最終更新日 2022年12月15日
監修:漢方養生指導士・健康管理士・サプリメントアドバイザー 望月 みどり
「ファスティング」などのダイエット、健康維持、美容サポート食品として知られる「酵素」と、テレビや雑誌などでスーパーフードとして取り上げられる「ユーグレナ」。 酵素ドリンクに「酵素」は入っていないって聞くけど本当? どちらも栄養豊富みたいだけど、どう選べばいいの? そんな疑問にお答えします。
ユーグレナは、「ミドリムシ」という和名でも知られている、藻の一種です。 5億年以上前に誕生したと言われるユーグレナは、自ら栄養を作り出す植物でありながら、鞭毛を使って動き回ることができる珍しい生き物です。植物と動物の両方の性質をあわせ持っているのです。 2005年に沖縄県の石垣島で食品としての屋外大量培養に初めて成功してから、59種類という豊富な栄養素を持つことから、現代人に不足しがちな栄養がバランスよく補える自然素材として注目を集めています。
私たち人間は、食事でとった食べ物を体内で消化・吸収して、その栄養素を代謝しエネルギーに変えて活動しています。 消化・吸収、呼吸、運動、血液循環、老廃物の排出など、すべての生命活動に酵素は欠かせません。体の中で起こるさまざまな反応を引き起こすために、触媒として働くのが「酵素」なのです。 酵素には、野菜や果物に含まれる「食物酵素」と体の中で作られる「体内酵素」があります。
酵素ドリンクや酵素サプリは、「酵素」と呼ばれることから、摂取した酵素がそのまま体内で働いてくれそうなイメージを持ちますが、体内で活躍する消化酵素や代謝酵素がとれるわけではありません。 一般的に酵素ドリンクや酵素サプリとよばれるものは、野菜や果物を長期間発酵、熟成させた「植物エキス発酵飲料」や「植物発酵エキス加工食品」なのです。 では、酵素ドリンクや酵素サプリが意味がないかというと、そうではありません。 酵素ドリンクや酵素サプリの原材料は野菜や果物なので、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。 ビタミンやミネラルは、「補酵素」として酵素の働きをサポートします。酵素が体内でしっかりと働くためには、補酵素は必要不可欠なものです。 しかも、素材を長期間発酵、熟成して製造されている酵素ドリンクや酵素サプリは、食材の栄養を消化吸収しやすい状態になっています。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書ビタミン(水溶性ビタミン) https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000067134.pdf
酵素ドリンクや酵素サプリの原材料は野菜や果物ですので、原材料の野菜や果物のもつビタミンやミネラルなどの栄養を摂ることができます。 したがって、原材料に何が使われているのか、使われる野菜や果物などの数や品質が重要になります。 つまり、酵素は原材料により栄養素が変わるのです。 一方、ユーグレナは、18種類のアミノ酸をはじめ、ビタミン類14種、ミネラル9種など全部で59種類という豊富な栄養素をバランスよく持っています。 植物と動物の両方の性質を持ち合わせているユーグレナには、必須アミノ酸や魚油に多く含まれることで知られている不飽和脂肪酸のDHAやEPAなども含まれているのです。
さらに、ユーグレナの一番の特徴ともいえる成分に、「パラミロン」があります。ユーグレナだけがもっているパラミロンは、βグルカンとよばれる食物繊維の一種です。
野菜や果物など植物は、細胞が硬い細胞壁で覆われているために、そのまま食べると体内で消化されにくいのです。 しかし、発酵食品である酵素ドリンクや酵素サプリは、酵母や細菌などの微生物の働きによって野菜や果物の栄養素が分解されています。 そのため、消化吸収しやすい状態になっているのです。 一方、ユーグレナには、もともと野菜のような硬い細胞壁がなく、細胞がやわらかな膜でおおわれています。そのため、そのままでも消化吸収されやすいのが特長です。 野菜や果物の消化率が40%程度なのに対して、ユーグレナの消化率は、なんと 93.1%なのです。
食品として培養されているユーグレナは、自然豊かな石垣島で太陽と水の恵みをうけて育っています。 粒タイプまたはカプセルタイプのサプリや、パウダーを水やお湯に溶かして飲むものが多いですが、最近は、パック入りのドリンクも人気です。 ユーグレナの一日の摂取目安は、1,000mgです。安全で高品質な石垣島のユーグレナが、しっかり1,000mg以上とれるものを選びましょう。
酵素のドリンクやサプリは、商品によって原材料がさまざまです。だから、まず確認したいのは、どんな素材を使用しているのか、原材料です。ただ数が多ければいいというものではなく、厳選した素材を使用しているものが安心です。 次に、熟成期間や製造方法が明示してあるかどうか、また、人工甘味料や添加物の有無なども確認したいですね。 そして、毎日飲むためには、飲みやすさも重要です。ドリンクタイプは特に、味や香りが苦手で続けられないということも少なくありません。
「加齢とともに不足してくる体内酵素を補うことが大切」とよく言われますが、食物酵素をとっても、そのまま体内酵素としては働きません。 体内酵素を作る材料となるアミノ酸、酵素がしっかり働くため補酵素となるビタミンやミネラルが不足しないように、バランスよく栄養をとることが大切なのです。