、脳がリラックスした状態になり、ストレスが軽減して仕事の能率アップにつながります。
車の運転では、落ち着きと集中力が増して安全運転ができるでしょう。
副作用がないことは、テアニンの大きな魅力のひとつです。
3-2.薬との併用は注意が必要
副作用のないテアニンですが、薬との併用には注意が必要です。
たとえば、エナジードリンクや栄養剤など体を覚醒させるものと同時に摂取すると、テアニンの神経を落ち着かせる作用によって、効果を弱めてしまうことが考えられます。
また、血圧を下げる薬と併用した場合、テアニンには血圧を下げる作用があることから血圧が下がりすぎることがあります。
薬と併用してテアニンの摂取を希望するときは、必ず主治医と相談してから決めるようにしてください。
さらに、妊娠中や母乳授乳期の女性の使用、また幼児の使用については、今時点で安全性の確たるデータがありませんので、必要に応じ、薬剤師や医師の指示を仰いでから摂取した方が良いでしょう。
『テアニン』の摂取を特におすすめしたい人
ここまでのまとめとして、テアニンの摂取を特におすすめしたい人を挙げておきます。
不眠や寝つきの悪さに悩んでいても、病院で睡眠薬を処方してもらう程ではないし、できれば睡眠導入剤は使用したくない、という方は少なくないと思います。
そんな方には「テアニン」が最適です。
薬のような即効性はありませんが、ここまで説明したように、リラックス効果があり、睡眠の質が向上した調査結果も出ています。副作用の心配もありません。
また、仕事と休憩時間の切り替えが苦手だったり、休みたいときに上手く肩の力が抜けなかったり…といった方にも「テアニン」がおすすめです。
テアニンを摂取すると、脳のα波(アルファ波)が増加し、自然に緊張が解けてリラックスできます。
テアニンの正しい摂取方法
テアニンの効果を得たい!とお考えの方に向けて、適切な摂取方法を解説します。
順にみていきましょう。
5-1.『テアニン』を摂取するタイミング
テアニンは薬ではないので摂るタイミングに決まりはありませんが、おすすめしたいのは、効果を得たい時間帯の約40分前の摂取です。
これまでの研究で、摂取後40分でα波の出現が見られ、少なくとも2時間は持続することが確認されています。
従って、睡眠障害にお悩みの方は、ベッドに入る40分ほど前を目安にテアニンを摂取すると良いでしょう。
リラックス効果や、緊張、不安の緩和を求める場合も、このタイミングを図って摂るのが効果的です。
参照:L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響|L-テアニンのヒトの脳波に及ぼす影響
5-2.『テアニン』の1日の摂取量目安
テアニンの1日の摂取量の目安は200mgです。
これまでの研究で、200mgの摂取で、実感できる効果があらわれることが明らかになっています。
事例で紹介した他にも、閉経後の健康な中高年女性20名を対象にした研究で、テアニン200mg含有の食品を6日間、就寝前に摂取し、起床時の疲労感に関する項目が良好であるとの傾向が認められています。
ただ、200mgのテアニンというのは、実は簡単に摂れる量ではありません。
たとえば、一般的な茶葉で煎れた煎茶であれば、一杯80mlとして約20杯も飲む計算になります。
テアニンに過剰摂取の健康被害はないとはいえ、20杯となるとカフェインなど他の成分の摂り過ぎが気になってしまいます。
何より、いくら美味しいお茶でも毎日20杯は飲めませんよね。
そこでおすすめしたいのが、テアニン配合のサプリメントで補充する方法です。
「テアニン」サプリメントは数多く販売されていますが、どんな商品でも良いわけではありません。
良質な「テアニン」サプリメントの選び方について、次章でくわしく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
良質な『テアニン』サプリメントの選び方|2つのポイント
テアニンの効果を実感するためには、お茶をたくさん飲むよりも、サプリメントで補う方法がおすすめです。
ただ、テアニンの効果を得るためには、どんなサプリメントでも良いというわけではありません。
6章では、良質な『テアニン』サプリメントの選び方を伝授します。
よく読んで、ポイントを把握しておきましょう。
6-1.『テアニン』が200mg以上配合されているサプリメントを選ぶ
1つ目のポイントは、テアニンが200mg以上配合されているサプリメントを選ぶことです。
先述のように、テアニンは「200mg」を目安に摂取することで、効果を得やすくなります。
1日の摂取目安量でテアニンの含有量が200mgになっているか?を、しっかりチェックしましょう。
ちなみに、摂取量や注意点など必要な情報が記載されていないサプリメントは、信頼性の高い商品とはいえません。
テアニンの200mg以上の配合が明記されているサプリメントを選びましょう。
6-2.複合成分配合のサプリメントを選ぶ
2つ目のポイントは、テアニンの単一処方ではなく、複合成分配合の商品を選ぶことです。
複合成分配合サプリメントには、さまざまな原因にアプローチする複数の成分が含まれているため、多岐に渡る症状の改善が期待できます。
「テアニン」サプリメント摂取をお考え方の多くは、未病の状態で複雑な不調を抱えていることが多いです。
たとえば、睡眠障害をお持ちの方は、日常生活でストレスを抱えていることが多く、そのせいでイライラや不安感に悩まされていたりします。
仕事と休息のバランスが上手くとれずリラックスできない人の不調は、疲労感や冷え性、肩こり…と多岐に渡ります。
こうした複数の症状を、主たる1つの不調、1点の原因にアプローチする単一成分のサプリメントで解消していこうとすると、いくつもの種類を摂取しなければならなくなります。
「テアニン」のサプリメントを選ぶなら、今抱えている複数の不調にアプローチする、複合成分配合のサプリメントが良いでしょう。
まとめ
テアニンは、緑茶などのお茶に含まれるアミノ酸の一種で、旨みや甘味に関係している成分です。
摂取による主な効果は3つあります。
- 睡眠をサポートする効果
- リラックス効果
- ストレスを軽減して不安を解消する効果
特にテアニンの摂取をおすすめしたいのは次のような人です。
- 不眠に悩んでいる人
- 寝つきが良くない人や眠りが浅い人
- 仕事と休憩の切り替えが上手くできない人
- ストレスを感じている人
- 時として不安を感じてしまう人
安全性の高さも魅力の1つで、テアニンには副作用の心配がほとんどありません。
摂取量にも決まりはないので、記事を参考に効果的なサプリメントも利用していきましょう。