ユーグレナとクロレラの違いは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最終更新日 2024年11月1日

監修:漢方養生指導士・健康管理士・サプリメントアドバイザー
 望月 みどり

たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの豊富な栄養素を含んでいるユーグレナやクロレラは、栄養補助食品として人気が高い素材です。
そして今もなお、生活習慣病の予防、免疫への関与、認知機能の改善などにおいてさまざまな機能性の研究がなされています。
緑色で、見た目にもよく似ているユーグレナとクロレラ。それぞれの特徴や違いについて紹介します。

太古の生物、ユーグレナとクロレラ

ユーグレナもクロレラも、太古の昔から地球上に存在している単細胞生物で、ワカメや昆布などと同じ藻の仲間です。太陽の光を浴び、光合成を行って栄養を作り出します。

たんぱく質をはじめ、ビタミン、ミネラルなどの豊富な栄養素を含んでることから、食事だけでは不足しがちな栄養素を補うために、サプリメントとして幅広く利用されています。

(1)ユーグレナ

ユーグレナは体長わずか0.05mmほどの小さな微生物です。
ラテン語でユーは「美しい」、グレナは「眼」を意味しています。
和名をミドリムシと言いますが、昆虫の類ではなく、藻の一種です。

植物のように光合成を行い、動物のように自ら動き回ることができます。このように植物と動物、両方の性質を持ったユーグレナは、地球上稀にみる非常に珍しい生き物なのです。

動物と植物、両方の性質を持っていることから、動物性と植物性の両方の栄養素を豊富に持ち合わせている、これこそが、ユーグレナ最大の特徴と言えます。

【関連記事】
クロレラよりすごい!?
ユーグレナ(ミドリムシ)の健康に嬉しい3つの効果と8つの研究結果を専門家が解説>>

(2)クロレラ

クロレラは、直径3~8ミクロン(1ミクロン=1000分の1ミリメートル)の球状をした単細胞生物です。
ギリシャ語のクロロス「緑の」とラテン語のエラ「小さいもの」を合成してクロレラと名付けられました。
クロレラは、その光合成能力の高さと、他の植物に比べて非常に生育速度が速いのが特長です。
1960年代半ば以降、クロレラの機能性についての研究が進み、その栄養バランスの良さから、健康食品や飼料などとして広く利用されてきました。

ユーグレナ同様、様々な分野で研究開発が進んでおり、近年では「長期的にクロレラを継続的に摂取すると、有酸素性運動パフォーマンスを向上させる研究結果」なども発表されています。

参考:サン・クロレラ研究サイト
「長期的なクロレラ摂取が異なる運動様式のパフォーマンスに及ぼす影響」
日本スポーツ栄養学会第5回大会にて発表
https://lab-sunchlorella.jp/report/ 長期的なクロレラ摂取が異なる運動様式のパフォ

ユーグレナとクロレラ、この違いに注目!

(1)栄養面

クロレラもユーグレナもその栄養素の豊富さが特徴ですが、栄養成分を比較すると、タンパク質を構成するアミノ酸の種類に違いがあります。

ユーグレナは、必須アミノ酸9種類すべてをバランスよく含んでいるのに対し、
クロレラは、メチオニン、シスチンなどの含硫アミノ酸が不足しています。


食品中のタンパク質の品質評価基準であるアミノ酸スコア(必須アミノ酸のバランス指標)であらわすと、理想値の100に対してユーグレナが「83」クロレラが「54」とユーグレナがはるかに優れていることがわかります。

さらに、ユーグレナは植物系の栄養素だけでなく、DHAやEPAなど、青魚に多く含まれる動物性の栄養素も含んでいるのが大きな違いです。

【関連記事】
ユーグレナはどんな人におすすめ?

参考:ユーグレナはどこまで高栄養食源として貢献し得るか ―その機能と応用―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/vso/91/5.6/91_323/_pdf
クロレラの栄養学的研究 その(1)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/17/1/17_1_19/_pdf

(2)消化面

植物性の生物であるクロレラには細胞壁があります。私たち人間を含め多くの動物は、この硬い細胞壁「セルロース」を分解できるセルラーゼという酵素を持っていないために、細胞内部の栄養素を取り出すことが難しいのです。そのため、クロレラが消化器官で吸収される割合は60%程度と言われています。

一方、動物性の特徴も持つユーグレナは薄い細胞膜しか持っていません。
細胞壁を持たないユーグレナの消化率は約93.1%と言われていて、私たちの体に吸収されやすい特徴があります。

つまり、私たちは、ユーグレナのもっている栄養素をほとんど無駄なく利用することができるのです。

(3)独自成分

さらに、ユーグレナには「パラミロン」というユーグレナだけが持つ成分があります。
食物繊維とよく似た形状のパラミロンは、食物繊維と同じような働きをします。

また、乳酸菌との相性が抜群です。

まとめ

2005年、大量培養が難しいとされてきたユーグレナの培養に、株式会社ユーグレナが世界で初めて沖縄県の石垣島で成功しました。
クロレラに遅れること50年あまり、これを期に、一気にユーグレナの研究が加速し、クロレラよりさらに優れた点をもつ生物として、ユーグレナは注目されるようになりました。
現在では、健康食品をはじめ、さまざまな商品が販売されています。

ユーグレナは、健康食品や化粧品など健康・美容の面で注目されていますが、その光合成能力の高さから、地球温暖化対策にも一役かうのではと期待されています。

さらに、ユーグレナの油脂成分がジェット燃料に適した構造を持つこともわかり、バイオ燃料としての新たな可能性も注目を集めています。

健康や美容面だけでなく、環境保全の観点からも未来の地球を救うユーグレナ。今後ますます目が離せません。

監修:漢方養生指導士・健康管理士・サプリメントアドバイザー 望月 みどり

  • このエントリーをはてなブックマークに追加