睡眠不足はお肌の大敵、とよく言われているように、私たちの肌のコンディションと睡眠には密接な関わりがあります。
では実際には、肌と睡眠にはどのような関係があり、美肌のためにはどんな睡眠が理想なのでしょうか?
そこで今回は、天神美容皮膚科 師井美樹クリニックの院長、皮膚科医の師井美樹先生にお話を伺いました。
目次
睡眠がとれないと肌の調子がいまいち…どうしてですか?
睡眠不足が続くと肌のハリがなくなり、化粧ノリが悪くなるという声をよく聞きます。
これは、睡眠不足によって肌の新陳代謝が悪くなることが原因です。
肌の新陳代謝が悪くなると、余分な角質が溜まり、くすみやザラつきの原因となります。
これが、肌のハリを失われてしまったり、化粧ノリを悪くしてしまう原因です。
その他、睡眠がきちんととれていないと、肌に様々な悪影響が出てきます。
例えば、肌がくすんだりツヤが失われたり、目の下のクマが目立ってきます。
また、ニキビが治りにくくなる、ニキビの跡がなかなか消えない(回復が遅い)といった影響も出てきてしまいます。
肌の回復と睡眠の関係・メカニズムについて教えて下さい
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類のパターンがあります。
レム睡眠の時、脳は覚醒に近い状態になっていて、夢を見ていることが多い睡眠です。
ノンレム睡眠はレム睡眠でない睡眠という意味。
浅い眠りの状態からぐっすり熟睡している状態まで、眠りの深さによって4段階に分けられます。
私たちが眠り始めると、すぐにノンレム睡眠が現れます。
入眠して最初の3時間くらいの間は、最も深いノンレム睡眠がまとまって現れる時間で、この時に「成長ホルモン」が分泌されます。
成長ホルモンは、美容や健康にとても大切な役割を担っているホルモンです。
皮膚の新陳代謝を促進し、ダメージからの回復を促したり、皮膚の厚みを増してなめらかでハリのある肌に回復させてくれます。
肌老化を食い止めるためには、どんな睡眠が理想ですか?
肌老化を食い止めるために重要なのは「成長ホルモン」です。
つまり、睡眠によって成長ホルモンをしっかり分泌させ、皮膚の新陳代謝を促進して肌を回復させることが大切です。
入眠してから最初の約3時間の間に、深いノンレム睡眠が現れます。
この深いノンレム睡眠は質の良い眠りで、これに同期して成長ホルモンが分泌されます。
したがって、この質の良い深い眠りをしっかりとることが、肌老化を食い止めるための理想の睡眠と言えます。
質の良い睡眠のためには、日頃からどういったことに気をつければ良いですか?
睡眠の質は、加齢とともに低下してしまいます。
年齢を重ねるとともに、深いノンレム睡眠の時間が減少したり、中途覚醒が増加してしまうのです。
したがって、美肌や健康のためにも、大人の女性は質の良い睡眠をとるために日頃からの注意が必要だということ。
具体的には、次の3つを心がけてみてください。
⒈日頃から規則正しい就寝時刻・起床時刻を心がけ、睡眠と覚醒のリズムをつくる
夜更かしなどにより就寝時刻・起床時刻が不規則になると、眠りが浅くなるなど、睡眠の質が低下してしまいます。
質の良い睡眠のためには、規則正しい就寝時刻・起床時刻を心がけ、生体リズムを整えることが重要です。
⒉朝起きて太陽の光を浴びる
光を浴びることで、自然な眠りを促す「メラトニン」というホルモンの分泌の日内変動が整い、生体リズムが整いやすくなります。
そのため、朝起きたらまず太陽の光を浴びて、メラトニンの分泌を促進させましょう。
曇りの日でも光はありますし、太陽光を浴びるのが難しい場合は、太陽光以外の光でも大丈夫です。
⒊食事や栄養状態の改善
食事や栄養状態も睡眠と深い関わりがある要素です。
例えば、糖質の過剰摂取や鉄不足は、睡眠障害を引き起こします。
また、糖質が過剰になると、就寝時に血糖値の変動が起こり、睡眠の途中で目覚めやすくなり、睡眠の質が低下する原因になってしまうのです。
特に、日本人女性の食生活は鉄不足、糖質過剰になってしまいがちだと言われています。
質の良い睡眠のためには、鉄を始めとするミネラルやビタミン、タンパク質をバランス良くしっかりと摂取し、糖質を過剰に摂取しないことが大切です。
まとめ
昔から「寝る子は育つ」と言いますが、美しい肌を保つためにも、睡眠によって成長ホルモンを分泌させることが大切なようですね。
また、加齢によって睡眠の質が低下してしまうとは驚きです。
質の良い睡眠のために師井先生がおすすめする、「睡眠と覚醒のリズムをつくる」「朝の太陽の光を浴びる」「食事や栄養状態の改善」は、どれも生活に取り入れやすいものばかり。
睡眠を味方につけ、美肌を手に入れましょう。