最終更新日 2024年10月8日
ミドル脂臭(みどるししゅう)とは、30代〜40代の男性に多く見られる“使い古した油”のような体臭のことです。ミドル脂臭は特に「後頭部」から強く臭うことが知られています。
「自分の頭が臭い」「家族の枕が臭い」とお悩みの方は、その嫌なニオイの原因こそミドル脂臭かもしれません。
ミドル脂臭の原因物質は『ジアセチル』であることがわかっていますが、ジアセチルは人に不快感を与える悪臭なのです。
この記事では、ミドル脂臭の実体や原因を詳しく解説したうえで、ミドル脂臭をなくすために実践すべき8つの対策をご紹介します。
▼ ミドル脂臭をケアする8つの対策
※すぐに対策をチェックしたい方はこちらからご覧ください。
最後までご覧いただくと、ミドル脂臭とは何なのかスッキリと理解し、自分や家族のミドル脂臭をなくすことができるようになります。
「自分の体臭がミドル脂臭なのか確認したい」という方のために、自分で診断できるセルフチェックもご用意しました。さっそく見ていきましょう。
目次
ミドル脂臭とは使い古した油のような体臭のこと
冒頭でも触れましたが、ミドル脂臭(みどるししゅう)とは、30代から40代の男性に多く見られる、不快な脂っぽいニオイのことです。
ミドル脂臭の「ミドル」は、ミドル世代のミドルのこと。「脂臭」はその通り、脂臭いニオイを指します。
ミドル脂臭が発見されたのは2013年で、比較的最近のことです。ミドル脂臭が発見されるまで、30代・40代の男性の頭皮臭は、「加齢臭」や「汗臭」と区別されていませんでした。
ミドル脂臭が発見された現代では、加齢臭とも汗臭とも異なる、ミドル世代特有の体臭として知られています。
ミドル脂臭の原因物質は、頭部とその周辺から発生する『ジアセチル』です。
ジアセチルについて詳しくは次章で解説しますが、頭皮から出た汗に含まれる『乳酸』を、皮膚に存在するブドウ球菌が代謝することで発生するのが、ジアセチルです。
ジアセチルだけでも臭いのですが、ジアセチルのニオイに、皮脂に含まれる中鎖脂肪酸のニオイが混ざると、さらに臭いミドル脂臭となります。
ミドル脂臭の原因物質「ジアセチル」とは?
ミドル脂臭の原因物質である『ジアセチル』とは、どのような物質なのでしょうか。
ここでは、ジアセチルの理解を通して、より深くミドル脂臭について学んでいきましょう。
2-1. ジアセチルには「使い古した油」を想起させるニオイがある
『ジアセチル』とは、「使い古した油」を想起させる、脂っぽいニオイを有する成分です。
ビールや日本酒などの酒類の製造過程で発生すると、香りや風味など品質を損なう“悪臭”成分(つわり香)として嫌がられているのが、ジアセチルです。
ジアセチルは、チーズ・バター・ヨーグルトなどの発酵食品の香気成分でもあり、ほんの少量でも拡散して臭いやすいことが特性として挙げられます。
例えば、「チーズのにおい」を想像するとわかりやすいでしょう。たった一かけの小さなチーズであっても、封をせずに冷蔵庫に入れておいたら「あっ、チーズのにおいがする」とわかりますよね。
体臭におけるジアセチルも同様です。ほんの少量発生するだけでも、ミドル脂臭を拡散させてしまう危険があるのです。
2-2. 頭皮でジアセチルが生成されるメカニズム
ジアセチルは、皮膚の上に存在する『ブドウ球菌』が、汗の中に含まれる『乳酸』を取り込んで代謝することにより、発生します。
イメージとして下の図をご覧ください。
汗の出口であるエクリン腺から、『乳酸』を含んだ汗が肌の上に排出されると、肌の上に存在していた『ブドウ球菌』が乳酸を代謝します。ここで発生するのが、『ジアセチル』です。
さらに、毛穴の中にある皮脂腺からは、皮脂が分泌されています。皮脂の中に含まれる『中鎖脂肪酸』の油臭いニオイと、ジアセチルのニオイが混ざり合うことで、さらに強い悪臭となって漂います。
これが、ミドル脂臭の臭いニオイの正体です。
2-3. ジアセチルの分泌量は30〜40代男性が最も高い
ジアセチルの分泌量が最も多いのは、30代〜40代の男性ということが、研究から明らかになっています。
つまり、古い油のような不快な体臭は、30代・40代の男性から臭いやすいというわけです。
40代・50代以降になると、ジアセチルによるミドル脂臭は減少する一方、今度は加齢臭が漂う人の割合が多くなります。
2-4. ジアセチルは女性でも分泌される
ジアセチルの分泌量が多いのは30代・40代の男性です。しかし女性では分泌されないというわけではありません。
男性に比較すると割合は低くなりますが、女性でもジアセチルの分泌量が多い人はいます。
ジアセチルの量は個人差がありますので、「ミドル脂臭がする女性もいる」ことは、覚えておきましょう。
ミドル脂臭が多く発生する部位は「頭部」
臭気判定士らによって行われたミドル脂臭の嗅覚測定の結果によれば、ジアセチルを成分とするニオイ強度が最も強いのは「頭部」でした。
特に、30代・40代の男性の頭部や枕には、20代の男性にはない強い「脂(アブラ)様のニオイ」が確認されています。
この頭部や枕から抽出されたニオイ成分はジアセチルであることが、解析により明らかとなっているのです。
30代・40代で、頭部や枕のニオイが臭くなったと感じたら「ミドル脂臭かもしれない」と疑う必要があります。
人に不快感を与えやすいニオイなので、放置するのは危険です。
自分がミドル脂臭か診断できるセルフチェックリスト
「自分もミドル脂臭が出ているかもしれない」と不安な方のために、自分がミドル脂臭かどうか診断できるセルフチェックリストをご用意しました。
簡単な質問に答えるだけで、ミドル脂臭かどうかがわかります。さっそく回答してみましょう。
質問は以上です。
「はい」と回答した数を、数えてください。過半数の8問以上が「はい」だった人は、ミドル脂臭が出ている可能性が高いといえます。
できるだけ早く、ミドル脂臭の対策をスタートしましょう。
ミドル脂臭をケアする8つの対策
ここからは、ミドル脂臭をケアするための8つの対策をご紹介します。
5-1. ミドル脂臭専用のシャンプーを使う
1つめの対策は「ミドル脂臭専用のシャンプーを使う」ことです。
ミドル脂臭の原因物質である『ジアセチル』の発生は、フラボノイド含有植物エキスによって抑制できることがわかっています。
フラボノイド含有植物エキスには、カンゾウやケイヒなどがあります。これらのフラボノイド含有植物エキスを配合されているのが、ミドル脂臭専用のシャンプーです。
シャンプーを購入する際には「ミドル脂臭対応」と明記されたシャンプーを選びましょう。
▼ ポイント
5-2. 正しいシャンプーの仕方で頭皮を洗う
2つめの対策は「正しいシャンプーの仕方で頭皮を洗う」ことです。
正しいシャンプーの方法をご紹介します。
▼ 正しいシャンプーの方法
普段のシャンプーよりも手間がかかるように感じるかもしれませんが、この一手間がミドル脂臭を軽減させてくれます。
ぜひ面倒がらずに、続けてみましょう。
5-3. 酸っぱい食べ物を食べる
3つめの対策は「酸っぱい食べ物を食べる」ことです。
ジアセチルの元となる『乳酸』は、酸っぱい食べ物を食べることで減少させることができます。
というのは、酸っぱい食べ物に含まれるクエン酸や酢酸は、乳酸を水と炭酸ガスに分解するはたらきがあるのです。
おすすめの酸っぱい食べ物は、以下の通りです。
1日1つ以上、毎日継続して酸っぱい食べ物を食べましょう。
5-4. 脂っこい食事を控える
4つめの対策は「脂っこい食事を控える」ことです。
脂っこい食事を取れば取るほど、皮脂が増えて、ミドル脂臭の脂臭いニオイを増幅させてしまいます。脂っこい食事は、できるだけ控えましょう。
具体的には、以下の食べ物は避けるようにしてください。
▼ 避けたい食べ物
ミドル脂臭が気になる人におすすめの食事は、野菜・魚・大豆・きのこを中心とした和食です。
和食には余分な脂質が含まれない料理が多く、ミドル脂臭を抑えやすくなります。
5-5. 汗をかく運動を習慣にする
5つめの対策は「汗をかく運動を習慣にする」ことです。
ミドル脂臭の原因であるジアセチルは、汗の中に含まれる乳酸が代謝されると生成されるとお伝えしました。
実は、汗の中に含まれるニオイの元は、乳酸だけではありません。普段、あまり汗をかく習慣がない人は、アンモニアなどのニオイ成分が含んだ汗をかいてしまうのです。
その理由は、汗をかく習慣がないと、汗腺(汗を出す期間)の機能が衰えてしまうから。
本来、汗腺は「ろ過」の工程でアンモニアなどを再吸収し、ニオイ成分の残っていない汗を排出します。しかし、汗腺が衰えるとろ過の工程が不十分となり、ニオイ成分の残った汗を排出します。
汗腺の衰えを防ぐためには、普段から汗をかいて、汗腺の機能を鍛えること。
毎日30分程度、ジョギングなどの有酸素運動で汗を流せると理想的です。運動が難しい場合は、サウナや半身浴を利用して、定期的に汗を流すようにしましょう。
▼ 汗腺を鍛えるポイント
5-6. 紫外線から頭皮を守る
6つめの対策は「紫外線から頭皮を守る」ことです。
頭皮がダメージを受けると、皮膚常在菌のバランスが崩れ、雑菌が繁殖しやすくなります。ジアセチルの生成にも影響を与えますから、紫外線から頭皮を守るように心掛けてください。
外出時には「帽子」をかぶり、頭皮に降り注ぐ紫外線を物理的にシャットアウトします。
加えて、男性であっても「日傘」の使用をおすすめします。最近では、おしゃれな男性用の日傘も市販されており、男性の日傘も珍しくなくなっています。
この機会にぜひ、日傘デビューをしてみましょう。
▼ 紫外線から頭皮を守るポイント
5-7. 全身のマッサージで血行を良くする
7つめの対策は「全身のマッサージで血行を良くする」ことです。
血行が悪くなると、乳酸が体内にたまりやすくなります。頭皮はもちろん、全身のマッサージを定期的に行うことで、血行を良くしましょう。
入浴時には、湯船の中で全身を手で指圧するように揉むと、効率的に血行を促進できます。
特に「経穴(ツボ)」を意識して指圧すると、血流が促されるのでおすすめです。
5-8. 禁煙する
8つめの対策は「禁煙する」ことです。
タバコに含まれるニコチンには、強い血管収縮作用があるため毛細血管を収縮させます(出典:ニコチン | e-ヘルスネット(厚生労働省))。
せっかくマッサージなどで血行を促進しても、タバコを吸ってしまったら台なしです。ニコチンの影響で、血流が一気に悪くなってしまいます。
さらに、タバコのニオイとミドル脂臭が混ざり合うと、とんでもない悪臭になります。
ニオイによって家族や職場の人に迷惑をかける可能性がありますので、ぜひ禁煙を心掛けてください。
まとめ
ミドル脂臭とは30代〜40代の男性に多く見られる使い古した油のような体臭のことです。
ミドル脂臭の原因物質は『ジアセチル』で、皮脂に含まれる中鎖脂肪酸のニオイと混ざることで、さらに悪臭となります。
ジアセチルの分泌量は30〜40代男性が最も高くなりますが、女性でも分泌されることがありますので、注意しましょう。
ミドル脂臭が多く発生する部位は「頭部」です。
自分がミドル脂臭か診断したい場合には、本文中でご紹介したセルフチェックにチャレンジしてみてください。
ミドル脂臭があることがわかったら、さっそく対策を始めましょう。
▼ ミドル脂臭をケアする8つの対策
ミドル脂臭は不快感が強い体臭として知られており、ミドル脂臭が出てしまうとつらいものです。
しかし、対策をしっかり実践することで、徐々に軽減させることが可能です。さっそく今日からスタートしてみましょう。
健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士 望月 みどり