最終更新日 2024年5月14日
目次
はじめに
足の臭いは、とても気になるニオイのひとつです。
特に、靴を脱いで上がるときや、電車やエレベーターなどの密閉された空間に入るときは、臭っていないかと気になるものです。
足のニオイをその場で消したい、臭わないようにしたいと思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、足の臭いの原因であるイソ吉草酸が発生する理由とメカニズム、足のニオイを一瞬で消す方法について専門家が解説します。
足で大量発生するイソ吉草酸
どうして足は臭くなってしまうのでしょうか。
足のニオイ対策に着手する前に、倒すべき敵(=足のニオイの原因)を理解しましょう。
足のニオイには、独特の強烈な臭さがあります。
このニオイの主な原因として挙げられるのが、雑菌が生み出す『イソ吉草酸(いそきっそうさん)』です。
2-1.イソ吉草酸は不快感を与えるニオイを持つ物質
足のニオイの原因である『イソ吉草酸』。
別名は『3-メチルブタン酸』です。この名前だけでも、何だかとても臭そうなイメージですよね。
イソ吉草酸(3-メチルブタン酸)は、脂肪酸の一種です。
無色透明の液体ですが、強い酸性で、チーズや蒸れた靴下のようなニオイを持っています。
私たちが「臭い足のニオイ」と聞いてイメージするニオイは、まさにイソ吉草酸が放つニオイそのものなのです。
人に不快感を与える刺激臭を持つのが、イソ吉草酸の特徴です。
2-2.悪臭防止法でも規制されているイソ吉草酸
イソ吉草酸は、悪臭防止法という法律の規制対象になっているほど、悪臭の代表格といえる物質です。
悪臭防止法とは、国が悪臭を規制して、国民の健康を守るための法律です。
悪臭防止法では、“不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質”が「特定悪臭物質」として規制されます。
この「特定悪臭物質」に指定されているのが、イソ吉草酸なのです。
足のニオイは、数ある体臭の中でも人に与える不快感が強い体臭ですが、法律で規制しなければならないほどの悪臭であることがわかります。
2-3.足でイソ吉草酸が生成されるメカニズム
イソ吉草酸は、人間の体の中から分泌される物質ではありません。
皮膚の上に存在している「皮膚常在菌」が生み出す物質です。
皮膚常在菌にはさまざまな種類があり、人にとって良いはたらきをする菌もいれば、逆に悪いはたらきをする菌もあります。
人にとって好ましくないはたらきをする菌のことを、私たちは「雑菌」と呼んでいるのです。
この皮膚に存在する雑菌たちが、足の皮膚から分泌される汗・皮脂・垢(角質)などを分解したときに生成されるのがイソ吉草酸です。
2-4.イソ吉草酸が足で大量発生する3つの理由
「イソ吉草酸は、汗・皮脂・垢(角質)を、皮膚の上に存在している雑菌が分解したときに生み出される」ことがわかりました。
これだけ見ると、足に限らず、体のほかの部位で同じニオイが発生しても、おかしくないように感じるのではないでしょうか。
しかし、イソ吉草酸は足で多く発生します。
ここでは、イソ吉草酸が足で多く発生する3つの理由を確認しておきましょう。
2-4-1.足は汗が多く蒸発しにくい
1つ目の理由は「足は汗が多く蒸発しにくい」ことです。
「汗をかきやすい部位」というと、ワキの下や背中を思い浮かべる方が多いかもしれません。
実は、ワキの下や背中よりも、汗腺(汗を出す器官)が多く分布しているのが足の裏です。
足の裏から1日にかく汗の量は、およそコップ1杯分です。
さらに、足は靴下や靴で覆われているため、かいた汗がすぐに蒸発しにくい環境です。
例えば、額にかいた汗はすぐにハンカチで拭き取ることができますが、足の汗を小まめに拭き取るのは難しいですよね。
汗をごちそうとする雑菌たちにとっては、汗の成分を食べ放題というわけです。
2-4-2.足は皮脂や垢がたまりやすい構造になっている
2つ目の理由は「足は皮脂や垢がたまりやすい構造になっている」ことです。
特に皮脂や垢がたまりやすい部分として、足の指と指の間、爪の付け根、爪と足指のすき間、かかとの分厚い角質が挙げられます。
体のほかのパーツと比較してみても、これほど皮脂や汚れがたまりやすい構造になっている部位は、足以外にありません。
足には、汗だけでなく、雑菌たちのエサとなる皮脂や垢(角質)も豊富にあるというわけです。
2-4-3.足は高温多湿の密閉環境である
3つ目の理由は「足は高温多湿の密閉環境である」ことです。
「汗をかきやすく、皮脂や垢(角質)がたまりやすい」という、イソ吉草酸が生成されやすい条件下にある足ですが、ここに高温多湿の密閉環境という最悪な条件が加わります。
高温多湿な環境は、雑菌たちにとっては、最も住みやすい快適な環境です。
靴の中に閉じ込められた雑菌たちは居心地が良いので増殖し、さらに足の汗・皮脂・垢をパクパクと食べます。
どんどんイソ吉草酸が生成されて、臭い足ができあがるというわけなのです。
外出先で足の臭いを一瞬で消す方法
足の臭いの主な原因は、足の常在菌が皮脂や汗、垢などの成分を分解して生成されるイソ吉草酸です。
そのため、足臭いを消すには、このイソ吉草酸を抑えればよいのです。
足の臭いを一瞬で消す方法を下記に紹介します。
3-1.体臭スプレーを噴霧する
誰にとっても避けたい足の臭い。
特に、長時間靴を履いていた時や、靴を脱がなければいけない場面では、気になるところです。
そんな時に役立つのが、手軽に使える体臭スプレーです。
3-1-1.体臭スプレーの効果
体臭スプレーは、足臭いの原因となる雑菌の繁殖を抑え、発生したニオイを包み込むことで、その場で気になる足の臭いを抑えることができます。
効果は数時間程度持続しますが、使用状況や個人差によって異なります。
3-1-2.体臭スプレーの選び方
体臭スプレーを選ぶ際は、以下のポイントを参考にしましょう。
3-1-3.体臭スプレーの使い方
- 使用上の注意をよく読んでから使用してください。
- 靴を脱いだ時、足のニオイが気になる時などに使用してください。
- 素足に直接、またはストッキングや靴下の上からスプレーしてください。
3-2.重曹水スプレーで消臭する
足のニオイは、重曹を使った手作りの重曹水スプレーでも、一時的に消臭することができます。
3-2-1.重曹水スプレーの消臭効果
足のニオイの原因物質「イソ吉草酸」は酸性の性質であるため、弱アルカリ性の重曹を用いることで、ニオイを中和することができます。
なかなか取れないニオイには、重曹を溶かしたお湯にしばらく足を浸けてから洗うのも効果的です。
3-2-2.重曹水スプレーの作り方
重曹水スプレーは、市販のスプレーボトルに水200mlと小さじ1~2杯程度の重曹を入れ、よく振って重曹を溶かすと完成です。
3-2-3.重曹水効果の持続時間
重曹水スプレーの効果は、個人差や使用状況によって異なりますが、一般的には数時間程度持続します。
長時間効果を維持したい場合は、こまめにスプレーする必要があります。
3-3.アルコールで消毒をする
アルコールで消毒して、雑菌の繁殖を抑えることも足のニオイ対策には有効です。
3-3-1.アルコール消毒の効果
3-3-2.アルコール消毒の方法
手指消毒用のアルコール消毒液を素足に吹きかけたり、アルコール除菌シートで足の裏を拭いたりして消毒しましょう。
足の指と指の間や爪の付け根など細部まで丁寧に消毒することが大切です。
ただ、アルコールを使った時は、完全に乾くまで靴を履いたり歩いたりしないよう注意が必要です。
3-3-3.アルコール消毒の注意点
3-4.靴下やストッキングを履き替える
靴下やストッキングを履き替えることで足の臭いが一時的に解消することもあります。
ただし、解消する場合は限られています。
靴下やストッキングの履き替えが有効な場合を紹介します。
上記の対策でも消えない頑固な足の臭いには、別の原因があるかもしれません。
以下のような場合は、専門医へ相談することをおすすめします。
まとめ
足のニオイは、独特の強烈な臭さがあります。
このニオイの主な原因として挙げられるのが、雑菌が生み出す『イソ吉草酸(いそきっそうさん)』です。
イソ吉草酸は、汗・皮脂・垢(角質)を、皮膚の上に存在している雑菌が分解したときに生み出されます。
外出先など足の臭いを一瞬で消したいときには、以下のような方法があります。
- 体臭スプレーを噴霧する
- 重曹水スプレーで消臭する
- アルコール消毒をする
- 靴下やストッキングを履き替える
靴を脱いで上がる時、職場で靴を履きかえる時、長時間靴を履いていた後など、足の臭いをその場で消したいと思ったときには、これらの対策を実践してみてください。
健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士 望月 みどり