生理・妊娠・更年期、女性特有の口臭の原因と対策を専門家が解説

最終更新日 2024年06月27日

監修:望月みどり プロフィールを見る >
健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士
体臭に関する専門性の高い記事を数多く執筆。
体臭、加齢臭に関するコメンテーターとしてテレビ出演、雑誌の取材も多数。
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はじめに

誰かと近くで話をする時や人が集まる場所で、口臭は誰もが抱える身近な悩みです。

口臭の原因の多くは、口の中、あるいは胃や腸などの内臓にあると言われていますが、女性の場合は特有の原因によって起こることがあります。

この記事では、女性特有の口臭の原因と対策について詳しく解説していきます。

女性特有の口臭の原因

女性特有の口臭の原因は、ホルモンバランスの変化、口腔内の乾燥(ドライマウス)、生活習慣の乱れ、の3つに大きく分けられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.ホルモンバランスの変化からの口臭

女性は、月経や妊娠、閉経などによってホルモンバランスが大きく変化します。

これらの変化は、唾液の分泌量や質に影響を与え、口臭の原因となることがあります。

月経前~月経中

エストロゲンの分泌が低下する月経前や月経中は、唾液の分泌量が減少するため口臭が悪化することがあります。

また、月経前や月経中は免疫力も低下して、口内細菌が増殖しやすくなります。

妊娠中

妊娠初期は唾液の分泌量が減少するため、口の中がネバネバして口臭が発生しやすくなります。

また、虫歯や歯周病にかかりやすくなり、口臭がさらに悪化する原因になります。

更年期

閉経前後の更年期は、ホットフラッシュや火照りなどの症状がよく知られていますが、口の渇きがあらわれることも多く、口臭が発生しやすくなります。

2-2.口腔内の乾燥(ドライマウス)からの口臭

ドライマウスとは、唾液の分泌量が少なくなり口の中が乾燥する状態です。

女性は、男性よりも唾液の分泌量が少ない傾向があり、ドライマウスになりやすいと言われています。

唾液には、口の中を洗い流す作用や、細菌の増殖を抑える作用などがあります。

そのため、唾液の分泌量が減って口の中が乾燥すると、細菌が増殖しやすくなり、口臭の原因となります。

2-3.生活習慣からの口臭

偏った食生活、睡眠不足、ストレスや喫煙などの生活習慣の乱れも、口臭の原因になります。

朝食を抜いたり、食事の時間を大幅に遅らせたりすると、唾液の分泌量が減少し、口臭の原因となる細菌が増殖しやすくなります。

また、不規則な食生活は、胃腸の負担を増加させ、消化不良を引き起こす可能性があります。

消化不良になると、胃の中に食べ物が長時間滞留することになり、胃の中で発酵を起こして酸っぱいニオイや卵の腐ったようなニオイの口臭が発生します。

さらに、偏った食事は、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足しがちで、口腔内環境を悪化させ、口臭の原因となる可能性があります。

睡眠不足やストレスも、自律神経の乱れから唾液の分泌量の減少、口内の乾燥、免疫力の低下などを引き起こし口臭の原因になることがあります。

口臭の種類と症状

3-1.生理的口臭

口臭は人間の体から自然に発生するもので、健康な人でも生じます。

この種類の口臭は軽度であることが多く、適切な口腔ケアを行えば管理できます。

3-2.朝起きた時の口臭

睡眠中は唾液の分泌が減少するため、細菌が繁殖しやすくなります。

そのため、朝起きた時は特有の口臭が発生します。朝の口腔ケアは特に重要です。

3-3.食後の口臭

食べ物の残りかすが口内に残ると、一時的に口臭が発生します。

食後に口をすすぐか、歯磨きをすることで対処できます。

3-4.病的口臭

内臓の疾患やその他の健康問題が原因で口臭が発生することがあります。

もし、通常の口腔ケアで改善しない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

口臭の対策

4-1.口腔ケアによる口臭対策

4-1-1.歯磨き

歯磨きは最も基本的な対策で、歯磨きが不十分だと細菌が繁殖して口臭の原因となります。

1日2回、2分以上かけて丁寧に磨き、歯と歯の間に付着した細菌や食べカスは、デンタルフロスや歯間ブラシも使用して取り除きましょう。

4-1-2.舌磨き

舌の表面も細菌の温床となることがあります。

黄色っぽい舌苔が厚くなると、口臭が強くなる傾向にあります。

舌苔が気になる場合は、舌専用のブラシを使ってやさしく取り除きましょう。

4-1-3.マウスウォッシュ

殺菌効果のあるマウスウォッシュを使用すると、口臭を予防して口内を清潔に保つことができます。

ブラッシングだけでは取り除けない細菌や食べカスを除去し、口臭を予防します。

ただし、使用しすぎると、口内が乾燥し唾液を減少させてしまう可能性があるため、注意が必要です。

4-2.生活習慣の改善による口臭対策

4-2-1.口臭対策のための水分補給

口臭対策において、適度な水分補給は重要です。

口の中の乾燥を防止して、唾液分泌を促す効果があります。

水やお茶などでこまめに水分補給をするようにしましょう。

緑茶に含まれるカテキンやフラボノイドには消臭効果があるとしてよく知られています。

4-2-2.ストレス解消による口臭対策

ストレスと口臭は密接な関係があります。

ストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れて、唾液の分泌量が減る、口内が乾燥する、免疫力が低下するといった症状があらわれます。

これらの症状は、口臭の原因となる細菌の繁殖を促進して口臭を悪化させます。

ストレスを解消することが口臭予防になります。

4-2-3.バランスの良い食生活による口臭対策

規則正しい食生活は、口臭予防に大きく役立ちます。

規則正しく食事をとることで、唾液の分泌量を安定させることができます。

また、胃腸に負担がかかり消化不良を起こすと、胃の中で食べた物が発酵を起こして酸っぱいニオイが上がってきて口臭を発生させます。

規則正しい食生活を心がけて、栄養バランスや胃腸の機能を整えましょう。

4-2-4.睡眠

質の良い睡眠は、口臭予防に大きく役立ちます。

睡眠中に分泌される成長ホルモンは、唾液腺の働きを促進し、唾液の分泌量を増やします。

また、睡眠中は免疫細胞が活性化して免疫力が高まります。

免疫力が向上すると、細菌やウイルスに対する抵抗力が強くなり、口臭の原因となる細菌の感染を防ぐことができます。

4-3.口臭サプリメントの活用

口臭予防には、生活習慣の改善が基本ですが、口臭サプリメントを併用することでさまざまなメリットが期待できます。

4-3-1.消臭効果

口臭サプリメントには、植物由来のポリフェノールなど消臭成分が含まれています。

口の中に生息している細菌が唾液や剝がれた粘膜、食べカスの中のタンパク質を分解することで産生されるメチルメルカプタンなど、口臭の原因となる悪臭に効果的な成分を手軽に摂取することができます。

4-3-2.口内環境を整える

食事だけではビタミン・ミネラルなどの不足しがちな栄養素を補うことで、口腔粘膜の保護や口腔内の環境を整えて、口内の乾燥を防ぎ、唾液の分泌量を増やすことができます。

4-3-3.胃腸のトラブルを改善する

口臭サプリメントには、口臭の原因となる胃腸のトラブルを改善する成分が含まれているものがあります。

腸内環境を整える乳酸菌が配合されたものや、緑茶エキスなど消臭効果を持つとともに胃の疾患予防効果が期待される成分を配合したものを選ぶといいでしょう。

まとめ

口臭は誰もが抱える身近な悩みですが、女性の場合は、特有の原因によって口臭が発生することがあります。

女性特有の口臭の原因は、主に3つあります。

1.ホルモンバランスの変化 月経、妊娠、更年期などによるホルモンバランスの変化は、唾液の分泌に影響を与え、口臭の原因となります。
2.口腔内の乾燥(ドライマウス) 女性は、男性よりも唾液の分泌量が少ない傾向があり、ドライマウスになりやすいです。
口の中が乾燥すると、細菌が増殖しやすくなり口臭が強くなります。
3.生活習慣 偏った食生活、睡眠不足、ストレスや喫煙などの生活習慣の乱れも口臭の原因となります。

口臭対策としては、以下の方法が有効です。

口腔ケア 歯磨き、舌磨き、マウスウォッシュの使用など適切な口腔ケアを行いましょう。
生活習慣の改善 適度な水分補給、規則正しい食生活、質の高い睡眠、ストレス解消など、生活習慣を見直しましょう。
口臭サプリメントの活用 消臭効果、口腔環境を整える、胃腸のトラブルを改善するなどの効果が期待できます。

上記に加えて、虫歯や歯周病などがある場合は、歯科医院で適切な治療を受けましょう。

また、口臭以外の症状がある場合など内臓疾患が疑われる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

監修

健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士 望月 みどり