ハムレット、マクベス、ロミオとジュリエット、ヴェニスの商人など数多くの作品をもつ世界でもっとも有名な劇作家と言えるシェイクスピア。ところが、英米文学を専攻された方をのぞいて、意外に読んだことがない人が多いのではないかと思います。なんだか高尚、難解なイメージがするのも、その理由のひとつですが、やはり戯曲(脚本)だから、わかりにくい、読み慣れていないのが最大の理由かもしれません。
あらゆる情報が、手の中にあるスマホから瞬時に得られる、また映像として提供される時代だからこそ、読み慣れなくて、わかりにくいと思う「戯曲」にあえていま、挑戦してみるのはいかがでしょうか?
戯曲(脚本)は、シーンごとにわかれており、ト書きと呼ばれる状況の説明はありますが、基本的に登場人物のセリフだけで、ストーリーが進行していきます。人物の心情の描写をしながら進む小説とは異なり、少ない情報の中から場面、空間を想像していく行程が必要になるのです。
筆者の経験的な話で恐縮ですが、どうも小説を読んでいる時とは、違った部分の脳が働いているような気がしてなりません。
脳を活性化させるという意味でも、ぜひ戯曲を読んでみてください。そして劇作家のビートルズ!(かも)、超ベーシックでクリエイティブ度の高いシェイクスピアを手に取ってみてください。
今回は、そんなシェイクスピアに興味をもっていただけることを狙って、2つの話題を提供します。
「Love is blind(恋は盲目)」/言葉の妙
シェイクスピアの著作『ヴェニスの商人』に登場するジェシカのセリフが由来となっています。このようなどこかで聞いた言葉を、シェイクスピアの作品に中にたくさん見つけることができるんです。日常会話のバリエーションを増やすのに最適かもしませんね。
ちなみに全文は
Love is blind, and lovers cannot see the pretty follies that themselves commit.
さあ、あなたならどう訳しますか?
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」/翻訳の妙
シェイクスピアの四大悲劇のひとつ「ハムレット」の有名な言葉。でもこれは実は誤訳ではないか?と言われているんです。
原文は
“To be, or not to be, ― that is the question.”
作家、坪内逍遥はこれを「世にある、世にあらぬ、それが疑問ぢゃ」と訳していますが、これが原文に忠実でありながらの名訳だと思います。
実はハムレットだけで40を超える日本語訳がでています。
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」
「生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ」
など、翻訳家によって、ずいぶんニュアンスが違いますよね。だからシェイクスピアは原文を読まなくちゃ!なんて言うインテリが多いのですが、それだとシェイクスピアがますます遠くに行ってしまいそう。だからわたしは、翻訳の違いを楽しむのもアリだと思っています。
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