「亜鉛は髪の毛や肌に効果があるって本当?」
「亜鉛を飲むとどのような効果があるの?」
健康管理や美容に効果があると耳にすることが多い「亜鉛」。いざ亜鉛を摂取しようか考えたときに、実際にはどのような効果があるのか気になりますよね。
亜鉛には、主に下記の7つの効果があると言われています。
上記のように、髪の毛や肌、味覚の維持や健康維持などさまざまな効果があると考えられています。
亜鉛は過不足により体調不良を引き起こす可能性があるため、効果を正しく理解して適切に摂取することが欠かせません。
そこでこの記事では、亜鉛の7つの効果や亜鉛の効果を高める摂取方法を解説していきます。
この記事を最後まで読めば亜鉛の効果を理解でき、効果的に亜鉛を摂取できるようになります。
亜鉛は幅広い悩みにアプローチできるミネラルなので、ぜひ参考にしてみてください。
亜鉛の7つの効果
亜鉛は、人間の体に必要不可欠なミネラルの1つです。亜鉛は、主に下記の7つの効果があると言われています。
美容や健康にいいと言われている亜鉛には具体的にどのような効果があるのか、1つずつチェックしてみましょう。
1-1.髪の毛や皮膚を健康的に保つ
亜鉛には、髪の毛や皮膚を健康に保つ効果があります。
- 皮膚が生まれ変わるサイクルを健康的に保つ
- 髪の生成に必要なタンパク質の合成をサポートする
髪の毛や皮膚、爪の主成分となるタンパク質は、複数のアミノ酸が結合して構成しています。
亜鉛が不足するとタンパク質の構造が維持できずタンパク質自体が不足するため、肌や爪、髪の毛のトラブルを招くことが考えられます。
また、亜鉛は新陳代謝を調整する酵素にも含まれており、肌のターンオーバーを促進する働きがあります。
ターンオーバーが滞ると古い細胞やメラニンが蓄積されて、シミや肌荒れの原因となる可能性があります。
髪の毛や皮膚の健康を保つためには、亜鉛不足を起こさないことが大切です。
参考:橋本彩子・神戸大朋「亜鉛吸収を向上させる食品因子の探索」
1-2.免疫力の低下を抑える
亜鉛は、体内の免疫システムを正常に作用させるために必要な栄養素です。
亜鉛が不足すると、体外から侵入してきたウイルスや細菌を防御する免疫力が低下します。
実際に亜鉛の摂取量が著しく不足している発展途上国では、免疫力の低下により肺炎や感染症にかかるリスクが高くなると言われています。
そのため、亜鉛を摂取すると免疫力を維持でき、病気や感染症などの予防につながると考えられています。
参考:日本衛生学会論文「ここまで分かった亜鉛の免疫システムにおける役割 」
厚生労働省「海外の情報:亜鉛」
1-3.味覚を保つ
亜鉛には食事をしたときに「おいしい」「甘い」などと感じる味覚を保つ効果があります。
人間は舌の表面にある「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官で味を感じています。
味蕾細胞は約10日間で生まれ変わるのですが、この代謝には亜鉛が必要です。
亜鉛欠乏食でラットを飼育した実験では、味蕾細胞が減少したという結果があります。
また、味蕾細胞が減少しているラットにポラプレジンク(亜鉛補充療法に使用する亜鉛を含む薬品)を投与したところ、投与2週目から味蕾の細胞増殖が見られたとのことです。
この実験結果からも、亜鉛は味蕾の代謝と深い関係があることが分かります。
参考:ゼリア新薬工業株式会社中央研究所「亜鉛欠乏ラット舌の形態学的変化に対する亜鉛製剤ポラプレジンクの効果」
1-4.ビタミンAの合成・代謝のサポート
亜鉛は、ビタミンAの合成や代謝をサポートする役割があります。
ビタミンAには、以下のような効果が期待できます。
- ドライアイや肌の乾燥を防ぐ
- 胃腸の粘膜を保護する
- 免疫機能を維持する
亜鉛は、ビタミンAを必要とする器官に届けて効果を発揮するためのサポート役を担っています。
亜鉛を摂取することでビタミンAの代謝を促し、ドライアイや肌の乾燥を防ぐ効果や胃腸の粘膜を保護する効果などが期待できます。
1-5.生殖機能の維持
亜鉛は生殖機能の維持にも必要な栄養素で、主に下記のようなホルモンに関わっています。
男性ホルモンの「テストステロン」の合成や分泌には亜鉛が必要で、亜鉛が不足するとテストステロンの生産量が低下します。
男性女性問わず卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌にも亜鉛が必要となるので、亜鉛を摂取することでホルモンの働きを高めることができると考えられています。
1-6.うつ病の予防が期待できる
亜鉛を補填すると、うつ病の改善が期待できると考えられています。
実際に血清の亜鉛値が低い場合には「イライラしやすくなった」「眠れなくなった」などの意見があったそうです。
また、亜鉛を含むミネラルを摂取している人は、摂取していない人に比べて抗うつ症状が少ない傾向があるとの実験結果もあります。
精神疾患や記憶障害などと亜鉛とのつながりはまだまだ研究中ではありますが、亜鉛が疾患を改善する糸口になるかもしれません。
参考:国立国際医療研究センター「抑うつ症状とミネラル摂取との関係―断面調査の結果から―」
平澤 精一、岸村 康代 ,『長生きの切り札! 亜鉛チャージ健康法』,アスコム,2019年,P29
1-7.骨粗しょう症の予防が期待できる
亜鉛は、骨の形成や骨代謝に亜鉛が関与していると考えられています。
「骨粗鬆症と亜鉛」という論文では、骨代謝と亜鉛には密接な関係があることが示唆されています。
亜鉛を摂取すると骨代謝を促し骨のバランスを維持できるため、骨粗しょう症の予防に活用できると考えられています。
日本では50代以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症になると言われているため、未然に防ぐために亜鉛の摂取が必要だと言えるでしょう。
参考:ながさき内科・リウマチ科病院 内分泌・骨代謝科 藤山 薫「骨粗鬆症と亜鉛」
亜鉛の効果を感じるための適切な摂取量とは
亜鉛の効果が分かったところで、気になるのは亜鉛を適切に摂取する方法です。
ここでは、年代別の適切な亜鉛の摂取量と亜鉛を多く含む食材をご紹介します。
亜鉛の効果を最大限に感じるためにも、どのような食材を選択し、どれくらい摂取すればいいのか確認してみてください。
2-1.【年代別】亜鉛の摂取量
亜鉛の摂取推奨量は成人男性が10~11mg/日、成人女性が8mg/日となっています。
厚生労働省が定める年代・性別ごとの亜鉛の適切な摂取量は下記のとおりです。
※目安量:推定平均必要量や推奨量を算定する科学的根拠が得られない場合の1日の摂取量
※目安量:推定平均必要量や推奨量を算定する科学的根拠が得られない場合の1日の摂取量
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」
2-2.亜鉛が多く含まれる食べ物一覧
亜鉛を効果的に摂取するには、どのような食べ物に多く含まれているのか知っておくことが大切です。
亜鉛は野菜や果物にはあまり含まれておらず、魚介類や肉類に多く含まれています。
とくに、牡蠣やレバーは亜鉛が多く含まれている代表的な食材です。
下記は、亜鉛を多く含む食材と大人1食分の目安量を一覧にしたものです。
例えば、牡蠣は1粒当たり2.8mg相当の亜鉛が含まれています。
3粒食べると8.4mg相当の亜鉛を取れるため、成人女性1日分の適切な摂取量を満たすことができます。
しかし、牡蠣や豚レバーなど亜鉛を多く含む食材を日常的に食べることは、
- コストがかかる
- 献立のレパートリーが少ない
という面からハードルが高いです。
「3-2.亜鉛不足が起こりやすい3つの理由」でも詳しく解説していますが、日常的に食べる野菜や和食中心の献立は亜鉛摂取量が少なくなりがちです。
そこで、効率よく亜鉛を摂取するためには、亜鉛のサプリメントを活用することもおすすめです。
適量を守りサプリメントを飲むことで、1日に必要な亜鉛の量を補うことができます。
亜鉛が不足したときに起こりやすい症状は?
亜鉛が不足すると、髪の毛や肌、味覚などに症状が現れることがあります。
ここでは、亜鉛が不足すると起こりやすい症状をご紹介します。
併せて、亜鉛が不足に陥りやすい理由にも触れるので、亜鉛が不足していないかセルフチェックをしてみてください。
3-1.亜鉛が不足した場合の症状とは
「1.亜鉛の7つの効果」でも触れましたが、亜鉛が不足すると下記のような症状が起こることが考えられます。
亜鉛は骨や皮膚、脳や肝臓などに分布しているため、不足すると幅広い機能に影響を及ぼす可能性があります。
ただし、亜鉛の摂取推奨量は、成人男性が10~11mg/日、成人女性が8mg/日と比較的少量なので、現在の日本では深刻な亜鉛不足が起こるとは考えにくいです。
厚生労働省が公表している亜鉛が深刻に不足する事例としては疾患があり亜鉛の吸収、補給ができない場合や授乳により一時的に栄養不足になってしまう場合のみとなっています。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」
3-2.亜鉛不足が起こりやすい3つの理由
現代の日本では深刻な亜鉛不足は起こりにくいことは確かですが、軽度な亜鉛不足に陥っている人は意外と多いです。
その理由としては、次の3つが考えられます。
①和食には亜鉛を多く含む食材が少ない
亜鉛は野菜や果物にはあまり含まれていないため、和食を中心とした食事を続けると亜鉛が不足しやすくなります。
とくに和食の中心となる白菜や大根などの野菜には、亜鉛はあまり含まれていません。
栄養素は亜鉛だけでなく他にも多数あるので、栄養バランスを考えると和食がもたらす健康面でのメリットは大きいです。
そのため、亜鉛が比較的多く含まれる納豆や豆腐を使う、魚介類を献立に使用する、おやつで亜鉛を補給するなど亜鉛不足にならない工夫を取り入れるといいでしょう。
②菜食中心の食事は亜鉛が不足しやすい
レタスやキャベツなどサラダに使う野菜には、亜鉛はあまり含まれていません。
そのため、葉野菜食中心の食事にすると亜鉛が不足しやすくなります。
この場合も和食の献立と同様に、亜鉛を多く含む食材を意識して組み合わせることが大切です。
例えば、サラダのトッピングにアーモンドや魚介類を使用すると、サラダをベースにした食事をしても亜鉛の摂取量を増やせます。
③アルコールの摂取量が多い
「毎晩ビールを飲む」「週末はアルコールの摂取量が多い」など、日常的にアルコールを飲む習慣がある人は亜鉛が不足しやすいです。
体内に入ったアルコールは、分解酵素により無害な物質に分解されます。
実は、分解酵素を活性化させるには、亜鉛が必要となるのです。
アルコールを多く摂取すると分解酵素の活性化に亜鉛を使わなければならないため、体内の亜鉛が不足しやすくなります。
積極的に亜鉛をとるべき人
亜鉛は健康な体を維持するために欠かせない「必須微量ミネラル」の1つです。
ここまでお伝えしてきたように亜鉛は骨や皮膚、脳などの機能維持に関与しているため、年齢や性別問わず誰もが適切な量を摂取する必要があります。
そのうえで、亜鉛が不足しないように心がけたほうがいいケースとしては次の3つが考えられます。
なぜ、亜鉛を意識的に摂取することが向いているのかチェックしてみてください。
4-1若々しい髪の毛や肌を維持したい人
皮膚と髪の毛には全身の亜鉛の約8%が存在しているため、亜鉛が不足したときに変化を感じやすいです。
一方で、継続して適切な量の亜鉛を摂取できていれば、肌のターンオーバーの最適化やコシのある髪の毛の維持が期待できます。
という場合には、意識して亜鉛を摂取してみるといいでしょう。
4-2.仕事や家事をなかなか休めない人
「1-2.免疫力の低下を抑える」でも解説したように、亜鉛は免疫担当細胞の機能や分化に関わっていると言われています。
つまり、適切な量の亜鉛を摂取することで、自己免疫力を高められると考えられるでしょう。
という場合には、適切な量の亜鉛を摂取することを心がけてみてください。
ただし、免疫力を高める栄養素は亜鉛だけではありません。
ビタミンやタンパク質など他の栄養素も必要なので、バランスよく摂取することも念頭に置いておきましょう。
4-3.妊活中の人
亜鉛は「セックスミネラル」と呼ばれており、「1-5.生殖機能の維持」でも解説したように女性ホルモンや男性ホルモンと深い関係があります。
とくに男性ホルモンであるテストステロンの合成に関与しているので、不足すると精子の減少や活動量の低下を招くことが考えられます。
また、亜鉛は黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンの働きを高めるので、女性にとっては子宮の状態を整える効果も期待できます。
という場合にも、亜鉛が不足しないよう意識するといいでしょう。
ただし、亜鉛を摂取すれば必ず妊活の効果が得られるわけではないことは、留意してください。
亜鉛を効果的に摂取するための3つのポイント
最後に、亜鉛を効果的に摂取するための3つのポイントをご紹介します。
せっかく亜鉛を摂取しても、摂取の方法を誤っていると体調不良や吸収率の低下につながる可能性があります。
亜鉛の効果を高めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
5-1.クエン酸や動物性タンパク質と一緒に摂取をする
亜鉛の食品からの吸収率は約30%で、年齢とともに低下すると言われています。
亜鉛の吸収率を高めるには、次の栄養素と一緒に摂取するといいでしょう。
クエン酸は亜鉛などのミネラルを包み込み、吸収を助ける作用があります。
ビタミンCはクエン酸の働きをサポートするため、亜鉛とビタミンC、クエン酸をセットで摂取するといいでしょう。
また、亜鉛は体内でタンパク質と一緒に存在する特徴があります。
そのため、動物性タンパク質と一緒に摂取すると亜鉛の吸収率が向上すると言われています。
5-2.過剰摂取を避ける
亜鉛の摂取推奨量は成人男性が10~11mg/日、成人女性が8mg/日ですが、亜鉛の1日当たりの上限摂取量は下記のように定められています。
※18歳以下は設定なし
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」
30代の男性は45mg/日、女性は35mg/日となっており、過剰摂取となることはまずはありません。
例えば、30代の男性が亜鉛を多く含む牡蠣を食べる場合には、16個以上食べないと過剰摂取に該当しないため想定しにくいです。
万が一、亜鉛を過剰摂取すると銅や鉄の吸収が阻害されて、貧血や銅欠乏につながる可能性があります。
また、食欲不振や吐き気、頭痛や痙攣などを引き起こすことも考えられます。
過剰摂取となる可能性としては、亜鉛のサプリメントの飲み方を誤っている場合くらいでしょう。
亜鉛のサプリメントを摂取する場合は過剰摂取とならないように、1日の適切な摂取量を守るようにしてください。
5-3.亜鉛の吸収を妨げる栄養素に注意する
亜鉛の摂取を妨げる代表的な栄養素には、フィチン酸とリン酸、カフェインがあります。
玄米や小麦に含まれるフィチン酸は亜鉛などのミネラルと結合し、体内への吸収を妨げる可能性があります。
また、インスタント食品に多く含まれるリン酸も、亜鉛の吸収を妨げることがあります。
例えば、亜鉛を含む食材と玄米、ソーセージなどをセットにすると、亜鉛の吸収率が低下することが考えられます。
これらの栄養素と亜鉛を一緒に摂取してしまうと亜鉛の吸収率が低下するため、献立を検討するときには避けるようにしましょう。
また、亜鉛をサプリメントで摂取する場合は、服用している薬やサプリメントによっては飲み合わせに注意が必要です。
亜鉛の効果に関するQ&A
最後に、亜鉛の効果に関するよくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
6-1.亜鉛には髪の毛を伸ばす効果がありますか?
6-2.亜鉛にニキビを治す効果はありますか?
6-3.亜鉛を摂取するとどれくらいで効果を実感できますか?
6-4.亜鉛をたくさん摂取すると効果を高めることはできますか?
まとめ
いかがでしたか?亜鉛の効果が具体的に把握でき、積極的に亜鉛を摂取するべきか判断できたかと思います。
最後にこの記事の内容を振り返ってみましょう。
亜鉛は年齢や性別問わず、健康な体の維持に欠かせない栄養素です。
亜鉛の効果を理解したうえで、適切な量を摂取できるように食事やサプリメントを選択してみてください。