肩こり改善法 自宅でできる鍼灸と漢方 鍼灸師が教えます。

2021. 09. 08
監修:足立美穂 プロフィールを見る >

鍼灸治療院 東洋の森 院長・鍼灸師
自身の体験から東洋医学の体全体を診る医学に感銘を受け、鍼灸の道に進む。体の不調のサインに気づき、病になる前に治す施術を心がけている。 不妊施術、疼痛治療、鍼灸全般(体質改善から更年期障害の改善等)の業務を専門に行う。

(https://mbp-japan.com/kyoto/to-you-no-mori/)

欧米人に比べて、日本人を含めた東洋人は肩こりに悩む人の割合がとても多いそうです。

その理由として、首回りと肩、腕の付け根付近の筋肉量が、欧米人よりも少なく、筋肉も弱いからと言われています。

成人になると7kg以上にもなる重い頭を支えているのですから、負担がかかるのは無理もありません。

現代人はスマホやパソコンで、目や肩を酷使することも、ますます肩こり人口を増やす原因となっています。

参考:厚生労働省の「平成16年国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa04/3-1.html

 

今回は鍼灸師の足立美穂先生に、肩こり改善法を教えていただきました。

 

知っていますか?「鍼灸」治療とは

まずは鍼灸治療について、具体的にどんなことをするのかを知っておきましょう。

二千年以上昔の中国で誕生した東洋医学の考えに基づき、全身に点在するツボを鍼やお灸で刺激をしていくことで、不調を改善し、自然治癒力を高めていく治療法です。

体の組織の機能回復、血行促進作用、免疫力活性化といった点でとても効果的な治療法とされています。

今や中国やアジアだけでなく、アメリカやヨーロッパの医療現場でも研究が進み、西洋医学だけではカバーできない疾患に対して、益々期待が高まっている治療法です。

鍼治療は、怖そう、痛そう、というイメージもあるかと思いますが、実際には、ほぼ苦痛を感じることはありません。

現在、日本で使用されているのは、髪の毛に近い0.14ミリ前後の、きわめて細く、衛生面も考慮された使い捨てタイプの鍼です。

採血などの注射で使用される針は0.8ミリほどですので、鍼灸で使う鍼(はり)は3分の1以下と大変細いことが想像できるかと思います。

実際に治療をうけている患者さんのほとんどが、心地よいと感じられているそうなので、痛みに関しては心配しなくても大丈夫でしょう。

 

鍼灸で肩こり治療、どんなことをするの?

肩こりの悩みを持つ女性は多いのですが、鍼灸院に行ったことがある人は、少ないかもしれません。

『鍼灸治療東洋の森』の院長で鍼灸師の足立先生は実際にどのように治療をされているのでしょうか。

足立先生「当院では、鍼と灸を使って肩こりの治療を行います。

組み合わせることにより、表層の筋肉と深部層の筋肉および血流改善をすることができるため、両方用いることが多いです。

鍼というと怖いイメージを持たれるかもしれませんが、当院では鍼を深く刺すことはいたしません。

患者様は肩こりがつらいと、もっときつくして欲しいと希望されますが、深く刺すことは、痛みや部位によってはリスクを伴う場合があります。

浅い鍼は、表面の硬くなった筋肉を緩めるのに適しています。

この浅い鍼と運動を加えることにより(運動鍼)筋肉の緊張を緩和させます。

灸は深部の血流改善や、深部層の筋肉の緊張を緩めるのに適しています。

鍼治療を受けた方は、体が軽くなった!と感じる方が多いようです。

老廃物が溜まってカチカチになっていた筋肉が緩み、血行が良くなることで、蓄積された老廃物が排出されて、肩こりが改善されるのですね。

 

肩こりに効果がある漢方薬

足立先生「肩こりの漢方として、葛根湯を服用されている方も多いですが、これには少し注意が必要です。

葛根湯は注意事項として、体力中程度以上の方向きの漢方です。

体の疲労が著しい、又は、虚弱体質の方には不向きです。

虚弱体質の方には、配合されている中のトウキの割合が高い漢方がおすすめです」

 

自宅で簡単、肩こり解消の「ツボ温灸」

通院する時間がなかなか取れない、という忙しい方にもおすすめできる自宅で手軽にできる「肩こり解消法」を教えていただきました。

足立先生「ツボ鍼灸で、肩周りの血流が悪くなったツボを温めましょう。

該当するツボにツボ鍼灸セットをあてて、10分ほど置くことによって、血流を改善させるのです。」

 

【ツボ鍼灸のやり方】

1.まずオーガニックコットンを10センチ角にカットして、袋状になるように縫います。

2.その中に、乾燥小豆を袋の6分目程度まで入れます。

3.電子レンジで1分程度温めます。 加熱時間はレンジの種類によって異なりますが、加熱し過ぎると小豆が割れてしまい、使用できなくなります。加熱のコツとしては、まず30秒ほど温め、10秒ごとに確認しながら温めると失敗がなく、適温に加熱することができます。

この時の適温とは、手にのせて、じんわりと温かい程度です。

熱すぎると、火傷の原因になりますので、十分な注意が必要です。

※コットンは天然繊維100%のものをご用意ください。化学繊維が混入しているコットンは、発火する恐れがありますので、大変危険です。くれぐれもご注意ください。

上記の要領で、ツボ鍼灸セットの準備が完了したら、該当するツボの上に置いていきます。

温める時間は10分程度で十分です。

じんわりとした温かさが無くなってきたら、終了して下さい。

「ツボ鍼灸セット」は、一回使用したら、次回までは半日以上空けることで、繰り返しの利用が可能です。

小豆の水分が全て出きってしまうと、小豆が割れてきます。

その時が寿命となりますので、新しい小豆に入れ替えましょう。

 

足立先生からのアドバイス

肩こり解消のためには、鍼灸治療はもちろんですが、普段の生活に運動を取り入れてみましょう。

明日からでも、できる15〜30分のウォーキングがおすすめです。

手足を振って歩かなくても構いません。

無理のない範囲でウォーキングを始めましょう。

短い時間でも、毎日することがポイントです。

 

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