若々しく見える人と老けて見える人、その違いの一つが姿勢です。
背中を丸めた猫背の人より、背筋が伸びてシャキッとしている人の方が若々しい印象を与えます。
いつまでも若々しい見た目でいるために、姿勢の良さは大切です。
今回はボディメイクのスペシャリストでもあるピラティストレーナーの田中宏明先生に、姿勢の悪さの原因や、姿勢改善のエクササイズを教えていただきました。
姿勢が悪いと老けて見える!?
背すじが真っ直ぐ伸びている人、胸を張っている人、歩き方がきれいな人。
どんなイメージを持たれるでしょうか。
明るい人、元気な人、ハツラツとしている人…きっと、このような人をイメージされるかと思います。
逆に猫背で背中が丸まった姿勢の悪い人を見ると、落ち込んでいる人をイメージしてしまうのではないでしょうか。
極端な表現になりますが、姿勢が良くて落ち込んでいる人は、あまりいないと思います。
気分や性格も、姿勢に反映されることがあるということですね。
私たちは地球という重力環境のもとで、日々、生きています。
つまり、重力に対して自分の体を支えながら、生きているということです。
自分の体を支える力が弱くなったり、うまく発揮できなくなってくると、姿勢が悪くなります。
つまり姿勢の悪さは「自分の体を支える筋力の衰え」が大きな要因です。
筋力が衰えるわけですから、色々な部位が重力に従って下がってしまいます。
老けて見えるのは、このためなのです。
老け見え姿勢「猫背」が起こる原因
猫背が起こる理由は、筋骨格系だけでなく心理的な理由もあり色々と考えられるのですが、今回は運動の専門家として解説します。
一番大きな要因は、背骨が丸まることです。
胸椎(きょうつい)とは、背骨の骨のことで、胸の後ろにある骨を指します。
胸の後ろにある胸椎が、丸くなることで、猫背姿勢ができ上がります。
この胸椎は、背骨の中でも、一番数が多く、本来は動きの可動性も大きい部位です。
しかし、長時間のデスクワークで猫背姿勢が長時間続いたり、体を大きく反らしたり、捻ったりすることがない生活を送っていると、この胸椎が、どんどん硬くなり、背中が丸まっていきます。
今、この記事を読まれている姿勢は、猫背になっていませんか?
背中を丸めてみましょう。
そうすると、胸椎が丸まり(専門的には屈曲といいます)、肩甲骨が外側へ離れ、肩が内巻き気味になり、一般的な猫背に姿勢になるのが、ご理解頂けると思います。
この、胸椎が丸まってしまう理由は、脊柱起立筋という、背骨を真っ直ぐ立てておくための筋肉や、正しい姿勢を保つための、コアマッスル(専門的にはインナーユニットと表現する、腹横筋・多裂筋・横隔膜・骨盤底筋群を指します)が上手く働いていないことが原因です。
また、肩甲骨を寄せるための僧帽筋や菱形筋、骨盤を正しい位置に立たせておくための、大腰筋などの衰えも、猫背をつくる要因になっています。
一言で猫背と言っても、解消方法は様々です。
むやみに胸を張れば良いというわけではなく、原因が、背骨が原因の猫背なのか、骨盤からきている猫背なのか、そもそも猫背の症状なのかを、専門家にしっかり評価して貰うことも、大切です。
猫背改善のエクササイズ法
猫背に限らず、今の自分自身の姿勢は、これまでの生活習慣の積み重ねでできています。
ある日、突然猫背になる人はいません。
そのため、生活習慣の中で猫背の原因となるシチュエーションは何か、考えることが大切です。
仕事中の姿勢、歩いている時の姿勢、電車に乗っているときの姿勢、テレビを見ているときの姿勢、読書やスマホいじりをしているときの姿勢、運転中の姿勢は、どのような姿勢になっているでしょうか?
頭が肩よりも前に出ていませんか?
背中が丸まっていませんか?
腰が丸まった影響で、背中も丸まっていませんか?
エクササイズをどれだけ頑張っても、1日のほとんどの時間を猫背姿勢のまま過ごしていたら、猫背が改善されることはありません。
もちろん、エクササイズによって、猫背になりにくい体は作ることができます!
予防のためには筋力をつけるエクササイズが効率的ですので、ご紹介させていただきます。
1.キャット
四つ這いで、背中を丸める、反らすを繰り返します。
(注意点)腰や首がつまったり、痛みや不快な感覚がない範囲で動きましょう
2.スワン
うつ伏せの状態から、胸をゆっくり反らせます
(注意点)腰が反りすぎないように、お腹とお尻に少し力を入れながら行いましょう。
3.リバースプランク
体育すわり姿勢から、手のひらを体の後ろにおき、胸を開きます。
背筋を伸ばし、胸を張るように意識しましょう。
(注意点)肩や手首に痛みがある場合は、無理しないようにしましょう。
猫背以外にも気を付けたい「骨盤後傾姿勢」
猫背以外にも気を付けたい老けて見える代表的な姿勢は、骨盤後傾姿勢(フラットバックやスウェイバック姿勢)です。
腰が丸まることでお尻が垂れ下がり、先ほど説明したとおり、骨盤からくる猫背を引き起こすこともあります。
立位姿勢から、腰を少し丸めて、だらんと力を抜き、だらしない立ち方をしてみて下さい。
下腹部が前に突き出て、お尻が下がり、膝は曲がり、少しガニ股気味になり、良いことありませんよね。
このスウェイバック姿勢の原因は、全体的な筋力低下なのですが、生活習慣でいうと、和式トイレが減っていることや、家庭での食事も、ダイニングテーブルなどのように、洋式スタイルになり、しゃがみこむことがなくなっていることも、大きな要因です。
立ち姿勢から、膝を曲げてみてください。
ほとんどの人が、できると思います。
では、次に、股関節を曲げてみて下さい。
いかがでしょうか?
「えっ?股関節を曲げる?」となった人が、多いと思います。
本来なら、人の体は、意識をせずに、股関節がしっかり曲がるような仕組みなのですが、生活様式の変化、日常の姿勢の影響で、“正しく股関節を曲げることができない”人が増えています。
正しく股関節を曲げると、若々しい姿勢を保つために必要な、大腰筋や大臀筋などの筋力が働きますが、多く人がこれらの筋肉を上手に使えていません。
そこで、おすすめなのが、「坐骨すわりからのおじぎ動作」です。
イスに座るときに、腰を丸めて、お尻の骨(坐骨)ではなく、お尻の筋肉で座っている人が多いと思います。
これは、スウェイバック姿勢を招く要因ですから、きちんと、坐骨で座る習慣をつけましょう。
※長時間、背すじを伸ばしたままにすると、腰が疲れてきますので、無理しないようにしましょう。
坐骨で上手に座れたら、上半身の姿勢を保った状態で、おじぎをするように、上半身を前傾させていきましょう。
この時に、お腹と太ももが近づいていくのを感じられたらGoodです。
これが、“正しく股関節を曲げる”ということです。
この動作では、コアマッスルの一つである「大腰筋」が使われます。
若々しい姿勢を保つスペシャルエクササイズ
最後に、スペシャルなエクササイズをご紹介します。
立ったままで、股関節を曲げ伸ばししながら、しゃがむ・立ち上がるを繰り返す「デッドリフト」という種目です。
この種目が習得できると、ヒップは上がり、猫背も解消され、若々しい姿勢を手に入れることができます。
一般的に広く知られているスクワットとの違いは、股関節を曲げる意識を持ち、しゃがむというより、おじぎをするイメージで動きます。
上手に股関節を曲げることができると、お尻やももの裏側のハムストリングスに、よく効いているのが、感じられるでしょう。
実際に行う場合は、自体重か軽い負荷から始めて、怪我の無いように行って下さい。
正しく筋肉を使えているかどうかは初心者ではなかなか難しいため、パーソナルトレーナーやフィットネスインストラクターに教わることも一つの方法です。
まとめ
姿勢が悪いと老けて見えるばかりか、肩こりや腰痛の原因にもなります。
できる限り改善していきたいものですね。
田中先生がおっしゃったように姿勢は一日では変わりません。
改善するためには日々の積み重ねが必要です。
姿勢を正すことを意識する、筋肉を鍛える。
この2点を頭に置いて、若々しい見た目を手に入れましょう。