「更年期」と「更年期症状」「更年期障害」について
40代に入ってから不調を感じるようになると「更年期かも」「更年期だわ」と口にすることが多くなりますが、更年期に入ったからと言って、誰もが“更年期”になるとは限りません。
「閉経を挟んで前後5年間の10年間」を更年期と呼んでいますが、「日本産科婦人科学会」のHPには、
この期間に現れるさまざまな症状の中で、他の病気に伴わないものを更年期症状と呼び、その中でも症状が重く日常生活に支障を来すものを更年期障害と呼びます
と記述されています。
つまり、「更年期」に入ったからと言って、誰もに「更年期症状」があるとは限りませんし、出たとしてもその出方や症状はさまざま。
さらにそれが日常生活に支障をきたすほどの「障害」であるかどうかもまた、人それぞれだということです。
「更年期」という単語をネット検索すると、多くの情報を得ることができます。
そこに表示される不調の例と自分の症状をあてはめてみて、「更年期を迎えた」と思う方も多いでしょう。
実はこの更年期、年齢だけの問題ではなく環境的要因・心理的要因も大きく影響するのです。
子どもの反抗期、親の介護…更年期には色々なことが重なる
40代中盤ともなると、子どもの反抗期や自立の時期、さらに親の介護が始まる可能性のある年代でもあります。
また、夫婦間の問題や、職場の人間関係、ストレスなど社会的・環境的要因も影響しますし、もともと几帳面、真面目な性格など心理的・性格的要因が複雑に絡み合います。
子どもの反抗期と自分の更年期が重なると、両者一歩も引かずの大バトルという話も聞きます。
家族第一に一生懸命尽くしてきたのに、「1日中家にいてどうせ暇なんだから当たり前」などと言われたり、一生懸命中学受験のサポートをしていたら「勉強しろしろって言うけど、お母さんは、大学出て専業主婦じゃない」と言われた人もおり、このタイミングに更年期の心身の不安定さが重なると心が折れることも理解できます。
更年期で自分の体も辛いのに、親の介護も相当きついと多くの方がおっしゃいます。
一生懸命、世話をしても子どもと同じように、家族だからこその甘えからか「ありがとう」の一言がもらえなかったり、介護にかかる時間が増え、それまでずっと続けてきた仕事を辞めざるを得ず、本人がうつ状態になるケースもあります。
他にも親が亡くなるなど、さまざまな人生の出来事が起こる年齢であることには間違いありません。
更年期だから精神的に辛いのか、今置かれている環境が辛いから心身に影響が出ているのか、判断をするのはなかなか難しいと思います。
それは、本当に更年期の症状ですか?
環境的な要因や性格的な要因も大きいと先述しましたが、更年期のせいだと思っていたら、実は他の病気のサインだったというケースもあります。
更年期と間違いやすい病気の例
・口が乾く→糖尿病など
女性ホルモンには、肌の潤いを含め、水分保持の役割がありますが、ホルモンが減少することによって、全身に「乾燥」の症状が及びます。
喉の渇き、ドライアイ、お肌の乾燥、髪のパサツキ、さらには、膣や尿道も乾燥します。
対して、糖尿病の場合は、尿量が増えることで全身が水分不足の状態になり、ドライマウスのような症状が出るそうです。
・めまい、頭痛、ほてり、耳鳴り、肩こり、のぼせ→高血圧
女性ホルモンには、血液中の悪玉コレステロールの増加を抑制し、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールを増やすという働きがあります。
しかし、閉経を境に、女性ホルモンの分泌が減少し、血中の悪玉コレステロールの濃度が高くなり、善玉コレステロールは減ることから動脈硬化が進んでしまいます。
動脈硬化が進むと血圧が高くなり、放置すると脳梗塞や心筋梗塞のリスクもが高まります。
その他にも
・耳鳴り、めまい、吐き気を伴うめまい→メニエール病
・自律神経の乱れ→甲状腺機能障害など
・不正出血、月経過多→子宮筋腫、子宮内膜症など
などがあります。
病院で受診したところ、隠れていた病気が見つかった方は、大勢います。
更年期の症状を自覚しつつも、日常生活にそこまで支障をきたすわけでもないし、時期が過ぎれば軽くなるらしいし、「年だから仕方がないなどと放置しないようにしましょう。
症状が長引く、症状が重い、体調不良が続くときは、婦人科や女性外来で相談してください。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-081.html