鉄、カルシウム、食物繊維 女性の人生に必要な3大栄養素 管理栄養士が詳しく解説

2021. 08. 26
監修:宮崎 奈津季 プロフィールを見る >

管理栄養士、薬膳コーディネーター
大学卒業後、介護食品メーカーで営業を経験し、フリーランスの管理栄養士に。菓子メーカーの営業代行・商品開発、料理動画サービスのレシピ開発等を行う。
2019年1月に合同会社HITOOMOIの立ち上げメンバーとして参画。食・健康にかかわるコンテンツ制作など幅広く活動中。 誰かのための料理、労わる料理、作り手も気負わない料理を大切にしている。

(https://profile.ne.jp/pf/nxtxxkx-mine/)

 

女性と男性では、基本的な体の作りや機能が違うため、必要な栄養素やその量が大きく違ってきます。

そして変化するライフステージによって、また年代によって必要となる栄養素にも変化があります。

月経が始まり、妊娠、出産、授乳期間を終え、やがて更年期に入り、閉経を迎える、といったサイクルの中で、その時々によって不足しがちな栄養素を補うことがとても大切になってきます。

特に、更年期にさしかかる40代後半頃には、女性ホルモンのエストロゲンが大きく減少することから、体にも心にも様々な乱れが生じます。

そんな女性の一生の中で、どのような栄養素を意識して摂取するべきか、具体的な食材から調理法までを、管理栄養士の宮﨑 奈津季先生に詳しく教えていただきました。

 

女性に必要な3つの栄養素「鉄・カルシウム・食物繊維」


女性の体に必要な3つの栄養素について、まずは知っておきましょう。

 

女性には月経があるため、鉄分を多く含んだ血液が数日間に渡って出血してしまう状態が、ほぼ毎月続きます。

これによって慢性的に鉄分不足の状態が続いている方がとても多いのです。

また、ダイエット中の女性は、食事制限をすることで十分な鉄分がとれずに貧血で倒れてしまう、という話もよく聞きます。

また妊娠すると胎児を育てることが優先的になり、赤ちゃんに酸素や栄養素を運ぶために多くの血液が必要になります。

その間、母体は鉄分が不足し、出産後にも母乳を作るためにたくさんの血液が使われることから、貧血状態が続きます。

その後、更年期に入ると女性ホルモンの減少により自律神経が乱れることが原因で、潜在性鉄欠乏性貧血になる方がとても多くみられます。

このように女性の体は、変化するライフステージの中でも慢性的に鉄分が不足しやすい状況下にあることがわかりますね。

 

カルシウム

妊娠、出産、授乳時において、カルシウムは胎児や乳児の成長のために使われるため、この時期の女性にとっては十分に摂りたい栄養素です。

また、40代を過ぎて女性ホルモンが減少すると、女性ホルモンが持つ骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きも弱まり、骨自体の強度が弱くなってしまいます。

年齢を重ねた女性に、骨粗しょう症が多いのもこの理由からです。

また、この時期の女性の精神的なゆらぎ、特にイライラしやすかったり、神経が過敏になることには、カルシウム不足が関係しています。

 

食物繊維

ダイエットや忙しさで食べる量が少なくなったり偏った食事を摂っていると自然と食物繊維の量も減り、便秘がちになりやすく、また気持ちが揺らぎやすい時期の女性は、ストレスから便秘になりやすい傾向にあります。

便秘の予防、解消のためには食物繊維もしっかりと摂りたい栄養素のひとつです。

 

鉄分の効率的な摂り方と食べ方

多くの女性に不足しがちな鉄分ですが、効率よく摂取するにはどうしたら良いのでしょうか。

鉄分が多く含まれている食べ物や食べ方について、宮﨑先生に教えていただきました。

「鉄分には、2種類あります。

1つは肉や魚などの動物性食品に含まれる『ヘム鉄』、もう1つは穀類や野菜、豆類などの植物性食品に含まれる『非ヘム鉄』です。

ヘム鉄のほうが吸収率は高いため、より効率的に鉄分を摂りたい場合は動物性食品から摂ることをおすすめします。

また、ビタミンCは鉄分の吸収を促進させるため、一緒に摂るのもいいでしょう。

鉄分が多く含まれている食べ物は、レバーや牛の赤身肉、貝や豆類、大根の葉や小松菜などの青菜です。

レバーは臭みが苦手な方も多い食材ですが、カレー粉で炒めるとスパイスが効いて食べやすくなりますし、梅煮にすると臭みも和らぎビタミンCも一緒に摂ることができます。

小松菜や大根の葉はお浸しやお味噌汁などに入れるのも簡単でおすすめです。」

やはり動物性の食品から摂取したほうが、吸収率が高いのですね。

生理の前にお肉が食べたくなる、という女性が多いのも、体が月経に備えて鉄分をチャージしようとしているからなのかもしれませんね。

 

カルシウムの効率的な摂り方と食べ方

カルシウムは、どの様な食品から摂るのがおすすめなのでしょうか。

また一緒に摂取すると吸収率がアップする相性の良い栄養素も教えていただきました。

「カルシウムは食品によって吸収率が異なります。

一番吸収されやすいのは乳製品です。

乳製品に含まれるたんぱく質の一種がカルシウムの吸収を促進していると言われています。

カルシウムはそのほかに、小魚や青菜、大豆製品にも多く含まれています。

また、ビタミンDはカルシウムを吸収するのに必要なたんぱく質の合成を促進させたり、カルシウムが骨に沈着するのを促す作用があるため、ビタミンDと一緒に摂取することがおすすめです。

ビタミンDが豊富に含まれるきのこをクリームパスタの具にすると、カルシウムも摂れ、吸収率UPが期待できます。

サラダにちりめんじゃこを加えたりすると、カルシウムを手軽に補給できます。

小松菜の胡麻和えなども簡単にカルシウムが摂れるメニューです。」

ビタミンDは、先生のおっしゃるようにキノコ類や、その他にかつお、さば、うなぎ、さんまなどの魚類、豚肉にも含まれています。

その中でも含有量が群を抜いて多いのがきくらげです。

普段あまり家庭では使い慣れない食材ですが、カルシウムとの相性はとても良いので、食べる機会を増やしてみるのも良いですね。

 

食物繊維の効率的な摂り方と食べ方


食物繊維が摂れるおすすめの食材や、調理法などがあれば教えてください。

「女性だけではありませんが、現代人には食物繊維が不足しがちです。

食物繊維は便のかさを増やしたり、腸内環境を整える働きがあり、女性の悩みでよく挙がる便秘解消に効果が期待できます。

食物繊維は野菜、きのこ、豆類、海藻に多く含まれています。

根菜がたっぷり入った煮物や野菜と豆がたっぷり入ったスープなどで摂ってもいいでしょう。」

スープはきのこ類や野菜など、色々な食材を一度に摂取でき、同時に体も温めることができるので、簡単で体に優しい調理法ですね。

最近はマイボトルを持ち歩く人がとても増えましたが、スープを温かいまま持ち運べる保温ジャーも色々な種類を見かけるようになりました。

毎日のランチのメニューに食物繊維たっぷりのスープを追加してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

女性が意識して摂取したい3つの栄養素をご紹介しました。

特に鉄分が足りていない女性は、とても多く、吹き出物や肌荒れなども鉄分不足が原因だった、というケースもよくあります。

バランス良く栄養素を摂ることを意識しても、どうしても好き嫌いや外食、同じような食材ばかりに偏りがちなメニューになってしまう、ということもあるかと思います。

今回先生に教えていただいた3つの栄養素を意識しながら、自分なりにいろいろなレシピをアレンジしてみましょう。

 

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