最終更新日 2024年10月8日
自分の臭いは自分自身ではよくわからないからこそ、気になる体のニオイ。
体臭の種類やその原因について解説します。
目次
汗臭・体臭
まず気になるのが汗の臭いですが、汗は皮膚にあるエクリン汗腺とアポクリン汗腺とよばれる汗腺でつくられます。
エクリン腺は全身に分布していて、ここからでる汗はほとんどが水分で臭いはありません。
体温調整で出る汗や、スポーツをした時の汗は基本的にこのエクリン腺からでる汗です。
しかし、汗をかいたまま時間が経つと、皮膚表面の皮脂や垢などと混じりあって、皮膚の常在菌が繁殖してニオイが発生します。
一方、アポクリン腺は、わきの下やおへその周り、耳の穴、外陰部などに存在していて、たんぱく質や脂質を含んだベタベタした汗を出します。
この汗に含まれる成分が皮膚表面の細菌よって分解されたときに、強いニオイを発します。
気になるニオイの原因はこのアポクリン腺から出る汗にあります。
また、体内のニオイ物質は肝臓で分解されて排出されますが、肝臓の働きが低下していると、分別機能も働かなくなり、ニオイ物質はそのまま血液にのって体内をめぐります。
このニオイ物質を含んだ汚れた血液が、肺に届けば呼気にニオイが混ざって口臭が発生しますし、皮膚表面に届けば汗と一緒に排出されて体臭になります。
トラブルになる独特の臭いの正体とは
わきがは、「腋臭症(えきしゅうしょう)」ともよばれ特別強いニオイを発する症状です。
生活習慣や食生活、年齢による体質の変化、遺伝などが原因として考えらてれます。
肉類や脂っぽい食べ物を好む人ほど臭いが強いといわれていて、和食中心の食生活にすればニオイは軽減するとも言われます。
また、自律神経のバランスの乱れもわきがに影響するようです。
わきが体質の人はアポクリン腺が活発に働いているのが特徴です。
アポクリン腺は性腺の1つで、いわゆるフェロモンと言われているもので、海外ではこのニオイが強いほど魅力的だとされています。
通常思春期にニオイが強くなり始めて中年以降は徐々に軽減していきます。
わきが体質には次のような特徴があります。
□ 耳垢が湿っている
□ わきの汗が多い
□ わき毛の量が多い、わき毛が太い
□ 衣服や下着のわきの部分が黄ばむ
□ お肉を好んでよく食べる
□ 家族にわきが体質の人がいる
しかし、わきがも適切にケアすることでニオイを軽減させることができます。
頭臭
頭皮の臭いは、頭の皮脂に細菌が繁殖することで発生します。
頭皮のフケは細菌の栄養分になりますので、フケが多い人は頭皮のニオイが強くなることもあります。また、ストレスは皮脂の分泌を増加させます。
さらに、髪の毛が周囲のニオイを吸着して臭いを発生させる場合もあります。居酒屋や焼き肉店などで、油やたばこのニオイが髪についた経験がある方も多いのではないでしょうか?
特に生乾きの髪の毛はニオイを吸着しやすいので、洗髪後は、時間をおいたり自然乾燥はせずに、髪の毛をしっかり乾かしましょう。
また、30~40代男性に多い頭部や枕の使い古した油のようなニオイは、ミドル脂臭とよばれます。
汗の成分と皮膚の常在菌が代謝することで「ジアセチル」という臭いの原因となる成分が発生します。
このジアセチルは30~40代で発生量がピークになるのです。
足臭
足の裏には、背中や胸の5~10倍のエクリン腺が集中していて、1日に約コップ1杯分の汗をかくと言われています。
足にかいた汗は、皮膚の常在菌によって分解されてニオイを発生します。
足は日ごろ靴や靴下などで長時間おおわれているため、かいた汗も蒸発しにくく、さらに、蒸れた足の裏の厚い角質層ははがれやすくなっており、細菌の栄養になります。
湿度、温度、そして栄養分と、細菌の増殖しやすい環境がそろっているため足は臭いやすいのです。
足だけでなく、一日履いた靴のツーンとしたニオイもこの細菌の増殖が原因です。
便臭
便の悪臭は食べたものが腐敗したニオイです。
例えば、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまうと、うまく消化されずに腸の中で腐敗が進んでしまいます。
また、ストレスは腸の働きも抑えてしまいますので、食べ物が腸内に停滞して腐敗が進むことにつながります。
さらに、便秘の状態が続くと腸内に長く老廃物が停滞するために、腸内に悪玉菌が増えて腸内細菌のバランスが悪くなってしまいます。
そうして腸内の悪玉菌が増殖すると、腸の中に有害物質が増えて腸が汚れ、便を臭くします。
女性特有の臭い
女性の体臭は月経の周期によって変化しますが、個人差が大きく、排卵期に強く感じる人、月経前にきつくなる人などさまざまです。
一般的には、月経前に、ホルモンの影響で皮脂腺が刺激され、皮脂腺中の脂肪酸が酸化して体臭が強くなると言われています。
また、月経時に性器周辺のにおいがきつくなるように感じられるのは、蒸れからくることが多いようです。
もともと性器周辺は汗をかきやすい箇所で、長時間ナプキンを当てていると雑菌が繁殖しやすくなり、その結果、ニオイの発生を招きます。
女性の臭いで気を付けたいのは、おりものがいつもと違うニオイを発した時です。
何らかの病気や異常があると、ニオイや色に変化が見られます。
いつもと違うと感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。
加齢臭
年齢を重ねるにつれ、皮膚の内部にある皮脂腺の中で「9-ヘキサデセン酸」と呼ばれる脂肪酸が増加します。
この9-ヘキサデセン酸に、過酸化脂質と結びつくことによってできるのが「ノネナール」という加齢臭の元となる物質です。
肉類や脂っこい食事が中心だと、皮脂腺にも脂肪酸が増えていきます。
また、ストレスが強くなると、体の中の活性酸素が増加するために、過酸化脂質も増えてしまいます。
したがって、加齢臭は年齢だけでなく、生活習慣やストレスと大きく関わっているのです。
その他の気になる臭い
睡眠不足が続いたり全身に疲れが溜まると、体内に乳酸が増加して体の中のアンモニア濃度が高くなります。
それが汗に混ざり体臭となってでてくるのが、いわゆる「疲労臭」と言われるものです。
また、無理なダイエットも体臭の原因になります。
過度な食事制限で体内のエネルギー源が足りなくなると、次に体は脂肪を燃焼させようとします。
この時に生じるケトン体が原因で、甘酸っぱいケント臭が発生します。
この臭いがするということは、体がエネルギー不足で飢餓状態に陥っているということですので、無理なダイエットはやめて、必要な栄養を補給しながら正しいダイエットを行いましょう。
さらに、体臭はさまざまな病気のサインになっている場合もあります。
いつもと違って強く感じられる場合は、内臓機能が低下しているのかもしれません。
頭皮の皮脂臭が強い時は、脂漏性皮膚炎。
汗のアンモニア臭は、腎臓の機能低下や全身疲労、ミネラル不足など。
魚臭い体臭は、魚臭症候群(トリメチルアミン尿症)。
便の腐敗臭は、便秘や腸機能の低下。
尿の甘酸っぱい臭いは、糖尿病。
いつもと違うと気になったら、早めに医療機関を受診しましょう。
まとめ
体のニオイにはさまざまな種類があり、原因も複雑に絡み合っています。
そして、体臭は生活習慣や健康状態とも密接に関わりあっているのです。
私たちが食べたものは胃や腸で消化吸収されますが、胃腸の機能が低下して消化能力が落ちると、食べたものが体内で腐敗してニオイを発生します。
そのニオイ物質は腸管から吸収されて血液に入り、血流を通して全身をめぐります。
だから、腸内環境が悪化すると体臭が強くなるのです。
腸内環境は腸内細菌のバランスによって保たれていますので、腸に悪玉菌が増えすぎてると、腸内の環境は悪化してしまいます。
また、腸は夜ぐっすり眠って副交感神経が優位になっているときに活発に働くので、睡眠不足や疲れがたまって一日中交感神経が優位の状態が続くと、しっかりと働くことができません。
あるいは、肝臓が疲れてその機能が低下している場合も体臭はきつくなります。
体内で発生したニオイ物質は肝臓で分解されますが、肝臓が十分に働かないと、ニオイ物質は分解されないまま再び血液に入り体内をめぐり体臭となって出てきてしまうからです。
アルコールやたばこ、睡眠不足、疲れ、ストレスは体の中に活性酸素を多く発生させます。体の中に活性酸素が増えると、体内の皮脂も酸化が進んでニオイの原因になってしまうのです。
ニオイ原因が何なのか、はっきりと答えを出すことは難しいでしょう。
しかし、体のニオイは、細菌の繁殖、皮脂の酸化、腸内環境、健康状態、そして毎日の生活習慣に起因していることがほとんどなのです。
健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士 望月 みどり