女性のからだにも筋肉は欠かせません。
女性はおおむね筋肉の量が少なく、また体重が増えることを恐れ、筋肉がつくことを嫌がる人が多いかもしれません。
でも、筋肉のほとんどないからだでは美しく見えませんし、体を動かすのにも支障をきたしてしまいます。
姿勢を支える、からだを動かす、といった本来の目的だけではなく女性のからだが美しく見えるために必要な筋肉とはどんなものなのか、またどうやって付ければ良いのかを、ボディメイクのスペシャリストでもあるピラティストレーナーの田中宏明先生にお伺いしました。
姿勢よく、すらっと見せるために必要な背中の筋肉
女性に猫背の人が多いのは筋肉の量が少なく、背筋を支えることができないことが原因の一つと言われています。
姿勢がよいとスラリとした印象になるため、背筋を伸ばすための筋肉はぜひつけておきたいものです。
背筋を伸ばすために必要な筋肉は、その中の通り“脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)“といいます。
脊柱起立筋自体の働きですが、専門的には脊柱の伸展(反らせること)・側屈(横に倒すこと)・ 回旋(ひねること)に関わっています。
脊柱起立筋は総称で、正式には棘筋(きょくきん)・腸肋筋(ちょうろくきん)・最長筋(さいちょうきん)と3つの筋肉の集合体です。
さらに、3つの筋肉は深層と浅層に分かれていて、いくつもの筋肉が、脊柱(背骨)周辺に存在しているので、脊柱起立筋群と呼ばれているのです。
脊柱起立筋群はどのようなトレーニングで付けることができるのでしょうか。
脊柱起立筋群をトレーニングするためには、スワンという、背骨を正しく反らせるピラティスエクササイズや、デッドリフト・スクワットなどの筋力トレーニングが効果的です。
スワン
うつ伏せの状態から、胸をゆっくり反らせます。
腰が反りすぎないように、お腹とお尻に少し力を入れながら行いましょう。
参考
デッドリフトのやり方
綺麗な姿勢を目指して-背中-お尻編
コルセットのように筋肉でポッコリお腹をカバー
痩せている人でも、お腹だけがポッコリ出てしまっている人がいます。
筋肉不足が原因かもしれません。
ポッコリお腹にならないために、必要なお腹の筋肉は、腹横筋(ふくおうきん)と内外腹斜筋(ないがいふくしゃきん)、腹直筋(ふくちょくきん)です。
腹横筋は、お腹の筋肉の中でも、一番深層(内臓に近いところ)にある筋肉で、よくインナーマッスルと言われます。
しかし、腹横筋だけでは、ポッコリお腹を防ぐためには筋力的に足りないので、腹斜筋や腹直筋などのアウターマッスルもトレーニングできると良いでしょう。
腹横筋は、コルセットのようにお腹をベルトのように包み、強制的に息を吐いたり、腹圧を高め内臓を保護する役割をします。
この腹横筋を含めたインナーマッスル(腹横筋以外には、横隔膜・骨盤底筋群・多裂筋)が弱くなってくると、姿勢が悪くなり、内臓が下がり、お腹が出てしまう体型につながります。
腹斜筋は、肋骨から反対側の骨盤にかけて、斜めのラインでお腹を覆います。
体をひねる動きや、腰や背中を丸めるような動作でも働きます。
そして、腹直筋は、みぞおちから恥骨までのラインで、腰が過度に反らないよう支えてくれていたり、主に腰や背中を丸めるような動作で働きます。
ではこれらの筋肉はどうやって付ければ良いのでしょうか。
腹横筋は、
正しい姿勢を保持する
腹式呼吸で息を吐ききる(息を吐きながらお腹をできるだけ凹ませる)
などの動作で普段の生活の中で鍛えることができます。
背筋を伸ばした姿勢で息をゆっくり吐きながらお腹を凹ませて、お腹に力が入る感覚を感じましょう。
腹斜筋や腹直筋は、一般的に”上体起こし”と言われるような腹筋運動を行うことで鍛えることができますが、運動不足の人や体の硬い人がいきなり行うと首や腰を痛めるケースが多いです。
そこで、イスに座ったまま背すじを伸ばしお腹をへこませたまま肋骨をひねり、腹斜筋を使うシーティッドツイストという、ピラティスエクササイズをご紹介します。
シーティッドツイストのやり方
イス又は床に座り、背すじを伸ばします。
お腹をへこませたままゆっくりと上半身をひねり、脇腹の筋肉が使われているのを感じましょう。
腕は「前にならえ」か胸の前で組みましょう。
シーティッドツイストに慣れてきた、物足りないという方は、オブリークツイストにもチャレンジしてみて下さい。
参考
オブリークツイスト
くびれを創りたいなら
バストアップにも!?デコルテラインをきれいに見せる筋肉
その他、女性のからだを美しく見せるための筋肉はあげればきりがないのですが、今回はデコルテラインを美しく見える筋肉を紹介いたします。
背筋が丸まってくると、バストは下がり、肩が内巻きになり、デコルテラインがキレイに見えません。
鎖骨周辺の血流が悪くなるので、顔のむくみや二の腕のたるみにもつながっていきます。
背筋を伸ばす”脊柱起立筋(せいきちゅうきりつきん)”に加えて、肩甲骨を寄せる”僧帽筋(そうぼうきん)の中部繊維”や”菱形筋(りょうけいきん)”を鍛えると良いでしょう。
トレーニングはダブルレッグキックがとてもオススメです。
うつ伏せの姿勢から、背骨をゆっくりと反らしながら、肩甲骨を寄せるように胸を開きます。
この際、肩がすくまないように体の後ろで組んだ両手は、斜め後ろに引き下げることを意識しましょう。
本来、ダブルレッグキックはうつ伏せで行うものですが、イスに座った状態からでも同様の動きで脊柱を伸ばし・肩甲骨を寄せることを意識しましょう。
ダブルレッグキック
うつ伏せの姿勢から、息を吐きながらゆっくりと上半身を持ち上げます。
この際、腰だけで頑張るのではなく、胸の後ろも反らせて、肩甲骨を寄せるように、両腕をお尻のポケットの方向へ引き下げます。
腰が痛い方は、無理しないようにしましょう。
デスクワークが長く続いた場合には、下記のように座ったまま、胸を張るストレッチをする習慣をつけましょう。
まとめ
女優やモデルの方のトレーニングも行っているという田中先生に、女性のからだを美しく見せる筋肉について教えていただきました。
どのトレーニングも初心者でも始めやすい簡単なものばかり。
ジムなどに行かなくても自宅で始められることもポイントです。
筋肉は使っていないと衰えるばかりですが、トレーニングを行えばその分確実に筋肉はついていきます。
からだの内側の筋肉を鍛えることで、美しいからだを手に入れましょう。