ミドリムシの特徴

最終更新日 2022年12月15日

監修:漢方養生指導士・健康管理士・サプリメントアドバイザー
 望月 みどり

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栄養が豊富な食材として、また新たな栄養・美容のサプリメントなどとして話題のミドリムシ。一体どういう生き物なのでしょうか?
「ムシ」と名前に付いているため、虫の仲間のように思えますが、実はそうではありません。顕微鏡で見えるくらいの小さな微生物で、ワカメや昆布と同じ藻類に属しています。ここでは、性質や特徴、そしてその可能性ついて紹介いたします。

動物と植物2つの性質を併せ持つ

野菜と肉の画像

ミドリムシは体長0.02~0.5mm程度の小さな微生物です。
学名はユーグレナ。ラテン語でユーは「美しい」という意味を、グレナは「眼」を意味しています。5億年前に地球で誕生したと考えられています。
実に変わった微生物で、植物と動物の両方の性質を持った珍しい生物なのです。植物と同じく光合成ができ、動物と同じく動き回ることができます。
学術的にも、植物と動物のどちらにも分類することができていません。その議論は未だに続いています。
動物と植物の両方の性質を持っていることから、動物性と植物性の両方の栄養素を豊富に併せ持つという最大の特徴があります。

細胞壁が無い

ミドリムシは食品としての有用性が高い生物です。
その理由として、細胞壁が無いということが挙げられます。
通常の植物性食品、いわゆる普段私たちが食べている野菜には細胞壁があります。正しく調理をしてしっかり噛んで食べたとしても、細胞壁があるために栄養吸収率は約40%前後となってしまいます。しかし、牛や豚などの動物性食品は植物性食品と違い、細胞壁がないため、栄養吸収率は97~100%となり、ほぼ吸収されます。細胞壁の無いミドリムシの栄養吸収率は93.1%となっており、植物の持つ栄養素を持つに関わらず、動物性食品並みの吸収率なのです。

大量培養成功

石垣島の風景

1950年代から大量培養には多くの人々が挑んできました。日本でも、ニューサンシャイン計画という国家プロジェクトが立ち上がり、1980年代から研究が推進されてきました。しかし大量培養は達成されることなく、計画自体が2000年に終了してしまいます。
そんな中、世界で初めて大量培養に成功したのは日本のベンチャー企業、株式会社ユーグレナです。東京大学の研究から始まったその取り組みは会社を立ち上げるまでに至りました。当初は他の微生物が混入しないような、クリーンな環境での培養を試みていましたが、何度やっても絶滅します。その後、環境が整い少しずつ培養できるようにはなりましたが、とても僅かな量しか培養できませんでした。そこで発想の大転換をします。それは、他の生物が侵入できないようにするのではなく、ミドリムシしか生きられない環境を作るということに着眼を変えるというものだったのです。研究を重ねた結果、株式会社ユーグレナはミドリムシしか生きられない培養液を作ることにより2005年ついに世界初の大量培養に成功します。それまで月に耳かき1杯程度しか培養できていなかったのが、実に66kgも一度に回収することができ、遂に様々な製品化の道が開けました。

地球温暖化防止に

焼却炉の煙突

健康食品や化粧品など、健康・美容の面で注目されていますが、地球温暖化対策や環境面でも新たな可能性として注目されることになりました。
植物としての性質がありますので、光合成をします。二酸化炭素を吸収し酸素を生成するのです。普通の植物は、二酸化炭素濃度が通常の300倍になると枯れてしまいますが、ミドリムシは二酸化炭素耐性が非常に強いのです。
実証実験で、火力発電所の煙突から出る直前の排ガスを直接吸収させたところ、大気中の約400倍である二酸化炭素濃度15%という高濃度の中でも光合成が可能であったと報告されています。
人間を含め多くの生物が生きられない環境においても通常の20倍の速度で増殖したそうです。このように二酸化炭素を取り込んで酸素に変換する光合成能力も高いため、地球温暖化防止を担う素材としても注目を集めているのです。

バイオ燃料としての可能性

ミドリムシは光合成の際に代謝する油脂成分が、燃料として利用することができることがわかっています。いわゆる石油など既存のエネルギーに代わる代替エネルギーバイオ燃料として利用できる可能性があるということです。
さらに、油脂成分がジェット燃料に適した構造を持つこともわかり、次世代ジェット燃料として有望視されています。地球のこれからを考える上でも、未来の子供たちに美しい地球を残していく上でも、その可能性に夢が広がります。

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監修:漢方養生指導士・健康管理士・サプリメントアドバイザー 望月 みどり

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