冷え性になりやすい体質と効果のある漢方4選 鍼灸師が詳しく解説

2021. 10. 06
監修:足立美穂 プロフィールを見る >

鍼灸治療院 東洋の森 院長・鍼灸師
自身の体験から東洋医学の体全体を診る医学に感銘を受け、鍼灸の道に進む。体の不調のサインに気づき、病になる前に治す施術を心がけている。 不妊施術、疼痛治療、鍼灸全般(体質改善から更年期障害の改善等)の業務を専門に行う。

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春は気温の変化が激しく、薄手の服で十分な日もあれば、コートが必要な花冷えと呼ばれる日もあります。

暖かくなったとはいえ、薄着でいても手足は冷たく、まだまだ冷えを感じる季節です。

冷え性は西洋医学では病気として扱われないため、つい見過ごしてしまい、慢性化しやすい症状です。

次の冬を迎える前に、漢方を使って冷え体質の改善しておきましょう。

冷え性におすすめの漢方を、足立美穂先生に教えていただきました。

 

冷え性になりやすい人ってどんな人?

私たちの体は、肝臓や胃腸などの臓器が活動することによって、熱を生み出しています。

さらに筋肉が動くことでも熱は発生するので、男性に比べて筋肉量の少ない女性は、当然のように冷えが起こりやすく、多くの場合、血行不良の状態になり、手足のなど末端が冷え切っています。

また普段の食生活でも冷たいものを好んで飲んでいたり、お風呂をシャワーだけですませていたりと生活習慣の中でも冷え性を引き起こしています。

足立先生によると、冷え性になりやすいかどうかは、普段の養生によるとのことです。

また、冷え性とは反対に、のぼせやすい人にもさらに注意が必要だそうです。

体の疲労に、過労による停滞が加わった場合に、のぼせは発生し、自律神経の乱れを伴うのが特徴です。

のぼせは、冷えよりも症状としては悪く、寝不足の傾向にあるとなりやすい症状です。

 

冷え性にも種類がある⁈

東洋医学の観点から考えると、冷え性は2種類に分類されます。

2つのタイプの冷え性について、足立先生に解説していただきましょう。

 

 

①胃腸が弱いタイプの冷え性

まず一つ目のタイプは、胃腸の弱りが体を巡らせる力を少なくさせている場合に起こる冷え性です。

体を巡らす力(気虚)が少なくて、水の停滞(水毒)を生む結果、手足が冷えてしまいます。

人は本来、もともと持ち合わせている先天的な力に加え、食事などで摂取できる後天的な力が合わさって体のエネルギーをまかなっています。

胃腸が弱いタイプの方は、後天的な力が弱くなるため、気虚(エネルギーが少ない状態)になりやすくなってしまうのです。

 

②血の流れが滞っているタイプの冷え性

血の流れに滞りがある場合、手足の冷えが現れます。

漢方では血が滞った状態をお血(おけつ)と言い、血液自体がドロドロとしているのではなく、血行が悪くなっている症状を意味します。

お血は長い年月をかけて、気虚の冷え性がこじれた場合や、体を酷使したりダイエットをした結果、血の滞りが生じてしまったと考えられています。

 

2つのタイプの冷え性を比べた場合、胃腸の弱いタイプよりも、お血の状態からなるタイプのほうが、重い冷え性と呼ぶことができます。

冷え性を改善するために、お風呂に浸かったり、積極的に体を温めたらのぼせてしまった、などの経験がある方も多いかもしれません。

冷えの原因は人それぞれです。

自分の冷えのタイプに合わせた改善策を取ることが大切ということですね。

 

専門家直伝!冷え性にオススメの漢方とは?

自分の体がなぜ冷え性になってしまったか、という原因を探ってみましょう。

ここでは足立先生に、4つの漢方をご紹介していただきます。

それぞれの症状の中で、自分自身がどの体質に当てはまっているか、考えてみてください。

 

・食欲不振を伴うタイプ

このタイプには補中丸(ほちゅうがん)という漢方をおすすめします。

食が細く虚弱体質の方や、貧血気味、ストレスが多く、胃腸の弱い方に良い漢方です。

病後の体力の回復時や、疲労が続いた時に適しています。

 

・体力に自信がないタイプ

このタイプには参茸補血丸(さんじょうほけつがん)という漢方をおすすめします。

滋養強壮に適しており、疲れやすい方、体力が落ちている方や胃腸が弱い方におすすめです。

 

・体力に自信がなく、食欲不振を伴うタイプ

先程にあげた2つの症状にどちらも心当たりがある場合は、参馬補腎丸(じんばほじんがん)をおすすめします。

忙しい毎日で、疲れがなかなか取れない状態が続き、さらに食事をしても胃がもたれ気味になると、徐々に体力も落ちてきます。

このような時の滋養強壮や疲労回復に適した漢方です。

 

・血の流れが悪いタイプ

血の流れが滞り、お血の状態になっている場合の冷え性には、婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)冠元顆粒(かんげんかりゅう)を組み合わせた漢方がおすすめです。

婦宝当帰膠は貧血や頭痛、肩こり、のぼせなどにも適しており、生理不順や更年期の改善にも適しています。

さらに中高年に多い高血圧や動機、めまいなどにも効果的な冠元顆粒を加えることで、血の滞りを改善する効果がアップします。

 

【タイプ別】漢方を飲むことで体ってどう変わるの?

漢方薬は、自然の中で育まれた生薬を長い年月をかけて研究し、いろいろと組み合わせてできた薬です。

病院で処方される西洋医学の薬と比べて、漢方薬の効き目には時間がかかると思っている方も多いのではないでしょうか。

実のところ、漢方による効果の出方は様々です。

すぐに効果がでる場合もあれば、飲み続けて効いてくる漢方もあります。

前の項目で取り上げた漢方を飲むことで、体に現れる変化や注意するポイントなどを足立先生に解説していただきました。

 

①胃腸が弱いタイプの冷え性

このタイプが漢方を始めることで、先ず胃腸の働きがよくなる傾向がみられます。

続けていることで、むくみや体の倦怠感も以前に比べてよくなるでしょう。

 

②血の流れが滞っているタイプの冷え性

このタイプが漢方を服用されると、月経痛が軽くなる、頭痛が軽くなる、月経周期が整うなどの変化が見られます。

例えば、秋に服用しはじめると一番寒い1月頃には効果を実感されると思います。

漢方を服用されて、食欲が落ちたり、体がだるくなるなどの症状が出た場合は、体に合っていない可能性が有りますので服用を中止してください。

 

まとめ

漢方は様々な種類の中から、まず自分に合ったものは何かを探し出すことが大切です。

そのためには自分自身の体の状態を、細かく把握しておくことから始めましょう。

さらに漢方の専門家に相談することで、長く付き合っていける漢方に出会うことができるのです。

本格的な寒さが和らいだこの時期に、ぜひ始めてみてはいかがでしょうか。

 

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