【医師監修】ホットフラッシュはいつまで続く?少しでも和らげる方法を婦人科医が解説

2024. 07. 25
監修:松村 圭子 プロフィールを見る >

日本産科婦人科学会専門医
成城松村クリニック院長
若い世代の月経トラブルから更年期障害まで、女性のカラダをトータルサポートしている。

(https://www.seijo-keikoclub.com/)

「ホットフラッシュっていつまで続くんだろう……。この辛さから早く解放されたい」
「ひどいホットフラッシュが続いているけれど、少しでも軽くする方法はないんだろうか?」

あなたは今、長引くホットフラッシュの症状に悩まされ、不安に思っていませんか?

結論から申し上げると、ホットフラッシュが続く期間は、平均5年程度と考えておいていいでしょう。

しかし人によっては10年前後長引く方もいるため、あなたがどちらのケースにあてはまるのかは実際その時になってみないとわかりません。しかし、長引きそうだからといってがっかりすることはありません。

なぜなら、ホットフラッシュの症状は、漢方薬やサプリメントを摂取し体全体を整えてあげることで、ある程度軽減することが可能だからです。

毎日起きてから眠るまで、いつ起こるかわからないホットフラッシュにびくびくしながら過ごすよりも、このような解決策を正しく知り、普段から対策しておけば気持ちも体も楽に過ごせますよね。

そこで今回この記事では、ホットフラッシュがいつまで続くのか、その目安期間について説明した上で、辛い症状を少しでも和らげるために普段からできることや、摂取したい成分などをご紹介していきます。

この記事でわかること
  • ホットフラッシュが続く期間
  • ホットフラッシュが起こる原因
  • 女性の辛い更年期障害を根本から改善する方法
  • ホットフラッシュを上手に乗り切る鍵は「エクオール」
  • ホットフラッシュを改善するための普段からできる対策

この記事をお読みいただければ、ホットフラッシュが軽くなるおおよその時期を知ることができ、さらに症状が出ている間を快適に乗り切るための実践的な対策を試していただくことができます。

ぜひ最後までお読み下さいね!

ホットフラッシュはいつまで続く?

2024年4月に全国の40歳以上の女性407名に対し、更年期の症状、影響に関するアンケート調査を実施しました。

設問
あなたは「更年期」と思われる症状、不調やカラダやこころの変化を経験したことがありますか?

40代女性の58%が更年期症状の過去経験がある、もしくは今、経験中と回答しました。

 

設問
あなたの体験した(または体験している)更年期症状をすべて教えてください。

1位疲れやすい(47.7%)
2位発汗(44.9%)
3位ほてり、肩こり(41.2%)

2位の発汗、3位のほてりはホットフラッシュを指しています。

更年期に多くの女性がホットフラッシュを経験し、辛い体験をしたことがわかります。

 

実際にホットフラッシュを体験された方からは下記のコメントもいただきました。

ホットフラッシュが辛くて大変でした。
仕事にも集中できなくて、婦人科に行き、薬を処方してもらいましたが、よくならず何度か薬を変えてもらいましたが、薬では症状が治まりませんでした。
薬を飲むのをやめて、友人の勧めで首周りを冷やすように努めたら、幾分か症状は楽になりました。そののち、ホットフラッシュはいつまでも続かないと考えを変えて過ごしていたら、いつの間にか楽になりました。
突然首から上だけ汗がダラダラ流れて驚くことがありましたが、いつの間にか治っていたので、あせらずにやり過ごしてください。
不安を想像するだけで全身の毛穴が開くような汗をかいた。
参考: 更年期障害(症状)、私はこうやって乗り切った!調査アンケートからみえた更年期の傾向と対策​​

更年期障害を抱えている女性にとって、ホットフラッシュがいつまで続くのかについては、誰もが気になる点でしょう。

ホットフラッシュはほとんどの場合、5年程度で終わります。
しかし人によっては、それよりも長引く場合があり、正確にいつの時期までに終わるとははっきり言えないのが正直なところです。

こうした点を踏まえてこの章では、ホットフラッシュが終わる目安の時期とその理由、そしてどういう方がホットフラッシュが長引きやすいのかについて、詳しくご紹介していきます。

ご自分の現在の状態と照らし合わせて、ぜひ参考にしてみて下さいね。

1-1.ホットフラッシュは約5年で落ち着く

成城松村クリニック院長 松村圭子先生によると、通常であればホットフラッシュは、50歳頃から症状が出始めて、4~5年ぐらいで終わる方が多いと説明しています。つまり、50代後半までには落ち着いてきます

ホットフラッシュが起こる「更年期」は、閉経を挟んだ前後各5年間にわたります。

松村先生によれば、日本人女性の閉経年齢の平均は約50歳となっているため、45歳~55歳頃までの約10年間を「更年期」と捉えた場合、50代後半頃には、辛い症状が軽減されていくケースが多いのです。

しかし、人によっては閉経が50代後半になる場合もあったり、更年期症状が長引く場合もあります。

実際、約3割の女性はホットフラッシュが10年程度続くケースもあるため、もしかすると、あなたがそちらに当てはまることもあり得ます。

そのため、60歳を過ぎてもホットフラッシュのような症状に悩まされるケースがあることも知っておくといいでしょう。

あまりにも症状がひどい場合や、いつまでも症状が長引く場合は、別の病気が隠れていることもありますので、決して放置せず、病院で診てもらうことをお勧めします。

参考までに、ホットフラッシュの主な症状を下記にまとめておきます。

【ホットフラッシュの主な症状】

  • 顔や胸が突然熱くなる
  • 体がほてったりのぼせたりする

(症状が進むと)

  • 動悸がする
  • 汗ばむ
  • 寒気、震えが出てくる

上記のようなホットフラッシュの症状は、一日に数回急に表れるため、症状に対応できず滅入ってしまう女性も少なくありません。

特に、症状によってはどんどん深刻化し、体や顔が熱いだけではなく、ひどく汗ばんだり、動悸がしたり、寒気や震えを引き起こすこともあります。

そうならないためにも、閉経前後にホットフラッシュが出始めたら、症状を少しでも軽くして、日常生活に支障がないようにしたいものですよね。

詳しい対策方法については、「3.女性の辛い更年期を本質的に改善するには体全体を整えてあげる必要がある」「5.ホットフラッシュをしっかり改善するために普段からできる3つのこと」でご紹介していますので、ぜひ合わせてお読み下さいね。

1-2.ホットフラッシュが長引きやすい人とは

ホットフラッシュが長引いてしまうのは、どういう人なのでしょうか?

残念ながら、人によって状況がそれぞれ異なるため明快な答えは出ませんが、1点お伝えできるのは、女性ホルモン「エストロゲン」が減少していくことに、ご自身の体がいつまでも慣れないでいると、ホットフラッシュを長期間抱えることになるでしょう。

実際に、一般社団法人女性の健康とメノポーズ協会では、以下のように指摘しています。

50歳前後で閉経した人でも、その後HRTなどをしない限り女性ホルモンは減少した状態で過ごしていることになります。これに体が慣れてきて体調が安定する人も多い一方で、人によって体が慣れずにいつまでもつらさが続くこともあります。また、いったんは納まったようにみえた症状が、環境の変化で出てくることもあります。

※HRTとはホルモン補充療法のこと

つまり先ほど触れたように、年々減っていく「エストロゲン」に体も順応していければいいのですが、人によってはなかなか順応できず、ホットフラッシュを長引かせてしまうのです。

さらに、同協会では次のようにも述べています。

当協会の電話相談にも、「子どもが結婚して家を出てから」「長年にわたる親の介護が終わって肩の荷が下りたと思ったら」「仕事をやめて家にいることが多くなって」と、家庭環境の変化があって不調が再燃したという声も寄せられています。エストロゲンのない状態は免疫機能も低下しています。これまでなら耐えられたことにもついていけなくなり、何らかの症状が出るということも考えられます。

上記によれば、お子さんの自立やご両親の介護など、日常環境に大きな変化があった場合、心的負担がかかり、更年期症状が再発したと指摘しています。

そのため、少しでも症状を長引かせたくないならば、できるだけ心身ともに穏やかに過ごせるよう、日々工夫することが重要です。

ホットフラッシュの原因

更年期に入った女性には、なぜホットフラッシュが起こるのでしょうか?

ホットフラッシュを含む「更年期障害」が起こる原因として、公益社団法人 日本産科婦人科学会では以下のように説明しています。

更年期障害の主な原因は女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下していくことですが、その上に加齢などの身体的因子、成育歴や性格などの心理的因子、職場や家庭における人間関係などの社会的因子が複合的に関与することで発症すると考えられています。

つまり、「更年期症状」が起こる最大の要因は、加齢とともに女性ホルモンである「エストロゲン」が減少していくことが挙げられます。その上で、個人の性格や生活環境、人間関係などが大きく影響してくると述べています。

その中でも「エストロゲン」が果たす役割として、成城松村クリニックの松村先生は以下の様に述べています。

  • のぼせを和らげる
  • 情緒不安定を和らげる
  • 不眠症を和らげる
  • しわ、肌質、髪質を改善し若々しさを与える

このように、女性が若々しく健康でいられるために助けとなる「エストロゲン」ですが、更年期を迎えてどんどん減少してしまうと、ホットフラッシュを始めとした数々の「更年期症状」を引き起こす原因になってしまいます。

特にホットフラッシュは、体や顔の急なほてりや発汗などが特徴ですが、これは「エストロゲン」が減ることで、脳の視床下部に影響が出てしまい、自律神経を乱されてしまうことが大きな原因となっています。

その理由として、脳の視床下部は、血圧・心拍・体温などを調節する自律神経をつかさどる上で大きな役割を果たしており、「エストロゲン」の減少で刺激を受けてしまうと、自律神経がうまく調節できなくなってしまうからです。

その結果、急激な体温の変化や発汗、ほてりやのぼせなど、「ホットフラッシュ」の代表的な症状が起こるようになります。

ただし、このような辛い症状は一生涯続くものではありませんので、ご安心下さい。

前述したようにこうした「ホットフラッシュ」の症状は、更年期が終わりに近付き、体内で「エストロゲン」が減少した状態に体が慣れれば慣れるほど軽くなっていきます。

そのため、更年期の期間さえ体調の変化に気を付けて過ごせれば、その後はホットフラッシュに悩まされることはほとんどないでしょう。

女性の辛い更年期を本質的に改善するには体全体を整えてあげる必要がある

ホットフラッシュを始めとする辛い「更年期障害」を乗り切るには、なによりも体の根本からしっかり整えてあげることが大切です。

その方法として考えられるのは、次の3つです。

  • 漢方薬
  • ホルモン補充療法(HRT)
  • サプリメント

さっそく詳しく見ていきましょう。

3-1.更年期障害を改善するための3つの解決策

更年期障害を和らげる解決策として、漢方薬やサプリメントなどを服用したり、ホルモン補充療法(HRT)のように、直接「エストロゲン」を補うことで辛い症状を軽くしていくやり方があります。

多くの漢方薬やホルモン補充療法(HRT)であれば、更年期症状の治療として保険診療内で婦人科での診察を受けられますが、サプリメントは保険が適用されませんので、こうした観点からもどの方法を利用していくのか、検討する必要があります。

こうした悩みを解決するためにも、この章では「漢方薬」「ホルモン補充療法(HRT)」「サプリメント」について、メリット&デメリットをご紹介していきます。

まずは、更年期症状を治療するための3つの解決策を正しく理解した上で、ご自分にとって負担なく続けられる方法を選んでみて下さいね。

3-1-1.漢方薬

更年期障害を緩和するのに、有効なものとして漢方薬が挙げられます。

一般的に漢方薬は、副作用が少ないため体への負担が少なく服用しやすい点がメリットと言えるでしょう。ただし、それぞれの体質によっては漢方薬自体が合わない方もいるため、その点を理解しておくことも大切です。

ホットフラッシュの改善方法別に、以下のような漢方薬がお勧めです。

【腎に潤いを補い、体の不要な熱を取るもの】

  • 瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)
  • 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
  • 亀鹿仙(きろくせん)

【気の乱れを抑えるもの】

  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
  • 抑肝散(よくかんさん)

【冷えや血行を改善するもの】

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 海馬補腎丸(かいまほじんがん)
  • 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
  • 婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
  • 芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)

「ホットフラッシュ」と一言で言っても、それぞれの状態にきちんとアプローチできるよう、漢方薬の種類も細かく分かれていますね。

まずはご自分の現在の状態を正しく知り、何が不足しているのかをきちんと把握した上で、漢方薬の選択をする必要があります。服用の際は、専門家のアドバイスを仰ぐようにしましょう。

スライドすると全体をみることができます。

【漢方薬のメリット】

  • 副作用が少ないため
    体への負担が少ない
  • 病院で処方される場合、
    保険適用となる
【漢方薬のデメリット】

  • 体質によって合うか
    合わないかが分かれる
  • 効果が出るまで
    時間がかかることがある

3-1-2.ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)も更年期障害の症状を軽減する対策として、よく用いられる方法です。

公益社団法人 日本産科婦人科学会によると、ホルモン補充療法(HRT)とは、減少傾向にある「エストロゲン」を体内に補充する方法です。

ただし、「エストロゲン」だけを増やしてしまうと、子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスクを大きくしてしまうため、子宮がある方に対しては「黄体ホルモン」も一緒に補充していきます。

一方、手術で子宮を摘出した方には、「エストロゲン」のみを補充するようにします。

補充方法としては、以下の方法があります。

  • 貼り薬
  • 飲み薬
  • 塗り薬

長く続けていく際にどの方法が有効なのかを、きちんと医師と話し合って治療をしていきましょう。

スライドすると全体をみることができます。

【ホルモン補充療法のメリット】

  • 補充方法が複数あり
    自分に合った方法が選択できる
    (事前検査などにより決める)
  • エストロゲンが増えることにより、
    骨・血管の老化を抑え、
    肌・髪にハリが出る
  • 保険適用となる
【ホルモン補充療法のデメリット】

  • 乳がん発症のリスクが若干ある
  • 血栓ができやすい場合がある
  • がんになった方や治療中の方など
    人によっては療法を受けられない
    こともある
  • 病院に足を運ぶ必要がある

参考:yoi

3-1-3.サプリメント

サプリメントも更年期障害対策の1つとして、人気のある方法です。

サプリメントは、毎日決められた量を手軽に服用するだけで、体に不足している成分を補うことができます。

成城松村クリニック院長 松村圭子先生は、更年期障害を和らげるために摂取しておきたいサプリメントとして、

  • エクオール

を挙げています。

理由は、「エクオール」は加齢とともに減少していくエストロゲンと似たような働きをしてくれるため、定期的に摂取することで、女性らしさを保ち、健康を維持してくれるからです。

そのため、漢方薬やホルモン補充療法が難しいと感じた方は、ぜひサプリメントの摂取を検討することをお勧めします。

スライドすると全体をみることができます。

【サプリメントのメリット】

  • いつでも手軽に摂取できる
  • 医師の処方箋がなくても入手できる
【サプリメントのデメリット】

  • 保険適用ができない
  • 飲み忘れてしまう場合がある

3-2.特にお勧めなのが漢方やサプリメントで健康の土台を作ること

前項で触れた、更年期障害の3つの対策のうち、特にお勧めしたいものが

  • 漢方薬
  • サプリメント

です。以下その理由を2つ解説します。

3-2-1.体の根本から改善してくれる

サプリメントや漢方薬は、健康的な体の土台をサポートしてくれるものです。そのため、更年期障害に耐性のある体作りを目指すことができます。

3-2-2.少ない負担で体質改善できる

漢方薬やサプリメントの服用は、副作用がほとんどなく(人にもよります)、体への負担も少なくて安心です。

例えば、ホルモン補充療法(HRT)を見てみると、副作用として以下のようなものが考えられます。

  • 乳がん発症のリスクが若干ある
  • 血栓ができやすい場合がある

そのため、服薬することへの抵抗があるかもしれませんが、その点、サプリメントや漢方薬は副作用が少ないため、安心して活用していただくことができます。

3-3.東洋医学における女性の不調の考え方

ホットフラッシュの辛さを軽くするためには、実は東洋医学の観点から症状を捉えることも、とても役立ちます

なぜなら、ホットフラッシュなどの更年期症状は、「エストロゲン」の減少だけでなく、環境の変化による心的ストレスなど様々な要因が絡み合っているからです。

東洋医学では、こうした複雑な原因による不調には、局所的なアプローチを施して解決するのではなく、不調を起こしている体全体を整えることで回復することを目指しています。

もう少し詳しくお伝えしましょう。

更年期症状を始めとした「体の不調」は、東洋医学では「体全体のバランスが崩れている」と考えています。東洋医学では、すべての物は「木」「火」「土」「金」「水」の5つで構成されると考えられ(五行論)、女性の不調もここに当てはめることができます。

この5つはお互いが影響しあい成り立っているため、一つがバランスを崩すと、全体に不調が響いてしまうのです。そのため、5つすべての要素が健やかに保てるよう、私たちはケアしていく必要があります。

【木】女性特有の不調
更年期・生理不順・血の滞り

【火】心の安定
不眠・ストレス・不安

【土】体の巡り
冷え・むくみ・消化不良

【金】免疫力
免疫力低下・アレルギー・呼吸器不調

【水】身体機能
肉体疲労・機能低下・肌老化

こうした東洋医学の観点も追加しながら、自分の更年期症状に向き合っていければ、スムーズに元の調子に戻っていけるでしょう。

ぜひ参考にしてみて下さいね。

いつまで続くかわからないホットフラッシュを上手に乗り切るためには

ホットフラッシュは平均5年程度で終わるとお伝えしましたが、この5年を乗り切るのがなかなかできず、お困りの方も多いことでしょう。

一番重要なのはホットフラッシュの症状を緩和しながら、いかにホットフラッシュと上手に折り合いをつけて生活していくかが重要になってきます。

そんな中、普段から手軽に摂取できて、更年期障害にも良い影響を与える成分としてお勧めしたいのが、「エクオール」です。

前章の「3-1-3.サプリメント」でも一度触れましたが、この章では、「エクオール」の持つ影響力と、摂取した方がいい理由について改めて見ていくことにしましょう。

4-1.「エクオール」とは

「エクオール」とは、大豆に含まれる成分「イソフラボン」が、私たちの腸内細菌によって代謝されることで生み出される成分です。

「エクオール」は女性ホルモン「エストロゲン」と大変良く似た構造を持つため、「エストロゲン」と同じような働きをしてくれます

例えば、

  • のぼせを和らげる
  • 情緒不安定を和らげる
  • 不眠症を和らげる
  • しわ、肌質、髪質を改善し若々しさを与える

といった、女性らしさや健康を保つ働きが期待できます。

4-2.サプリメントで「エクオール」を摂取すべき理由

PHYSICIANS COMMITTEE FOR RESPONSIBLE MEDICINEによると、「大豆を含む植物性食品中心の食事を12週間続けた女性は、60%近くが中等度から重度のホットフラッシュがなくなり、軽度なものまで含めるとホットフラッシュは全体に79%減少した」(翻訳は「一般社団法人 日本生活習慣病予防協会」より引用)としています。

さらに、この結果を受けて一般社団法人 日本生活習慣病予防協会では、ホットフラッシュの軽減に大きく関わっているのは、大豆に含まれるイソフラボンが作り出した「エクオール」だと述べています。

この事実を見る限り、「エクオール」がホットフラッシュに与える好影響が、いかに大きいのかがおわかりいただけるのではないでしょうか。

現在日本人女性で、「エクオール」を体内で作り出せるのは約2人に1人と言われており、それ以外の方は自ら「エクオール」を作り出すことができないと言われています。

しかし、一概にそうとは言えません。人間は本来、体内でエクオールを作る力を持っています

  • 腸内環境は食習慣によって変化するため、ある時点でエクオールを作る腸内細菌を持っていなくても、その後エクオールを作れる体質になる可能性がある
  • エクオールを作れる人の割合についての調査報告のほとんどがアグリコン型大豆イソフラボンではなく、グリコシド型大豆イソフラボンを用いたものである

といったような理由があるからです。

現に、大規模ヒト臨床試験において、アグリコン型大豆イソフラボンを摂取すると、血液中のエクオール濃度が用量に比例して現れることが分かっています

出典:AglyMax®の摂取による体内でのエクオール代謝において優位性を確認|ニチモウバイオテックス株式会社

4-3.「エクオール」はアグリコン型大豆イソフラボンから摂取しよう

それでは「エクオール」を摂取するには、どのようなサプリメントを選べばいいのでしょうか?
答は、「アグリコン型大豆イソフラボン」を含むサプリメントがお勧めです。

「大豆イソフラボンサプリ」には、「アグリコン型」「グリコシド型」という2種類があります。
両者の違いを以下にまとめました。

【2種類の大豆イソフラボン】
タイプ 違い 分子量 吸収力
アグリコン型 分子の周りに糖が付いていない 小さい
  • 吸収率は「グリコシド型」の3倍以上
  • 吸収にかかる時間は約2時間
グリコシド型 分子の周りに糖が付いている 大きい
  • 吸収率は摂取量の約2割程度に留まる
  • 吸収にかかる時間は6時間〜8時間

・アグリコン型とは?
⇒発酵した大豆食品(味噌・醤油など)に多く含まれる。イソフラボンの周りに糖がついておらず、体内に吸収されやすい。分子量が小さい。

・グリコシド型とは?
⇒イソフラボンに糖がついており、体内への吸収がされにくい。分子量が大きい。

このように見ると、体内への吸収率や吸収にかかる時間の短さを比べてみても、断然「アグリコン型」が優れていることがわかりますね

「大豆イソフラボンサプリ」を選ぶ際は、必ず「アグリコン型」を選択するよう注意しておきましょう。

ホットフラッシュをしっかり改善するために普段からできる3つのこと

漢方やサプリメントによって、ホットフラッシュを体の根本から改善しようとすることはとても大切ですが、だからといって日常生活が乱れていると、その改善も大幅に遅れてしまいます。

ホットフラッシュは、自律神経が乱れることで引き起されるため、少しでも早く改善したい場合は、基本的な生活スタイルを見直すところから始めてみましょう。

成城松村クリニック院長 松村圭子先生は、具体的に以下3つのことを注意してみるよう勧めています。

  • 睡眠の質を上げる
  • ストレスを溜めないよう軽い運動を取り入れる
  • 大豆食品を多めに摂るよう意識する

詳しく見ていきましょう。

5-1.睡眠の質を上げる

睡眠の質を上げることが何よりも大切です。
なぜなら、睡眠不足が続いたり、すぐに目が覚めてしまうような質の悪い睡眠を繰り返していては、疲労がなかなか回復されず、どんどん蓄積されていってしまうからです。

疲労が抜けないと、精神面にもマイナスが生じてしまいます。
そうした事態を避けるためにも、なるべく早寝早起きを実践してみたり、夜ぐっすり眠れない方は、医師に相談して睡眠薬を処方してもらい、深く眠れるよう試してみるのもいいかもしれません。

5-2.ストレスを溜めないよう軽い運動を取り入れる

ストレスを溜めないよう軽い運動を始めてみましょう。

運動をお勧めする理由は、2つあります。

  • 心地よく体を疲れさせることで、眠りにつきやすくなる
  • 体内の血行を良くすることで自律神経のバランスが整う

こうしたW効果を得ることができれば、夜の寝つきも良くなり、血の巡りが良くなることで体も温まりやすくなり、乱れた自律神経も落ち着いてきます。

気負いなく続けられるような軽いものでいいので、ぜひ日常生活に運動習慣を取り入れることをお勧めします。

5-3.大豆食品を多めに摂るよう意識する

大豆食品を多めに摂るよう意識しましょう。

なぜなら、大豆食品に含まれるイソフラボンは、腸内細菌によって「エクオール」という成分に変わります。

この「エクオール」は、更年期でどんどん減少していく女性ホルモン「エストロゲン」とよく似た働き方をしてくれるので、美容や健康を維持するためにも、ぜひ積極的に口にするようにしたいですね。

ただし、「エクオール」を自分の腸内で作ることが難しい方は、手軽なサプリメントで摂取するのもいいでしょう。

まとめ

今回は「ホットフラッシュがいつまで続くのか」というポイントに注目し、ホットフラッシュの継続期間、原因、根本的な対策などをご紹介してきました。

一般的にホットフラッシュは、約5年間続きます。しかし人によっては、それ以上の期間長引く方もいらっしゃるため、この間の辛い症状を少しでも和らげるための対策が必要になってきます。

今回の記事では、こうした「ホットフラッシュ」を始めとする更年期障害の対策方法として以下のようにお伝えしました。

【辛い更年期症状を解決するための3つの方法】

  • 漢方薬
  • ホルモン補充療法(HRT)
  • サプリメント

【普段からできる3つの事】

  • 睡眠の質を上げる
  • ストレスを溜めないよう軽い運動を取り入れる
  • 大豆食品を多めに摂るよう意識する

特に漢方薬とサプリメントは、整った体の土台作りにはお勧めの方法です。
また、日常からできることを毎日少しずつでも積み重ねることが、辛い更年期障害を軽くしていく近道になります。

ぜひ今日から取り入れてみて下さいね。

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