最終更新日 2024年11月19日
「体臭の原因って、何があるのか知りたい」と考える方は多いのではないでしょうか。
体臭が気になるとき、その原因を知ることは、適切な対策の第一歩となります。
体臭と一口にいっても、さまざまな種類があります。そこで今回は、10種類のニオイ別に原因と対策をまとめました。
今お悩み中の体臭や、ご家族のニオイの原因が明らかになれば、解決に向けて動き出すことができます。
あなたが悩んでいる体臭はどれなのか、原因は何なのか、さっそく見ていきましょう。
目次
体臭①ワキガ臭の原因
ワキからにおう体臭「ワキガ臭」の原因は、アポクリン腺です。
1-1. ワキガ臭の原因となるアポクリン腺とは?
「アポクリン腺」は聞き慣れない方が多いかと思いますが、アポクリン腺とは、汗が出る出口(汗腺)の一種です。
皮膚には、
- エクリン腺
- アポクリン腺
という2種類の汗腺(汗を出す器官)があります。
エクリン腺からは、臭くない汗が出ます。
一方、アポクリン腺から出る汗には、特有のニオイがあります。これがワキガ臭の原因です。
アポクリン腺から出る汗には、脂質やタンパク質が含まれています。
脂質やタンパク質が皮膚表面の細菌によって分解されると、ワキガ特有の強いニオイが出てしまうのです。
アポクリン腺は誰にでもある体の器官ですが、アポクリン腺の数や大きさは人それぞれです。
アポクリン腺の数が多かったり活発だったりすると、アポクリン腺から分泌される汗の量が多くなるので、ワキガ体質となります。
1-2. ワキガ臭の対策
ワキガ臭の対策には、「アポクリン腺からの汗の分泌を抑えること」「アポクリン腺から出た汗のニオイがひどくなるのを防ぐこと」が重要になります。
アポクリン腺は特に「ワキ」に多いので、ワキを中心に、以下の対策を行います。
これらの日常生活でできる工夫でワキガ臭が抑えられない場合には、根本的な原因であるアポクリン腺自体を除去するという方法があります。
アポクリン腺を除去するためには、皮膚科で手術を受ける必要があります。
ニオイのもとであるアポクリン腺を除去すると、9割以上の方のニオイが改善されるとされていますが、手術が適用になるのは、ニオイが強度の場合です。
詳しくは、病院で診察を受け、専門医の診断をあおぎましょう。
体臭②口臭の原因
口からにおう「口臭」の原因の一つに、舌苔(ぜったい)があります。
2-1. 口臭の原因となる舌苔(ぜったい)とは?
舌苔(ぜったい)とは、「舌の苔(こけ)」と書くように、舌の表面につく苔状のものです。
もし近くに手鏡があれば、舌を「ベーッ」と突き出して、鏡で見てみてください。
舌に白っぽい苔のようなものが付いていませんか。それが、舌苔です。
舌苔があると、口臭の原因物質がどんどん生成されてしまいます。
というのも、口の中には「嫌気性菌」という種類の細菌が存在します。
「嫌気性菌」は、タンパク質やアミノ酸を分解して「VSC( Volatile Sulfur Compounds、揮発性硫黄化合物)」という物質を作ります。
口臭特有のニオイを持つ原因物質がこの「VSC」なのですが、VSCは舌苔で多く作られるのです。
つまり、舌苔は口臭原因の温床となっており、舌苔がなければ、口臭を軽減できるというわけです。
2-2. 口臭の対策
口臭を軽減させるためには、舌苔を除去することが有効です。そのために日常生活でできる対策が、舌を清掃すること。
専用の舌ブラシを使って、舌苔が付着しやすい舌を、奥から手前へ引いて掃除します。
以下は、厚生労働省のサイトに掲載されている舌苔の清掃方法の引用です。
上記の「舌ブラシの使い方」をよく読んで、専用の舌ブラシで毎日、舌の清掃を続けてみましょう。
口臭が軽減していくのが実感できるはずです。
体臭③加齢臭の原因
年齢を重ねると独特の体臭がする「加齢臭」の主な原因は、ノネナールです。
3-1. 加齢臭の原因となるノネナールとは?
ノネナールとは、20代・30代ではほとんど検出されないのに、40代以降になると検出される物質です。肌上にある「皮脂」に含まれています。
加齢臭は、
- 脂くさくて青くさいニオイ
- 古本のようなニオイ
- 古いポマードのようなニオイ
…などと形容されます。このニオイの正体がノネナールです。
ただ、ノネナールは、分泌される皮脂中に最初から含まれているわけではありません。
皮脂中に含まれる「9-ヘキサデセン酸」が、肌の上で過酸化脂質などと反応し、酸化すると「ノネナール」が生成されます。
つまり、ノネナールの生成をブロックするためには、皮脂の酸化を防ぐことが鍵を握ります。
3-2. 加齢臭の対策
加齢臭の対策として意識したいのは、分泌された皮脂を酸化させないことです。
皮脂が出たら、酸化する前にしっかりと除去すること。つまり、皮脂をこまめに洗浄することが、加齢臭の発生を抑えてくれます。
具体的には、シャワーや入浴を小まめに行い、皮膚を清潔に保つことが有効ですが、注意したいのは「皮脂はアブラ汚れである」ということ。
水で洗い流しただけでは、皮脂はスッキリ除去できません。アブラ汚れを除去できる石けんやボディソープを使って、体を洗う必要があります。
その際、加齢臭に対応しているボディソープや石けんを使うと、より効果的です。
カキタンニン・カテキンなどのポリフェノールで加齢臭を低減できることがわかっています。ポリフェノール配合のボディーソープや石けんを使うと良いでしょう。
そして、皮脂を酸化させる原因「活性酸素」を減らすために、普段の食事に、活性酸素をブロックする「抗酸化作用」のある食べ物を積極的に取り入れるとこともおすすめです。
脂質の多い肉類やマヨネーズ、バターなどの脂っこい食べ物を控えて、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンEを豊富に含む野菜や果物をしっかり取りましょう。
体臭④頭皮臭の原因
頭皮からニオイのする「頭皮臭」の主な原因は、ジアセチルです。
4-1. 頭皮臭の原因となるジアセチルとは?
ジアセチルとは「不快なアブラっぽいニオイ」「古い油のようなニオイ」を生じさせる物質です。
ジアセチルは30代後半から40代のミドル男性の後頭部に多いことがマンダムによって明らかにされており、ジアセチルによる体臭は「ミドル脂臭」とも呼ばれます。
表皮ブドウ球菌などの皮膚常在細菌が、汗に含まれる「乳酸」を代謝することで、ジアセチルが発生することがわかっています。
4-2. 頭皮臭の対策
発生したジアセチルは、頭皮の皮脂の中に蓄積します。頭皮臭の対策は、頭皮の皮脂をしっかり洗浄して除去することです。
スカルプケア(頭皮のケア)ができるスカルプシャンプーを使って、頭皮の皮脂をしっかり洗浄しましょう。
シャンプー剤は「頭皮臭」「ニオイを洗う」などの記載のあるものがおすすめです。
「シャンプー」というと「髪を洗う」というイメージが強いですが、頭皮臭対策で洗うべきターゲットは髪の毛ではなく「頭皮」です。
頭皮にへばり付いた皮脂汚れをスッキリ除去するつもりで、指の腹を使って、しっかり頭皮を洗いましょう。
スカルプブラシを使って、手指では届かない頭皮の毛穴まで洗浄するのも効果的です。
体臭⑤足のニオイの原因
足からニオイのする体臭「足のニオイ」の主な原因は、イソ吉草酸です。
5-1. 足のニオイの原因となるイソ吉草酸とは?
イソ吉草酸とは、足から出た汗や皮脂などを雑菌が分解したときに生成される物質です。
「足のくさいニオイ」としてイメージされるあのニオイのもとが、イソ吉草酸です。
ワキガや加齢臭などが個人の体質による面が大きいのに対し、足のニオイは靴や靴下などの環境次第で、誰にでも起きるリスクがあります。
靴の中で雑菌が繁殖すると、イソ吉草酸は生成されてしまうからです。
5-2. 足のニオイの対策
足のニオイの対策は、靴の中で雑菌を繁殖させないことです。とにかく足裏が蒸れないように工夫しましょう。
抗菌性のある靴下やストッキングを選んだり、あらかじめ除菌効果のあるデオドラント剤を足指に塗っておくことも効果的です。
靴は、通気性の良い靴を選び、毎日同じ靴を履き続けないよう、ローテーションさせます。履く前に、靴用の消臭スプレーを噴射しておくのも良いでしょう。
- 足指の皮膚:デオドラント剤の塗布
- 靴下・ストッキング:抗菌性のある生地
- 靴:通気性に配慮、消臭スプレーを噴射
この3本柱でニオイ対策することで、足のニオイは大幅に軽減できます。
体臭⑥汗臭の原因
汗をかくと体臭が強くなる「汗臭」の原因は、汗に残った余分な成分です。
汗には、「良い汗」「悪い汗」があるといわれます。
6-1. 汗臭の原因となる余分な成分とは?
サラサラの水っぽい汗であれば、ニオイは強くありません。これは良い汗です。
しかし、濃く濃縮された汗では、汗臭が強く感じられます。これは、汗に余分な成分が残っているからです。
ニオイが強い汗は、悪い汗と呼ばれます。
汗が濃くなってしまう原因のひとつは、普段から汗をかいていないからです。
普段から汗をかく習慣がないと、汗のろ過機能が衰えて、余分な成分の残った臭い汗しかかけなくなっていきます。
久しぶりに汗をかくと、毛穴の中にたまった皮脂も含んで、ベタベタとした汗が出てきます。
アンモニアや乳酸などの、いわゆる「汗っぽいニオイ」の原因物質も濃縮され、クサイ汗となってしまうのです。
6-2. 汗臭の対策
汗臭の対策は、普段から汗をよくかき、サラサラとした良い汗をかけるようにしておくことです。
日常的に運動をよくしている人の汗は、運動をしていない人の汗に比べて、サラサラとして薄いことが知られています。
薄くてニオイのない汗をかけるように、運動をして、汗をかく習慣を持ちましょう。
毎日、汗ばむ程度の有酸素運動を30分〜1時間行うように習慣化できると理想的です。
運動が難しい場合は、半身浴などを利用して、定期的に汗を出すように心掛けましょう。
体臭⑦ダイエット臭(飢餓臭)の原因
ダイエットをしているうちに独特のニオイがするようになる「ダイエット臭」の主な原因は、ケトン体です。
7-1. ダイエット臭の原因となるケトン体とは?
糖質制限を徹底すると「ケトン臭」という独特のニオイがすることが知られています。
糖質が不足すると、エネルギー源を糖質から「ケトン体」という物質に変更するのですが、そのケトン体が独特のニオイを放つのです。
“腐ったバナナのような甘酸っぱいニオイ”などと形容されます。
別名「飢餓臭」ともいわれ、極端なダイエットに励む若い女性などに見られることが知られています。
簡単にいえば、体が栄養失調に陥ると、体臭が強くなることがある、ということです。
7-2. ダイエット臭の対策
ダイエット臭の対策は、無理なダイエットをやめてバランスの良い食事を取ることです。
ダイエット中に体臭が強くなったら、「いま行っているダイエットのやり方では、体に負担がかかりすぎている」という目安になります。
食事制限が行き過ぎたものになっていないか、見直してみてください。
減量のペースは、1ヶ月に現体重の5%までが理想的です。例えば、体重が60kgの人なら、1ヶ月に減らして良い体重は3kgまで。
これ以上のペースで減量している場合は、食事量を増やして、栄養失調にならないように調整してください。
中高生など、ダイエットに熱中しやすい若年層の場合には、家族がサポートするようにしましょう。
体臭⑧ストレス臭の原因
強いストレスを感じたときに体臭が強くなる「ストレス臭」の原因のひとつは、皮膚ガスです。
8-1. ストレス臭の原因となる皮膚ガスとは?
人に心理的ストレスが加わると、特徴的な臭いが「皮膚ガス」として放出されることが、資生堂の研究により明らかにされました。
この皮膚ガスには、「ジメチルトリスルフィド(dimethyl trisulfide)」と「アリルメルカプタン(allyl mercaptan)」の2つの化合物が含まれ、硫黄化合物のような特有のニオイがあります。
例えば、緊張する会議への出席や仕事中にトラブルが起きたときなど、ふと自分がくさいと感じることはありませんか。
それは皮膚ガスのせいかもしれません。
8-2. ストレス臭の対策
ストレス臭の対策は、まだ研究過程にあります。
すぐにできる対策としては、根本的な原因であるストレスを除去することです。どうしてもストレスの強い環境に置かれるときには、深呼吸をしてみましょう。
5分間、深呼吸をするだけで、ストレスが軽減されることがわかっています。
「6秒吐いて・4秒吸う」という、ゆったりとした腹式呼吸を繰り返してみてください。心が落ち着いてくるはずです。
体臭⑨疲労臭の原因
疲れが蓄積したときに体臭が強くなる「疲労臭」の主な原因は、アンモニアです。
9-1. アンモニアとは?
アンモニアは、疲労の蓄積によって汗の中に多く含まれる物質です。いわゆる「アンモニア臭」のもとです。
本来は、体内で代謝して排出されていくべき物質ですが、体が強く疲労していると、疲労物質が体内にたまり、その除去が間に合いません。
すると、体からアンモニアのようなツンとしたニオイ(疲労臭)が漂うようになります。
もしご家族からアンモニアのようなニオイがしたら、「クサイ!」と指摘するのではなく、「疲れてる?」と心配してあげたいところです。
9-2. 疲労臭の対策
疲労臭の対策は、とにかく疲労を回復すること。しっかり睡眠をとり、栄養をとって、休養しましょう。
アンモニアの代謝は肝臓で行われているので、特に「肝臓」に休息が必要です。
お酒は控えて、定期的に休肝日を設けましょう。
疲労臭は肌からにおっているので、小まめなシャワーで肌を洗い流すことも効果的です。
疲労回復効果のある入浴剤をお風呂に入れて、ゆっくりと浸かるのも良いですね。
体臭⑩病気による体臭の原因
最後に、病気によって体臭が強くなるケースもありますのでご紹介します。
例えば、以下のような病気です。
- 脂漏(しろう)性皮膚炎・アトピー性皮膚炎
- 糖尿病
- 肝臓や腎臓の病気
体臭の裏に重要な病気が隠れていることもあります。
思い当たる節があれば、主治医に相談してみることをおすすめします。
まとめ
10種類の体臭の種類と原因をまとめると、以下の通りです。
なお、今回は全般的なお話をさせていただきましたが、男性の場合・女性の場合・年代…などの状況により、細かな対策は変わってきます。
ぜひ、以下の記事もあわせてご覧ください。
体臭は、とてもつらい悩みです。しかし、きちんと原因にあわせて対策すれば、体臭を軽減させることは可能です。
原因がひとつではなく、いくつも絡み合っているケースも多く見られます。
「これが原因かな?」と思ったら、できる対策をひとつずつ、積み重ねるように試していくことが大切です。
さっそく今日から、始めてみてくださいね。
健康管理士・サプリメントアドバイザー・漢方養生指導士 望月 みどり