コロナ禍の中、一方で劇的に減ったものは?感染症に関する、興味深い統計がでました。

厚生労働省が昨年9月分(2020年1月〜9月)までとして発表した、日本全体の死因別死亡数(概数)によると、コロナ禍ではない前年(2019年)の同じ期間より、最も減少したのは呼吸器系疾患(すべてが感染症が原因でないが)で、約1万6千人減っていました。内訳は肺炎(新型コロナなどを除く)が約1万2千人で、インフルエンザが約2千人減っていたのです。一方、この間の新型コロナ感染による死者は3千5百人ほどで、つまり、新型コロナ感染を防ぐための、わたしたちの対策が、他の呼吸器疾患による死亡を劇的に抑え込んだという結果になったのです。今回は主に感染症の感染経路について、まとめてみました。

感染症は「感染を防げば罹らない病気」です。新型コロナ感染症が収束に向かった後も、ぜひ感染症への関心を続けたいものです。

感染症とは、病原体が体に侵入して、症状が出る病気のことをいいます。

病原体は大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などに分類されます。

病原体が体の中に侵入する感染経路は、妊娠・出産により赤ちゃんに感染する母子感染(垂直感染といいます/風疹、トキソプラズマ、B型肝炎等)と水平感染があり、水平感染は接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに大きく分類することができます。

(接触感染)感染者(源)に直接接触して感染/伝染性膿痂疹(とびひ)、梅毒、淋病、破傷風、HIVなど

(飛沫感染)咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染/新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、かぜ、百日咳、マイコプラズマなど

(空気感染)空気中を漂う微細な粒子(飛沫核)を吸い込むことにより感染/結核、麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)

(媒介物感染)汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染/コレラ( 水 )、食中毒(食品)、ウイルス性肝炎(血液)、マラリア(蚊)など

厚生労働省委託事業/AMR臨床リファレンスセンターHPを参照しています。

抗生物質は細菌には効いても、ウイルスにはまったく効かないのはなぜ?

ウイルスの大きさは細菌の1/50程度ですが、大きな違いはウイルスは細菌と違って「細胞」を持っておらず、人間の細胞に入り込んで増殖していきます。抗生物質は病気のとなる特定の「細菌」(細胞)を退治するのですが、人間の細胞の中に入ったウイルスに作用することはできないのです。

今、新型コロナ感染症に対応するワクチン(ファイザー製等)は、ウイルスが人間の細胞の中に入り込まないようにブロックするもので、当然、発症や増殖による重症化が抑えられるわけです。

病原体が体に侵入しても、症状が現れる場合と現れない場合とがあります。感染症となるかどうかは、病原体の感染力と体の抵抗力とのバランスで決まります。わたし自身(筆者)が今回のコロナ禍で感じたことは、いつどこで感染症のリスクに晒されるかわからない。だから常に感染に負けない抵抗力を維持しておくことの大切さでした。

新型コロナ感染症により治療、療養等を強いられた方に、心からお見舞い申し上げます。

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