最終更新日 2024年6月18日
加齢臭とは、40代以降の男女に多く見られる、油臭く青臭いニオイの体臭のことです。加齢とともに皮脂の中に増える『ノネナール』という物質が、加齢臭の原因となります。
加齢臭の原因物質ノネナールは、20代・30代ではほとんど見られませんが、40代を越えると増える特徴があります。
加齢臭には「油臭く青臭い」特有のニオイがあり、このニオイは汗臭や腋臭などのニオイとは明らかに異なるものです。
この記事では、「加齢臭とは何か」について、詳しくご紹介していきます。
「自分から加齢臭が出ている気がして心配」
「家族の体臭が気になるけど、これって加齢臭?」
そんな方は、ぜひご一読ください。
加齢臭とは何なのか知ることで、“気になっているあのニオイ”が加齢臭に該当するのか、自分で判断できるようになります。
加齢臭に該当した場合も、ご安心ください。必要な加齢臭対策をご紹介しますので、今日からでも加齢臭を抑えるための行動をスタートできます。
では、さっそく見ていきましょう。
目次
加齢臭とは中年以降の男女に見られる特有の体臭
冒頭でも触れたとおり、加齢臭とは中年以降の男女に見られる特有の体臭です。
よくある勘違いとして「加齢臭=オヤジ臭(おじさんのニオイ)」があります。加齢臭は男性に限ったものではなく、女性にもある体臭です。
また、「加齢臭って、年を取るとクサくなる体臭の総称でしょ?」と理解されている方もいるかもしれません。これは、半分は正解ですが、半分は不正解です。
というのも、加齢によって口臭や汗臭が強くなることもあるのですが、口臭や汗臭は加齢臭に含まれません。
加齢臭は、加齢によって強くなる体臭の総称ではなく、加齢によって強くなる体臭のなかでも『ノネナール』という物質によって引き起こされるニオイを指す言葉として、定義されています。
ノネナールによって引き起こされる加齢臭の仕組みは、1999年に発表された研究で明らかにされ、研究者によって「加齢臭」と名付けられました。
ノネナールについて詳しくは、次章で見ていきましょう。
加齢臭の原因は「ノネナール」の増加
先ほど触れたとおり、加齢臭の原因は『ノネナール』という物質です。
ノネナールは、皮脂の中に含まれます。そのため、加齢臭とは「皮脂臭の一種」と言い換えることもできます。
2-1. ノネナールは40代を境に増える
皮脂の中に含まれるノネナールは、20代・30代ではほとんど検出されませんが、40代を境にして増えることがわかっています。
ノネナール量の増加は、男性だけでなく女性にも見られます。
40歳を過ぎたら、性別問わず、どんな人でも加齢臭が出る可能性があるのです。
2-2. ノネナールの生成メカニズム
ノネナールは、どのようにして生まれるのでしょうか。
ノネナールが生成されるまでのイメージを簡単に図解すると、次のとおりです。
一言でいえば、パルミトレイン酸が酸化分解すると生成されるのがノネナールです。
ここでカギを握るのは「脂質」と「酸化」。というのも、脂質が酸化する過程で生成されるのがノネナールだからです。
脂質の量を減らし、活性酸素を減らして酸化を防ぐことが、ノネナール生成のブロックにつながります。
具体的には、脂質の取り過ぎを控え、体の抗酸化力を高めていくアプローチが有効です。
2-3. 近年はノネナールが増えやすい環境
近年は、ノネナールの生成が増えやすい環境にあるといわれています。
その理由は、食生活の欧米化です。和食よりも洋食が好まれるようになり、動物性脂肪の摂取量が増えています。
動物性脂肪の摂取量が増えると問題なのは、血管内にコレステロールが蓄積するからです。
コレステロールが蓄積すると皮脂分泌量が増えます。すると、パルミトレイン酸が増加し、パルミトレイン酸が酸化分解されて、ノネナールが生成されるというメカニズムです。
かつての和食中心の食生活を送っていた日本人は、体臭が少なかったといわれています。
洋食が頻繁に食べられている現代の日本は、誰もが加齢臭に気を配るべき時代といえるでしょう。
加齢臭のニオイの特徴は油臭い・青臭い
加齢臭には、汗臭や口臭などとは異なる独特のニオイがあります。それは「油臭く青臭い」と形容されます。
これは、加齢臭の原因物質である『ノネナール』が、油臭く青臭いニオイを持っているためです。
加齢臭に似たニオイを放つものとして、よく挙げられるのが、以下のものです。
ノネナールは、ビール、キュウリ、スイカの皮などにも含まれます。
単に油臭いだけでなく、緑色の植物をイメージさせる青臭いニオイが入り混じったニオイが、加齢臭の特徴です。
より詳しく、加齢臭はどんなニオイなのか知りたい方は「加齢臭はどんな臭い?具体例で専門家が解説!加齢臭かわかるセルフチェック付き」もあわせてご覧ください。
加齢臭は自分で気づきにくい
加齢臭は、自分で気づきにくいという特徴があります。
加齢臭が自分で気づきにくい理由は、足臭・ワキ臭・頭皮臭などと違って、体の一部分から臭う体臭ではないからです。
加齢臭は、頭周辺や体幹中心に、体全体から漂います。
加齢臭が体全体から漂うのは、加齢臭の原因物質が「皮脂」の中にあるためです。皮脂の出口である皮脂腺は、全身に分布しています。
さらに、例えば汗臭は「汗をかいたタイミング」で強くなりますが、加齢臭には、ニオイが急速に強くなるタイミングはありません。
加齢臭は体全体から継続して臭い続けるため、自分の鼻が慣れてしまい、自分ではまったく気づけないことが多いのです。
ショックなことですが、「加齢臭を周囲の人から指摘されて初めて気づく」という人が多い傾向にあります。
「まさか自分から加齢臭が出ているわけがない」と思い込まず、40歳を過ぎたら「加齢臭が出ているかもしれない」という前提に立って対策することが必要です。
加齢臭を放置すると引き起こされる3つの問題点
加齢臭を放置すると、どうなるのでしょうか。引き起こされる3つの問題点を見てみましょう。
5-1. 職場で嫌われてしまう
1つめの問題点は「職場で嫌われてしまう」ことです。
「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉をご存じでしょうか。スメルハラスメントとは、職場でニオイに関する不快感を与えるハラスメントのことです。
スメルハラスメントとなる代表的なニオイには、タバコ、香水、口臭、そして加齢臭があります。
「自分は、パワハラもセクハラもしていない。ハラスメントの加害者にはなっていない」と思っている人でも、気づかぬうちにスメハラというハラスメントの当事者になっているかもしれないのです。
加齢臭によって職場の人たちに不快感を与えてしまうため、疎まれ嫌われてしまうリスクがあります。
5-2. 家族関係が悪化する
2つめの問題点は「家族関係が悪化する」ことです。
不快なニオイは、心理的・精神的に大きなストレスとなることがわかっています(参考:住環境におけるニオイとストレス)。
たとえ家族が加齢臭に気づいているのに、気づかぬふりをして我慢してくれたとしても、大きなストレスを与えているのは事実です。
これが家族の心を疲弊させ、不安やイライラの元となってしまうケースがあるのです。
実際に、家族の加齢臭に悩んでいる人のなかには、徐々にストレスを募らせしまい「最終的には、相手の存在自体が許せなくなってしまった」と語る人もいます。
「たかが加齢臭」と思うかもしれませんが、不快なニオイによってストレスを受けた家族の心は、些細なことでも爆発しやすくなります。加齢臭で家族関係に亀裂が入るリスクもあるのです。
5-3. 体調不良を見過ごす可能性がある
3つめの問題点は「体調不良を見過ごす可能性がある」ことです。
加齢臭の正体である『ノネナール』は、脂質の取り過ぎや活性酸素の増加によって増加します。
ここで知っておきたいのは、「加齢臭の原因となる脂質の取り過ぎや活性酸素の増加は、ほかの病気の原因にもなりやすい」ということ。
つまり、加齢臭がひどくなる生活習慣を持つ人は、ほかの病気にかかるリスクも高いといえるのです。
加齢臭がひどい場合、同時に何らかの病気を併発していてもおかしくありません。加齢臭は、ひとつのサインととらえることができます。
加齢臭を放置することで、この重要なサインを見過ごしてしまうかもしれません。
加齢臭の有無を自分で調べる方法
ここまでお読みいただき、「加齢臭を放っておくと良くないことはわかった。自分から加齢臭が出ていないか不安……」という方が多いのではないでしょうか。
「これって加齢臭?」と疑問に思ったら、加齢臭セルフチェックを試してみましょう。
6-1. 20個の質問に答えるだけで診断できる加齢臭セルフチェック
簡単な20の質問に答えるだけで、加齢臭の可能性があるのかチェックできます。
さっそく回答してみましょう。
20個の質問のうち、10個以上が「はい」だった方は、加齢臭が出ている可能性が高いと判断できます。
できるだけ早く加齢臭対策をスタートしましょう。
加齢臭を抑えるためには適切な対策が不可欠
「自分の体から加齢臭が出ているかもしれない」と気づいたら、適切な対策を行うことが不可欠です。
加齢臭の原因物質『ノネナール』は、今日も皮脂の中に生成されています。放っておけば、年をとるたびに増えていく一方ですから、加齢臭も強くなっていきます。
加齢臭が出ている可能性がある人は、できるだけ早く加齢臭対策を始めましょう。
▼ 今すぐ始めたい加齢臭対策
上手な加齢臭対策のコツは、「体の内側」からの加齢臭対策でノネナールの生成を抑えつつ、生成されてしまったノネナールは「体の外側」からの加齢臭対策で除去することです。
まとめ
加齢臭とは、中年以降の男女に見られる特有の体臭のことです。
加齢臭の原因は、皮脂の中に含まれる「ノネナール」の増加で、ノネナールは40代を境に増加するのが特徴です。
加齢臭のニオイの特徴には、油臭さと青臭さがあります。
加齢臭は、自分では気付きにくいものですが、放置するとさまざまな問題を引き起こします。
▼ 加齢臭で引き起こされる問題
40歳を過ぎたら「自分では気づいていなくても、加齢臭が出ているかもしれない」と認識することが大切です。
加齢臭の有無を自分で調べるためには、セルフチェックが役立ちます。ぜひ本文中でご紹介した20個の質問に回答してみてください。
健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士 望月 みどり