疲れているはずなのにどうしても寝付けない。
明日予定があるから早く寝たいのに眠れない。
そんなときは羊の数を数えるよりも、ヨガポーズを深めてみるのはいかがでしょうか。
体をリラックスさせ、熟睡へと導くポーズをヨガセラピストの三浦香織先生に教えていただきました。
睡眠の質に関わる自律神経とは?
ヨガの睡眠への効果は、自律神経の安定が一番に考えられます。
人の体を支配する自律神経は2種類あります。
深い睡眠をもたらすのは、リラックス状態を優位にさせる副交感神経。
逆に日中活動モードなのが、交感神経。
この交感神経が夜になっても働きすぎていると興奮状態となり、浅い眠りと不眠を招きやすくなります。
この自律神経の乱れを整えることで睡眠の質を高めることができます。
また、精神的なストレス、気になっていることなどがあると身体は緊張し、呼吸も眠りも浅くなりがちです。
この悩みや身体の緊張をとりのぞくことで、睡眠の質を向上させることができると考えられます。
自律神経は、意識せずとも働いており自分ではコントロールできないものですが、一つだけコントロールできるものがあります。
それは呼吸です。
呼吸は自分の意思でコントロールが可能なため、自律神経を整えるためには、この呼吸を使うと有効です。
特にリラックス効果をもたらす腹式呼吸がおすすめです。
ヨガは熟睡に効果あり!?
ヨガではこの呼吸を深めていきます。
呼吸を深めるためにもまずは身体をほぐします。
緊張した身体では血行も悪く冷えてしまうため、それが睡眠を妨げる原因に。
なにより呼吸も浅くなってしまいます。
まずは身体の緊張をほぐし、呼吸を深め、血流を促します。
体をほぐし無駄な緊張を取り、呼吸を深めていくという点で、ヨガは熟睡を促すことができると考えられます。
ヨガの呼吸によって自律神経が整い、熟睡できるのだと思います。
また、ヨガではその後、内観、集中、瞑想というプロセスを踏みますので、自分の内側へ意識を向け、呼吸を感じたり、今に意識を向け集中していきます。
その結果、精神的なストレスも緩和され、心への作用が大いに期待できることから、熟睡へ繋がることが多いのではないでしょうか。
実際に、お疲れモードの生徒さんは、ヨガの最後に眠ってしまうことも・・・。
簡単! 熟睡のためのヨガポーズ
背骨の両脇には自律神経が走っています。
ですので、背骨を動かすポーズがおすすめです。
比較的どなたでもできるものをご紹介いたします。
1、キャットポーズ(猫のポーズ)
①四つん這いになります。
②息を吸いながら、尾骨から背骨を順番に反らします。
③息を吐きながら、尾骨から背骨を順番に丸めます。
(②③頭は背骨の延長線上)
※背骨だけを動かしましょう(尾骨から頭の順番で背骨を動かします)。
※呼吸と合わせて心地よく、緩やかに繰り返しましょう。
『肩甲骨の開閉・骨盤の動きが同時になされ肩こり・腰痛対策や血行促進にもなります』
2、魚のポーズ
①足を伸ばして仰向けに寝ます。
②手の甲を上にして、お尻の下に置きます。
③息を吸いながら、肩甲骨を寄せ胸を開き上体を起こすようにし足元を見ます。
④両足を揃えて伸ばし、両腕で床を支えながら頭頂【百会:ひゃくえ(頭頂にあるつぼ)】を床につけ、自然呼吸を繰り返しましょう。
5~30秒程度を目安に行います。
※無理のない範囲で行いましょう。
『頭頂(百会)を刺激することで自律神経のバランスを整えます。気道や胸が開くことで呼吸が深まります。肩こり対策にも』
3、シャバーサナ(屍のポーズ)
最後、または寝る前や、布団の中で行うのがおすすめです。
①仰向けに寝ます。
・頭頂~両足の中心線を整えます
・手のひらは、上に向けるのがおすすめです。
肩関節、胸が開きやすく呼吸が深まります。又は内側に向けましょう。
・両腕は体側から少し離し、脱力(楽な位置へ)、両足も適度に開いてリラックスさせましょう。
※ここでは、腹式呼吸(完全呼吸)を心がけましょう。
【呼吸法】
まずは全部息を吐きます。
そして鼻から息を吸いましょう。
吸う呼吸は「交感神経」を優位にし、吐く呼吸は「副交感神経」を優位にします。
ですので、吐く方を長めに行いましょう。
(ただし無理せず、ゆったり吐く方に意識を向ける)
最低5分は行います。
そのまま熟睡が理想ですが、焦らず心地よさを、味わいましょう。
※慣れてきたら完全呼吸がおすすめ
吸うときは胸を膨らませ・吐くときはお腹を意識して吐き切ります。
どちらも慣れないうちは、腹部や胸に手を置いて身体の動きを感じてみましょう。
※より効果的に、よりリラックスしたい時は!
・イメージを付けて行うと効果的(イメージ瞑想)
自然の中で深呼吸をしているようなイメージを浮かべ、心地よさ、気持ちがいいな~と感じて呼吸が深まっていくのをただ眺めましょう。
・身体をリラックスさせるには、タオルで枕を作ったり、足やひざの下を高くする、腰の下にタオルを入れる、座布団等で上体に傾斜を作る、椅子の上に足を上げるなど、工夫をして身体をリラックスさせるのもおすすめです。
まとめ
熟睡するためには副交感神経が優位になることが必要です。
確かに、気持ちが高ぶっていてはリラックスもできないし、熟睡もできません。
副交感神経を優位にするためのヨガのポーズを三浦先生に3つ教えていただきましたが、どれも寝る前に布団の上で行えるものです。
寝る前の一つの習慣として行ってみてはいかがでしょうか。
ヨガポーズを使って副交感神経を優位にすることができればぐっすりと熟睡できるようになりそうです。