ミッドライフ・クライシス 第2の思春期とは?中年期に訪れる「心のしんどさ」

医師が自らの体験をもとに書いた「ミッドライフ・クライシス」(鎌田 實氏著)という本が話題になっています。ミッドライフ・クライシス、直訳すれば中年期の危機。実は言葉自体は新しくても、過去の著名な心理学者、ユングやレビンソンによって「人生の正午」などの言葉で、中年期の心理的危機について指摘されています。多くは更年期の前、早い人で30代半ば、平均的に40代で訪れるかなり深刻な「心のしんどさ」。あなたは感じた経験はありますか?

鎌田氏の著作を参考にして、わたし(筆者)なりにミッドライフ・クライシスのきっかけや心理状態をまとめてみました。

■自分の人生の頂点がみえて、それが意外に低いことを実感し、これからの下り坂はさらにつまらないと想像してしまう。

■健康だったはずが、急に病気が見つかり、これまでの日常が継続できにくくなって大きなストレスに見舞われる。

■アルコール依存や不倫など、自分ではコントロールしにくいことにのめりこんでしまい不安定になる。

■頂点を越えた下り坂の先に「死」があることを意識しはじめる。この先、できることに限界を感じ不安になる。

■自分探しに結論がでていないので、いつまでもモラトリアムが続き、若い頃の憧れを引きずっている。

■子供が自分から少しずつ離れていった時、自分が何のために生きているのかわからなくなる。

■過度なストレスが続いたまま、周囲から期待され、自分の能力以上の仕事を続けている。

■これまでの順風満帆だった人生で、この時期、はじめてつまずいたことで、不安な状態が続く。

いかがでしょうか?いまは心当たりがないにしても、友人や家族、はては有名人までイメージを広げてみると、けっこう大きな心理的な危機であることがわかっていただけると思います。

実は、性格的にまじめな人が陥りやすい危機でもあります。中年日本人の自殺者が先進国の中でトップクラスなのも、まじめな国民性が一因ではないかと考える人もいるようです。

鎌田氏は心のしんどさを感じた時、まずはがんばらないこと。肩の力をぬいてみること。副交感神経を優位にするため、軽い運動をし、その際、呼吸を意識的にゆっくりして吸うより吐くに注目することを提案しています。とても簡単ですが、まずできることとして、ぜひ意識してみてください。

さらに前出の心理学者レビンソンは中年期の課題として、下記のことをすすめています。

★若い時代を振り返って再評価すること
★それまでの人生で不満が残る部分を修正すること

★新しい可能性を試してみること
★人生の午後に入るにあたって、生じてきた問題を見つめること

さらに、レビンソンは、この危機(ミッドライフ・クライシス)をうまく切り抜けられれば、よき指導者、そしてよき助言者として本当の意味で自立できると説いています。深く考えさせられる提言ですね。

今月の素敵学プラス 次の記事は→【PR】TUMUYUIから「氣 RIKI」をピックアップ