最終更新日 2022年12月15日
監修:漢方養生指導士・健康管理士・サプリメントアドバイザー 望月 みどり
ユーグレナ(ミドリムシ)には、他の生物にはない特有成分「パラミロン」があります。 パラミロンはユーグレナ属(ミドリムシ)だけが産出する多糖で、ミドリムシの細胞内だけにしか存在しない固有の成分です。 顕微鏡で見ると、粒のような形に見えますが、鎖状のβ-グルカンがねじりあって、繊維状になったものが集まっています。 β-グルカンとはアガリスクや霊芝などのキノコ類や酵母類、海藻類に多く含まれている高分子結合の多糖類で健康維持に効果があるとしてサプリメントの素材としてだけでなく、医療の分野などさまざまな機関でも注目を集めている成分です。世の中にいろいろ成分が存在する中、昨今、ミドリムシが注目されたのはパラミロンを持っているからと言っても過言はありません。
その形状は三重のらせん構造になっており、また多数の穴が空いている多孔質でその構造が多数の細かい穴が空いているため、吸着能力に優れています。 パラミロンは胃や腸で消化されにくいという特徴を持っています。 食物繊維といえばゴボウやキャベツなどの野菜を思い浮かべる人が多いかと思いますが、野菜の食物繊維はハチの巣のような構造なので、スポンジのように水を吸って腸から体の外に排出されます。しかしパラミロンは難溶性の(消化しにくい)食物繊維で水に溶けにくく、腸を通るときに粒子形態が変化しないので、腸に刺激を与えて活性化させているのではないかと考えられ、研究が続けられています。
パラミロンはミドリムシの栄養の貯蔵エネルギーなのです。(エネルギーの貯蔵タンクのようなものです。) パラミロンは複数あるミドリムシの種類すべてに存在しますが、その個数、形状、粒子の均一性は種によって特徴があり、ユーグレナの培養条件(温度、培地成分、光の有無等)によっても大きく影響を受けます。 通常ミドリムシの体内には20%~30パーセント前後の割合でパラミロンが存在しています。増殖の時期や培養条件、技術によって50%を超える場合もあります。 今や健康食品や様々な食品にも活用されていますが、難溶性の食物繊維であるパラミロンを加工して保湿性の高い化粧品まで誕生しています。 人間のみならず、犬の健康のためにドッグフードにも使用されるなどパラミロンを含むミドリムシは様々なシーンで活用が進んでいます。 また、ユーグレナは光合成によって二酸化炭素を利用して成長するときに、油脂を作り出します。これをバイオ燃料の原料として使用することができるのです。 そのため、ユーグレナは地球の食糧問題の解決、二酸化炭素削減による地球温暖化抑制の切り札として期待が寄せられ、また、医薬品への利用も検討されている成分で世界中でさまざまな研究が進められているのです。
パラミロンは食物繊維の仲間です。しかし、非常に珍しい物質であり、機能性の高い物質として期待が寄せられとても注目されています。 一般に、食物繊維は水に溶けにくい「不溶性食物繊維」と、水に溶ける「水溶性食物繊維」に分けられ、それぞれ特徴に違いを持っています。 不溶性食物繊維とは
水を吸着し膨らむためスッキリを応援する食物繊維です。 水溶性食物繊維とは
などが特徴です。 パラミロンは、難溶性の食物繊維ですが、本来ならば水溶性物質しかもっていない働きを併せ持っています。
このような特徴を持った食物繊維は他にはありません。
パラミロンは難溶性なので粒子の形状が変化しないため、刺激を与えながら通過します。しかし、水溶性の食物繊維と同じように水分をため込んでくれるので、便をスムーズに運ぶサポートもしてくれます。 そのため、毎日の頑固な悩みにも嬉しい成分として期待されています。 そして、水溶性食物繊維であるわかめやこんにゃくなどの海藻類や果物と同じ効果も期待できます。 さらに、善玉菌の増殖を手助けします。 つまり、パラミロンとは不溶性の食物繊維と水溶性食物繊維の両方の機能を共に持った機能性の高い物質なのです。このような特徴を持った食物繊維は他にはありません。
腸粘膜を刺激され蠕動運動が活発になると、その刺激が脳に伝わり体内代謝を活性化します。そうして腸内環境改善にすることによって、免疫機能が高まり病気に対する抵抗性が強化され、健康体質へと導かれるのです。
パラミロンはばい菌の形ととてもよく似ています。そのため、パラミロンが腸内で免疫細胞に出会うと異物として勘違いし免疫細胞は戦う準備を始めます。 そこに最近やウイルスなど体に害を与える異物がやってくると、パラミロンのおかげで戦う準備は万端に整えられているため、体が守られやすくなるのです。
【参照情報】ユーグレナヘルスケアラボより https://www.euglab.jp/lp/meneki/
不思議な物質パラミロン。 その特殊な構造や性質から、不要物を吸い取る掃除機のようですね。 食料危機で栄養不足に悩む発展途上国の問題がある一方、先進国では肥満、生活習慣病で悩む方が多くいます。 栄養成分を豊富に摂取できることに加えて、食物繊維のような働きもできるミドリムシが世界で注目されるのはこのためなのです。 ぜひ「必要な栄養素を摂りながら、不要なものを出す」という循環をつくってみてください。